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【連載】女性のがんのケア

第11回 放射線治療における有害事象とセルフケア

  • 公開日: 2013/2/23
  • 更新日: 2020/3/26

放射線治療は乳がんと子宮がん、卵巣がんのいずれにも適用となります。代表的な有害事象は何なのか、セルフケアで気を付けなければならないことは何かを知っておきましょう。


Q 放射線治療に伴う有害事象とセルフケアの方法について教えてください。

A 放射線治療は乳がんと婦人科がんのいずれにも適応になり、代表的な有害事象は放射線皮膚炎と放射線粘膜炎です。

解説 がん細胞だけでなく腫瘍周囲の正常細胞にも影響を与える

放射線療法は、がんが存在する局所に放射線を照射し、がん細胞のDNAに作用して破壊する治療法です。細胞分裂が盛んながんは放射線治療が効きやすく、なかでも子宮頸がんの扁平上皮がんは効果が上がります。

子宮体がんや乳がんは腺がんが多く、比較的よく効くといわれています。乳がんの場合はおもに乳房温存術後と再発がんに、婦人科がんでは子宮頸がんや子宮体がんに多く用いられます。

放射線を照射する場合、がん細胞だけでなく照射野となる腫瘍周囲の正常細胞など放射線が通過する範囲にも影響を与え、有害事象として出現します。有害事象には、治療中あるいは治療後6カ月以内に起こる急性期有害事象と、治療後6カ月以降に起こる晩期有害事象があります。

放射線療法が必要と説明を受けた患者さんは、目に見えない放射線に対する恐怖心や被ばくに対するなどから不安が生じやすく、治療開始の意思決定への支援が重要になります。

また、外来治療を継続する患者さんが多い現在は、治療前のオリエンテーション時から経過がわかるような情報提供と、出現する有害事象を知らせ、セルフケアできるようにサポートすることが大切になります。

※続いては、代表的な有害事象である放射線性皮膚炎と放射線性粘膜炎について述べます。
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乳房温存術術後の場合:高頻度で放射線皮膚炎が起こる

乳房温存術の術後の場合、再発防止・治療のため局所を中心とする乳房全体に近距離から放射線が照射されるため、放射線皮膚炎が高頻度に起こり、発赤、皮膚の乾燥、疼痛、びらん、湿性皮膚炎などの症状が現れます。

患者さんには、ワイヤー入りのブラジャーなど照射野の皮膚を締め付けるような下着は避け、柔軟で肌触りがよく、刺激が少ない素材の下着を着用するよう伝えます。(例えばスポーツブラや乳房術後ブラジャーなど)

皮膚炎が起きた照射部位には、医師に処方されたクリームや軟膏だけを毎日の照射後につけるよう指導します。

また、照射範囲が腋窩まで及ぶ場合は、腕を動かすことで腋窩が擦れたり、皮膚が引っ張られて痛みが伴い、腕の挙上訓練などを怠りがちです。なるべく摩擦が少ない患側肢の挙上訓練の方法を指導し継続できるように支援します。

乳がんの放射線療法がもたらす主な有害事象

乳がんの放射線療法がもたらす主な有害事象

婦人科がんでは具体的なセルフケア支援を行う

婦人科がんの場合、大腸や膀胱に放射線がかかり、放射線性腸炎による下痢や、放射線性膀胱炎による頻尿・残尿感が出やすくなります。

排尿を済ませてから照射を受けるよう指導します。

また、肛門・会陰部などの粘膜炎・皮膚炎も特徴的です。

肛門周囲・会陰部などを清潔に保つことが重要で、排便後にはトイレットペーパーより柔らかい医療用不織布などで、擦らずにやさしく拭き取るように指導します。

温水洗浄の場合、症状が進むと疼痛が生じるため、水圧は低めにします。下着は摩擦を減らすため、締め付けないものや擦れにくいものを選びます。出血や浸出液のためパッドを着けている人には、蒸れると皮膚が脆弱になりかぶれやすくなるため、こまめに取り替えるよう話します。

婦人科がんの放射線治療がもたらす主な有害事象

婦人科がんの放射線治療がもたらす主な有害事象

放射線照射時の苦痛にも配慮する

放射線療法中の患者さんは、化学療法を併用しているケースも多く、放射線による有害事象に加え、抗がん剤の副作用である悪心・嘔吐も出現するため、制吐薬としてアプレピタント、パロノセトロンなどを適切に使用します。

また、放射線治療は、硬い台の上で動かずに臥床して行われるため、疼痛や咳がみられる患者さんには、事前に鎮痛薬や鎮咳薬を使用し、できるだけ苦痛を軽減するよう配慮します。十分に症状を緩和していないと、苦痛が増強し、急に動いて照射の妨げになってしまいます。

放射線治療の継続は身体的・精神的に患者さんへダメージを与えます。看護師は患者さんの話に耳を傾け、セルフケアを認め尊重しながら、有害事象の軽減に努め、治療計画が完遂できるよう援助します。

※次回は、脱毛への対処方法について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

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