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【連載】安全・確実に実施する!与薬のポイント

第7回 正しくできてる?薬剤の保管

  • 公開日: 2014/8/19

薬剤は、保存方法が適切でなければ、薬効に影響が出る可能性も少なくありません。また、保管を厳格に求められる薬剤もあります。病棟の慣習や思い込みなどで保管しないよう、あなたの病棟の保管方法を再度見直してみましょう。


医薬品は法律によって取り扱い方法が定められている

医薬品は全て、薬事法によって管理されています。薬事法では、医薬品は作用の強さに応じて「毒薬」「劇薬」「普通薬」に分類されています。

それぞれ、使用期限、保存方法、廃棄方法などが定められているので、それに沿った管理を行うことが大切です。

薬は「温度(熱)」「空気」「光」「湿度(湿気・乾燥)」などの因子により、化学変化を起こし、劣化するものが少なくありません。これら因子の影響で、成分量が減ったり変質したり、薬効が低下・変化してしまって、患者さんの症状改善につながらない場合も出てきます。

こうした事態を防ぐためには、患者さんに投与するまで劣化が生じないよう、それぞれの薬に適した条件で管理することが大切です。

薬事法では、特別な保存方法が決められた医薬品には、容器や包装している箱などに、保存上の注意を表記することが義務づけられています。

保管温度の意味

保管温度の意味(日本薬局方による)

保管温度指示マーク(ケアマーク)の意味

保管温度指示マーク(ケアマーク)の意味
荒井有美 編著、相馬一亥、花井恵子 監修:くすりNursing Note-安全与薬看護手帳、p.27、メディカ出版、2007.より引用、一部改変

「貯法:遮光・冷所保存」「凍結を避け、5℃以下で保存」など表記方法はさまざまですが、これにより添付文書による確認ができなくても、薬剤を手に取ればひと目で保存方法を確かめることができます。

薬剤の保管はルールに従う

使用期限

薬にも基本的に使用期限があります。しかしそれには条件があり、製薬会社が示した保存条件を守ることです。それが守られていないと、使用期限内でも、成分が変わる、薬効が失われることもあります。そのため、薬は指示通りに厳格に管理します。

保存方法

薬の多くは、室温保存のため、空調がされている院内では、室温(25℃以下が望ましい)での保管で問題ありません。しかし冷所保存の薬や、薬によっては光に弱いものもあり、それらは遮光された場所に保存します。

基本的には製薬会社が求める保存方法を守っていれば間違いありません。注意したいのは冷所保存すべき薬を、常温でしばらく放置した場合です。

数十分程度ならあまり問題はありませんが、24時間の常温保存で変化しやすい薬もあるため、長く放置してしまった場合は、必ず薬剤師に相談しましょう。

麻薬・毒薬・劇薬の取り扱い

最も厳格な管理が必要なのは、麻薬や毒薬などの薬剤です。麻薬は「麻薬及び向精神薬取締法」で、毒薬と劇薬は「薬事法」で保管管理の方法が定められています。

これに則り、麻薬は麻薬専用の固定した金庫、または容易に移動できない金庫で施錠管理し、毒薬はカギ管理、劇薬は別の引き出しに入れて管理し、取り扱い時には細心の注意を払います。

使用する際は必ず看護師2人で開け、取り出した個数と残数を一緒に確認し、2人でサインをします。配薬ボックスから盗まれないためにも、取り出すのは使用直前に限ります。

残薬や使用済み容器は、医療用廃棄物として廃棄

薬の使用後の残った容器や残薬は廃棄します。分別廃棄する際は、点滴袋などに貼られた患者さんの名前が入ったラベルは剥がします。個人情報保護法の観点からも、ラベルはそのまま捨てることはできません

廃棄する際には、看護師自身や廃棄業者の安全も考えましょう。抗菌薬などは、ボトルに直接バイアルを突き刺して溶かすタイプのものがあります。ガラスが割れて怪我をしないよう気を付けて廃棄します。

廃棄方法は施設により異なりますが、当院では、ボトルを外す際の危険を考慮し、バイアルは取らずに、ボトルにつけたまま廃棄しています。ルートも途中で抜けると、刺さってしまうことから、外してから廃棄するのが基本です。

廃棄する際に最も留意するのは、薬の中には催奇形性や発がん性、さらに環境を汚染するものがあることです。それらを廃棄するときは、きちんとしたルールに則って取り扱います。

その1つが抗がん剤で、人体に悪影響を与える可能性が高いため、当院では残った薬は薬剤部で処理します。ワクチン類や血液製剤、抗がん剤などを使った容器、注射針、チューブなども同様です。

(『ナース専科マガジン』2013年12月増刊号「一冊まるごと薬のトリセツ」から改変利用)

次回は「添付文書の読み方と注意点」について解説します。

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