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【連載】ケースで考えよう!看護倫理レッスン

【看護倫理・事例】第1回<問題編>体位変換したら「夜中に起こすな」と怒られたケース

  • 公開日: 2014/6/10
  • 更新日: 2020/10/21

日々の看護のなかで、「本当にあれでよかったの?」と、ジレンマを感じることは多いもの。そんな看護場面には、倫理的な問題がひそんでいることがあります。

しかし倫理的な問題に気づいてジレンマを解消するには、ちょっとした訓練が必要です。そこで本連載では、ケーススタディを通して、看護倫理について一緒に考えていきましょう。


今回のケース

体位変換したら「夜中に起こすから眠れない」と怒られてしまった・・・

田中さんは、1カ月前から風邪をひき、38度台の発熱に加え、咳、痰が激しくなり、近医を受診しました。内服治療を受けていましたが、次第に食欲がなくなり、ADLが低下。食事や水分の摂取が難しくなり、脱水症で緊急入院となりました。

入院時は、意識はあるものの、発熱と呼吸困難の影響で自力では体の向きを変えることもできない状態でした。さっそく輸液と酸素吸入を開始し、尿道カテーテルを留置。看護師は、自分では動けない田中さんのために、セルフケアの補助を目的に、「ベッド上生活の援助や清潔、褥瘡予防のための体位変換」をケアプランとして立案しました。

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入院4日目になり、田中さんの熱も下がって呼吸状態が改善し、食事もベッドアップで準備すれば、一人で摂取できるようになりました。ただし、まだ自力での座位の保持が難しかったため、ベッド上での座位保持と車椅子への移動訓練をケアに追加しました。

入院6日目のことです。看護師が朝の環境整備のために訪室すると、田中さんは入り口に背を向けて横になっていました。看護師が朝の挨拶をしても返事がありません。そこで、「元気がないですね」と問いかけたところ、田中さんから、「夜、看護師さんが起こすから眠れない」という訴えがみられました。

田中さんは、「せっかく寝たと思うと、看護師さんがすぐ体の向きを変えに来るので、その後、眠れなくなってしまう」と言います。看護師が「床ずれができないように、体の向きを変えているのですよ」と説明しましたが、田中さんは、「でも入院してからずっと眠れていない」と訴えます。

看護師は、田中さんの言葉に、「私たちは不用意に田中さんを起こしているつもりはないし、必要があって体位変換などを行ってきたのに、なぜこんなことを言われてしまうのだろう」と思いました。そして、返す言葉がわからないまま、とりあえず、まずは睡眠をとってもらおうと、その場を離れました。

どんなジレンマが起きているのだろう

この場面では、いったいだれにどんなジレンマが生じているのでしょうか。ケースをもとに整理してみましょう。

田中さんは、ケアに対して不満を感じているようです。夜中に何度も起こされてしまうこと、有無を言わせず体位変換が行われること、眠りたいというニーズが障害されていることに怒っている様子が言動からうかがえます。

一方、看護師は、ケアプランどおりに行っていたケアに患者さんから不満を訴えられたことで、とまどいを感じています。自分たちがよかれと思って実施したケアが、患者さんの睡眠を妨げていたことを知り、本当にこのケアをしてよかったのか、やらないほうがよかったのかと悩んでいるのでしょう。

また、看護師は知識として、体位変換の効果を知っています。体位変換には排痰を促し、肺炎や褥瘡などの合併症を予防し、早期回復を促す効果があります。そこで、体位変換は実行したほうがいいと思う一方、患者さんにとって、より強いニーズである睡眠を優先すべきなのか、どちらを選択すべきであったのかジレンマを抱いています。

(『ナース専科マガジン2008年11月号』より転載)

次回は、「5つのポイントを確認することで、解決策を考える手がかりを得る方法」について解説します。

【解決編】
* 【看護倫理・事例】<解決編>体位変換したら「夜中に起こすな」と怒られたケース

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2014/6/10