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【連載】伊藤麻紀先生の『ストーマケアはじめの一歩』

第3回 ストーマの造設ー原因疾患と造設方法

  • 公開日: 2016/2/4
  • 更新日: 2020/3/26

消化器疾患や泌尿器疾患のためにストーマを造設された患者さんは、造設により自身のボディイメージが変容することから、不安やショックを受ける方が少なくありません。

本連載では、ストーマについての基礎知識とともに、ストーマの造設を受ける患者さんとその家族に対し、看護師が身体的・心理的・社会的な側面から行なうケアについて解説します。なお、ここでは、成人のストーマケアにのみ述べていきます。

【ストーマのまとめ記事】
ストーマとは?ストーマの看護について


 本項目では、消化管ストーマや尿路ストーマが造設される主な原因疾患と造設方法について解説します。

ストーマの構造

 基本的なストーマ造設部位の断面図・各部位の名称は下記の図1のようになっています。

ストーマの構造説明図
図1 ストーマの構造(断面図)

消化管ストーマ

1.ストーマに関する解剖生理

 消化管では、消化吸収の効率をよくするため、①振子運動(縦走筋の収縮)②分節運動(輪状筋の収縮)③蠕動運動(縦走筋と輪状筋の総合的収縮)の腸運動によって、内容物が送られていきます。

①小腸:長さ4~5m、上部から2/5が空腸、残り3/5が回腸となっています。主な働きは、消化作用、吸収作用、局所免疫作用があります。

 消化作用は、小腸に入った食物を膵液、胆汁、腸液により消化しやすいようになります。炭水化物、たんぱく質、脂肪の三大栄養素、ビタミンはほとんど小腸で吸収されます。

 さらに、小腸では消化液(胆汁・膵液・小腸液)の再吸収を行っているため、5~8Lの水分が上部小腸に入りますが、大腸へ入るときには、1~2Lとなります。小腸での便は消化酵素を豊富に含むアルカリ性の強い水様便となるため、皮膚障害性が強くなります。

②大腸:約1.5~2mの長さで、結腸と直腸からなっています(図2)。消化酵素の分泌は少なく、350~500mLの水分吸収が行われます。それにより、結腸における便性は、上行結腸では水様~泥状便、横行結腸では粥状便、下行~S状結腸では有形便へ変化していきます。

大腸の区分説明図
図2 大腸の区分

2.原因疾患

 消化管ストーマが造設される目的は、①肛門を切除する場合と②肛門側に便を流したくない場合があります。

①肛門を切除する場合:直腸がんによる腹会陰式直腸切断術、単孔式結腸ストーマ造設、潰瘍性大腸炎や家族性大腸腺腫症などで単孔式回腸ストーマが造設されます。

②肛門側に便を流したくない場合:直腸がんでの括約筋間切除術(ISR)における縫合不全予防のための双孔式回腸(横行結腸)ストーマ造設、女性性器癌(子宮がんや卵巣がん、腹膜がんなど)や他臓器がんの腹膜播種や腹腔内転移・腹腔内再発では、閉塞部位より口側で双孔式ストーマ造設や、閉塞部位を切除した上で二連銃ストーマの造設、ハルトマン術による単孔式ストーマ造設などがあります。

