【連載】看護学原論に立ち戻って考える!KOMIケアで学ぶ看護の観察と看護記録
第6回 看護にとって「病気」とは?―看護のものさし③生命力の消耗を最小にする援助(2)
- 公開日: 2015/11/4
そもそも「看護」って何だろう?何をすれば看護といえるのだろう?本連載では、看護とはどのようなことであり、どのような視点で患者を観察し、また記録するのかについて、ナイチンゲールに学びながら解説します。
今回は本連載の第5回の「患者の生命力を消耗させているもの」について、つづきをお話していきます。
慢性病に必要とされる看護の眼
慢性病を持つ患者の場合には、その人にとっての苦痛・苦悩の種(消耗の原因)となるものがあります。
それは、身体的な乱れに加えて、病室の環境や家族との関係、仕事における悩みなどです。その人を取り巻くあらゆる環境条件や社会的な問題も、生命力の消耗の原因になりますので、視野を広げた観察が必要です。
さらに「寝たきり」になってしまった場合は、この寝たきり状態そのものが生命力を消耗させることがありますので、できる限り同一の部屋に閉じ込めることのないように、生活の仕方を工夫することが大切になってきます。
ナイチンゲールは、『看護覚え書』のなかで次のように述べて、寝たきりの病人にとって、いかに「変化」が大事かということを強調しました。
人びとには、長期にわたってひとつ二つの部屋に閉じ込められ、毎日毎日、同じ壁と同じ天井と同じ周囲の風物とを眺めて暮らすことが、どんなに病人の神経を痛めつけるかは、ほとんど想像もつかないであろう
『現代社刊第7版』
また、次のような指摘もしています。