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【連載】見直そう! CKD・透析ケア

第12回 透析はどんな手順で導入するの?(シャント形成~)

  • 公開日: 2017/9/18
  • 更新日: 2020/10/22

透析導入の適応とは?

 腎機能が正常の10〜15%以下になると、透析や移植などの腎代替療法が必要です。しかし、尿素窒素、クレアチニンなどの尿毒素の値があまり高くなくても肺水腫などを起こし、透析の開始が遅れたために、生命の危機を招く場合があります。また、透析開始が遅れたために、さまざまな合併症を併発し社会復帰が大幅に遅れる可能性もあります。適正な時期に透析療法を開始することはとても大切です。
 
 現在、透析開始の目安として、厚生労働省から報告されている資料1の「透析導入適応の基準」があります。これは症状・所見と腎機能・日常生活レベルとの組み合わせで導入時期を考慮します。腎機能が正常の15%以上あっても、尿毒症の症状や高カリウム血症、心不全などがあり、適切な治療によって改善しない場合は透析が必要と判断します。透析療法には、主に透析施設で行う血液透析と、在宅で行う腹膜透析の2種類があり、患者個々の病態や生活スタイルに合った治療を選択することが大切です。各々の導入手順についてお話します。


資料1:透析導入適応の基準(厚生省科学研究・腎不全医療研究班報告:1992年)
以下の点数の合計が60点以上が透析導入が必要な状態
(1) 症状・所見
・水の貯留(むくみ・胸に水が溜まる)
・酸塩基電解質異常(高カリウム血症、酸の貯留)
・消化管の症状(吐き気・嘔吐・食欲不振)
・心臓の症状(呼吸困難・息切れ・心不全・著明な高血圧)
・神経の症状(意識混濁・けいれん・しびれ)
・血液の異常(貧血・出血が止まりにくい)
・目の症状(目がかすむ)
このうち3つ以上の症状 = 30点、2つの症状 = 20点、1つの症状 = 10点
(2) 腎機能
・持続的に血清Cr8mg/dl以上(あるいはクレアチニンクリアランス10ml/min以下)=30点
・血清Cr 5~8mg/dl(Ccr 10~20ml/min未満)=20点
・血清Cr 3~5mg/dl 未満(Ccr 20~30ml/min未満)=10点
(3) 日常生活の障害の程度
・起床できない高度 = 30点
・著しい制限中等度 = 20点
・運動・労働が出来ない軽度 = 10点

10歳以下または65歳以上の高齢者または糖尿病、膠原病、動脈硬化疾患など全身性血管合併症の存在する場合は10点を加算する。


導入手順

血液透析

 血液透析には、1分間に200ml前後の大量の血液を体から出し入れする出入口(バスキュラーアクセス)が不可欠です。そのためには腕などの血管を使い「内シャント」の作成が必要です。手術で動脈と静脈をつないで血液の短絡路(シャント)を作り、静脈に勢いよく血液が流れるようにし、静脈血管を太くすることで、針を刺しやすく、また十分な血液流量が確保できるようにします。血管が太くなるまで時間がかかるので、事前にシャントを作成しておくと、血液透析の開始がスムーズになります。また、内シャントには自己血管・人工血管(グラフト)内シャントがあります。

内シャントの図

 内シャント以外のバスキュラーアクセスとしては、動脈表在化(穿刺し易くするために、動脈血管を筋肉の上に持ち上げ、皮膚の下にもってくる)カフ型カテーテル(長期留置を目的に内頚静脈にカテーテルを留置)、さらに、緊急で透析を始める場合には、頚部や大腿静脈にカテーテルを留置する非カフ型カテーテルがあります。
 
動脈表在化の図

 これらバスキュラーアクセスの種類は、血管の状態や心疾患の有無などの合併症を考慮して決められます。しかし、日本腎臓学会のエビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2013 において、緊急で透析を開始するために挿入される非カフ型カテーテルは、「生命予後を悪化させる可能性があり避けることが望ましい。初回穿刺の30日以上前、少なくとも14日以上前にバスキュラーアクセスを作製することを推奨する。」とされており、計画的な透析導入は、導入後の生命予後を改善することにつながります。
 

腹膜透析

 腹膜透析では、腹腔内への透析液の出入口が必要になります。これを腹膜アクセスといい、手術で腹部にカテーテルを留置します。従来法では3週間~1か月程度入院して、カテーテル留置術と腹膜透析を自身で行うための教育が行われます。また、腎機能に余裕があって透析をするまでに時間のある場合、段階的腹膜透析導入法(SMAP法)が選択されます。この術法では、腹部にカテーテルを留置し、出口部を作成せずに皮下組織にカテーテルを埋没させておき、透析が必要となった段階で、出口部の作成術を行ってカテーテルを取り出し、直後から腹膜透析を開始します。透析開始直後は透析液量を少量から始め、1~2週間かけて患者に必要な透析液量まで増やしていきます。腹膜透析に関する知識やバッグ交換などの手技、緊急時の対応などについての教育が医療スタッフから行われ、退院後に患者もしくは家族がきちんと治療を続けられるようになった段階で退院となります。

腹膜透析の図

 どちらの透析療法も、一旦開始されると一生続けなくてはなりません。自分らしく、無理のない透析生活を続けていけるよう、適正な時期に透析療法を開始することはとても大切なことです。


参考文献
日本腎臓学会,編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013.東京医学社,2013.

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