【高ナトリウム血症】原因・症状・治療ポイント
- 公開日: 2014/7/26
高ナトリウム血症の原因
体内の水分に比べてNaが過剰にある状態、あるいはNaに対して水の喪失が顕著に生じた状態で、「血清Na値が150mEq/l以上」と定義されています。
Na濃度が上昇すると血清浸透圧も上がり、体液は浸透圧によって細胞内液から細胞外液に移動しようとします。そのため細胞内の脱水が起こり、細胞外液量が増加すると循環量過剰の症状が出現します。
原因としては、高張性脱水のように、NaとKに比べて、水分の喪失が著明に生じた場合や、尿崩症により過剰に尿から水分が喪失する場合、重炭酸NaやNa錠の過剰摂取、Na溶液の過剰な経血管投与、発熱、重度の熱傷などが考えられます。
高ナトリウム血症を呈する原因
高ナトリウム血症の症状
高Na血症は高浸透圧血症を意味します。通常は口渇による飲水行動によって水を摂取したり、抗利尿ホルモンの分泌が亢進されて血清Na濃度を正常化しようとするフィードバック機構が作動するので、入院中の患者さんが高Na血症になることは少ないと思われます。
従って、病棟で高Na血症の患者さんに遭遇するのは、飲水が不可能な状態、つまり意識障害や口渇中枢の障害などが存在する場合であると考えられます。外来でみるのは、熱中症などの大量発汗による高張性脱水によるものがほとんどでしょう。
主な症状は口渇と粘膜の乾燥などですが、時に高度な脱水から腎前性急性腎不全を合併することもあります。
高ナトリウム血症の治療ポイント
治療は低張液の輸液です。蒸留水を輸液すると浸透圧がゼロであるため、急速に静注した場合に溶血を起こす危険があります。そのため、5%ブドウ糖液として輸液します。
また、改善速度が速いと脳浮腫をきたすので、血清Na濃度の改善は「10mEq/L/日」以内にとどめます。
(『ナース専科マガジン』2014年8月号から改変引用)
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