1. トップ
  2. 看護記事
  3. 症状から探す
  4. 電解質異常
  5. 【高ナトリウム血症】原因・症状・治療ポイント

【連載】代表的な電解質異常を学ぼう!

【高ナトリウム血症】原因・症状・治療ポイント

  • 公開日: 2014/7/26

高ナトリウム血症の原因

体内の水分に比べてNaが過剰にある状態、あるいはNaに対して水の喪失が顕著に生じた状態で、「血清Na値が150mEq/l以上」と定義されています。

Na濃度が上昇すると血清浸透圧も上がり、体液は浸透圧によって細胞内液から細胞外液に移動しようとします。そのため細胞内の脱水が起こり、細胞外液量が増加すると循環量過剰の症状が出現します。

原因としては、高張性脱水のように、NaとKに比べて、水分の喪失が著明に生じた場合や、尿崩症により過剰に尿から水分が喪失する場合、重炭酸NaやNa錠の過剰摂取、Na溶液の過剰な経血管投与、発熱、重度の熱傷などが考えられます。

高ナトリウム血症を呈する原因

高ナトリウム血症を呈する原因

高ナトリウム血症の症状

高Na血症は高浸透圧血症を意味します。通常は口渇による飲水行動によって水を摂取したり、抗利尿ホルモンの分泌が亢進されて血清Na濃度を正常化しようとするフィードバック機構が作動するので、入院中の患者さんが高Na血症になることは少ないと思われます。

従って、病棟で高Na血症の患者さんに遭遇するのは、飲水が不可能な状態、つまり意識障害や口渇中枢の障害などが存在する場合であると考えられます。外来でみるのは、熱中症などの大量発汗による高張性脱水によるものがほとんどでしょう。

主な症状は口渇と粘膜の乾燥などですが、時に高度な脱水から腎前性急性腎不全を合併することもあります。

高ナトリウム血症の治療ポイント

治療は低張液の輸液です。蒸留水を輸液すると浸透圧がゼロであるため、急速に静注した場合に溶血を起こす危険があります。そのため、5%ブドウ糖液として輸液します。

また、改善速度が速いと脳浮腫をきたすので、血清Na濃度の改善は「10mEq/L/日」以内にとどめます。

高ナトリウム血症の治療ポイント

(『ナース専科マガジン』2014年8月号から改変引用)

【電解質異常のまとめ記事】
電解質とは?身体のしくみと電解質異常

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

【シリーズ第1弾 心電図って面白い!】 第2話 イオンチャンネルと膜電位

今日は週に一回、平手教授がC大学からE病院へ集中管理や手術の邪魔をしに、じゃなくて指導をしにやって来る日です。あらあら、今回も待ち構えているのは看護師のたくみ君と美和さんのようです。 ところでイオンチャンネルって何? たくみ君「先生、待ってました。先週

2018/4/12

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
8位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
9位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949