CVカテーテル留置部位の消毒と固定方法で正しいものはどれ?
- 公開日: 2014/12/23
- 更新日: 2021/1/6
日頃迷ってしまいがちな感染対策をクイズにしてみました。チャレンジしてみましょう。
Q.中心静脈カテーテル留置部位の消毒と固定方法で正しいものはどれですか?
- カテーテル挿入部のみを十分に消毒する
- カテーテル挿入部を被覆し滅菌を保つために、透明、半透過性のドレッシング材は大きめの物を選択する
- カテーテル挿入部局所への抗菌薬軟膏の使用は、感染防止に効果があるという根拠はないので行わない
- 患者さんが発汗または留置部位に出血、浸出液またはスキントラブルがある場合は清潔なガーゼを選択してもよい
- カテーテル挿入前、挿入部位の消毒効果を補完するためには清拭またはシャワー浴を行い、有機溶剤(アセトン、エーテル等)を用いた皮膚のケアは行わない
解答・解説は次ページ!
正答
[2]カテーテル挿入部を被覆し滅菌を保つために、透明、半透過性のドレッシング材は大きめの物を選択する
解説
消毒は挿入部のみならず、縫合部分を含めた広範囲(ドレッシング材貼付範囲)に行わなければなりません。よって「カテーテル挿入部のみを十分に消毒する」は誤りです。
「カテーテル挿入部を被覆し滅菌を保つために、透明、半透過性のドレッシング材は大きめの物を選択する」は正解で、使用するドレッシング材は器具の固定、広範囲の消毒部分を覆う目的から大きいものを選択します。
また、「カテーテル挿入部局所への抗菌薬軟膏の使用は、感染防止に効果があるという根拠はないので行わない」に関しては、局所への抗菌薬軟膏の使用は血液浄化用のカテーテルの場合には使用効果を認めるという報告があります。
しかし、中心静脈カテーテルの場合は真菌の定着、細菌の耐性化、カテーテルの素材(ポリウレタン製カテーテル)品質の劣化があるとされていることから、行いません。
ガーゼドレッシングについては、透明なドレッシング材を使用したグループとガーゼによるドレッシング材を使用したグループとで、感染のリスクを比較した研究があります。それによると両グループ間でカテーテル関連血流感染のリスクに差は認めなかったという結果が出ています。
患者さんの状況を観察して判断し、どちらを用いるか検討すればよいので、「患者さんが発汗または留置部位に出血、浸出液またはスキントラブルがある場合は清潔なガーゼを選択してもよい」は正解です。
「カテーテル挿入前、挿入部位の消毒効果を補完するためには清拭またはシャワー浴を行い、有機溶剤(アセトン、エーテル等)を用いた皮膚のケアは行わない」は正解で、有機溶剤の使用による皮膚の有機物除去は、皮膚の脱脂や過敏反応によるスキントラブルの原因となり皮膚の細菌定着を高めることにつながるため、行いません。
(『ナース専科マガジン』2011年1月号より改変利用)