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【連載】見直そう! CKD・透析ケア

第11回 透析はどんな仕組みで何を除去しているの?—血液透析(HD)・腹膜透析(CAPD)・血液濾過透析(HDF)

  • 公開日: 2017/9/10
  • 更新日: 2020/10/22

透析の種類と原理

 CKDが進行し、腎臓がほとんど働かなくなると、透析療法が必要となります。透析とは、身体にたまった余分な水分や、老廃物を取り除くという腎臓の働きを人工的に代行する治療法のことをいいます。また、透析療法には血液透析と腹膜透析の2種類の方法があります。血液透析は機械に血液を通して濾過するもので、腹膜透析は自分のおなかの膜を濾過手段として使います。それぞれの治療法の仕組みについて説明します。

主に透析によって血液中の濃度・量を調整するもの
クレアチニン、水分、ナトリウム、カリウム、リン、尿酸、カルシウムなど

 

血液透析

 血液透析は、血液と透析液の間にある半透膜(水分とごく小さな物質のみを通過する膜)を介して、水分や物質の移動を行い、毒素を除去し不足する物を補充します。 その原理は「拡散」と「限外濾過」と呼ばれるものによります。
 
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 「拡散」とは、字のとおり、物質が液体の中で、拡がり散ばって同じ濃度になろうとする現象のことをいいます。身近な物でいうと紅茶があります。ティーバックをお湯につけたときに、紅茶の成分はいつまでもとどまっておらず、カップの中で拡がり散ばって濃さが均一になります。血液中にたまる毒素の一つであるクレアチニンこれをティーバックの中に入っている紅茶に例えてみます。さらに、カップのお湯を、全くクレアチニンを含まない透析液に例えると、クレアチンは膜(ティーバック)を介し、拡がり散ばって同じ濃度になろうと透析液の方へ移動します。結果、血液中のクレアチニンが抜けたということになります。逆もできます。腎不全になると身体に不足する物質もあります。カルシウムが代表的な物質の一つですが、今度は、透析液中に高い濃度のカルシウムを加えておきます。すると、カルシウムは、膜を介して、ティーバックの中(血液中)に引き込まれます。このように拡散の原理で、CKD患者の身体に不必要な物質は、透析液の濃度を0もしくは低くすることで除去、必要な物質は透析液の濃度を高くし補っています。また、血液透析に使用する半透膜の透析器を人工腎臓(ダイアライザ)といいます。

拡散の説明図

 「限外濾過」は、ダイアライザに圧力をかけて、血液中の余分な水分を除去するというものです。さきほどの紅茶でいいますと、ティーバックに圧力をかけ、バック内(膜内)の余分な水分を絞り出すイメージです。血液透析とはこれらの原理で身体にたまった余分な水分や、老廃物を取り除いています。

限外濾過の説明図

腹膜透析

 腹膜透析は、半透膜として、自分の体の中にある腹膜を使用します。その原理は「拡散」と「浸透」です。腹膜は腸をはじめとする腹腔内の臓器を覆っている薄い膜で、この腹膜には毛細血管が網の目のように走っています。まず、腹腔内へ透析液を出し入れする専用カテーテルを埋め込み、透析液を腹腔内へ注入、一定時間貯留させます。
 
 腹膜透析も拡散の原理は一緒です。腹腔内の透析液とそのまわりを流れている毛細血管が腹膜を介し、物質の移動を行い、毒素を除去し不足した物を補充します。
 
 次に、身体にたまった余分な水分を取り除くために腹膜透析では「浸透」の原理を用います。浸透とは、これも字のとおり、膜を介して液体が浸み透る現象をいいます。液体は移動する際、濃度が薄い方から、濃い方へ移動する(浸み透る)性質があり、この浸透の原理を使ったもので、身近にあるものが漬け物です。キュウリに塩を振ると、キュウリの中の水分は、濃い塩分に引っ張られ移動、キュウリはしんなりとします。腹膜透析では、透析液の糖分などの濃度を血液より濃くすることで、血液中の余分な水分(薄い液体)が、透析液側(濃い液体)へ移動することで除水を行います。腹膜透析とはこれらの原理で身体にたまった余分な水分や、老廃物を取り除いています。

血液濾過透析

 最後に、HD(血液透析)と濾過を合わせた治療法であるHDF(血液濾過透析)についてお話します。これは、先ほど述べた血液透析の原理である限外濾過を、さらに強めることで今まで取れなかった物質を取り除く治療法です。
 
 HDFとは、血液中の余分な水分だけではなく、必要な水分までをも取り除くほどの大きな圧力をダイアライザにかけ、分子の大きい物質を取り除きます。しかし、身体に必要な水分まで除水してしまうと、脱水や血圧低下などを引き起こし、意識消失に至る場合もあります。そこで、HDFでは必ず補液(置換液)を注入しながら、身体に必要な水分を補っています。これら、さまざまな血液浄化方法を用いることで、CKD患者の低下した腎臓の働きを代行することができます。

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2017/9/10