 その他にも、大腸憩室炎による穿孔、放射線性腸炎による狭窄、穿孔、出血、瘻孔形成や外傷などがあります。

 以上のように、ストーマが造設される疾患背景はさまざまで、病変部位によって選択される術式や造設方法は多岐に渡ります。

尿路ストーマ

1.尿路の解剖生理

 腎臓で作られた尿は尿管を通り、膀胱へ集まり、尿道から排出されます。この全体を「尿路」といい、腎・尿管を「上部尿路」、膀胱と尿道を「下部尿路」といいます(図3)。

尿路の解剖説明図
図3 尿路の解剖

2.原因疾患

 尿路ストーマ造設は、尿路のいずれかの部位に異常が生じた際に行われます。

 膀胱癌・周辺臓器に発生した癌の浸潤などにより、膀胱をとる場合には、尿管皮膚瘻や回腸導管の造設、その他の尿路変更術が行われます。

 その他、尿路変更術としては、周辺臓器(子宮、直腸、S状結腸)からの尿管への浸潤や圧排、結石や炎症による尿管の狭窄による尿道閉塞により、腎瘻造設などが行われます。

 また、尿道の外傷、前立腺炎の影響による尿道狭窄などに対して、膀胱瘻造設が行われる場合があります。腎瘻や膀胱瘻は、カテーテル留置による排尿管理になります。

参考文献

1.日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会、日本大腸肛門病学会編:消化管ストーマ造設の手引き,p.43,文光堂,2014.
2.ストーマリハビリテーション講習会実行員会編:ストーマリハビリテーション実践と理論,金原出版,2006.


消化管ストーマの造設方法

 単孔式ストーマ造設が、ストーマ造設の基本となっており、様々な場面で応用されています1)。よって、ここでは単孔式ストーマ造設方法について説明します。

1.ストーマ貫通孔の作成

①ストーマサイトマーキング(図1):術前にストーマを造設する位置にマーキングを行います(詳細は、ストーマサイトマーキングの項目を参照)。

ストーマサイトマーキング説明図
図1 ストーマサイトマーキング

②皮膚切開:マーキングされた部位に、出来上がりが円形になるように約3㎝の皮膚切開を行います。切開の方法は、直線や楕円形~円形などがあります。

③筋膜切開:皮下脂肪を分け、腹直筋膜前鞘(腹直筋を囲む筋膜の皮膚側)を切開(縦切開もしくは十字切開)します。筋膜切開が小さいと腸管膜血流障害や腸管虚血の誘因となり、大きすぎると傍ストーマヘルニアの誘因となります。

④腹直筋切開:腹直筋を鈍的に裂いて、腹直筋後鞘を露出し縦に切開します。

2.腸管の挙上

 結腸を挙上する経路は、腹膜外経路と腹膜内経路があります。

 腹膜外経路は、傍ストーマヘルニアやストーマ脱出の予防のために行われていますが、腸管の距離が短い、将来的にストーマを閉鎖する、緊急手術の場合には、腹膜内経路が選択される場合があります。

 いずれかの経路により、結腸断端を体外へ誘導します。高さのあるストーマを造設するための挙上は5~8㎝程度とされています。

3.一時開口・粘膜皮膚縫合

 挙上した腸管と腹壁を真皮、腸管漿膜筋層、腸管全層の順に縫合糸をかけ、外翻縫合し、突出したストーマを作成します。

 ※他の造設方法の詳細については、専門書を参照してください。

尿路ストーマの造設方法

 膀胱以下の尿路を切除した場合に行われるストーマ造設方法について解説します。 (膀胱切除方法については、他の専門書を参照)

①回腸導管:左側腹部に造設されることが多くあります。

 回腸末端20㎝から口側20㎝の回腸を腸管膜を付けたまま遊離します。口側は閉鎖し、尿管を吻合し、導管を作成します。腹壁にストーマ貫通孔を作成し(単孔式ストーマの造設方法 参照)、作成した回腸導管の肛門側を出し、皮膚と粘膜を外翻縫合して、皮膚から突出したストーマを作成します。

②尿管皮膚瘻(図2,3):回腸導管の手術に比べて、侵襲の少ない手術です。

 尿管を後腹膜腔で同定し、可能な限り下方まで剥離し、膀胱側の尿管を切断します。

その後は、尿管を傷つけないよう周囲の脂肪組織を付けたまま、腎臓側へ向かう尿管を剥離します。腹壁にストーマ貫通孔を作成し、尿管を通し、尿管の断端を切開し、皮膚と腹壁を縫合します。

尿管皮膚瘻のストーマ(突出型)
図2 尿管皮膚瘻のストーマ(突出型)

尿管皮膚瘻のストーマ(平坦型)
図3 尿管皮膚瘻のストーマ(平坦型)

 尿管は左右2本ありますが、残せる長さによって片側の場合と、左右別々に腹壁に出す場合とあります。両側出す場合には、2つのストーマを持つことになります。

 また、腹壁や尿管同士の吻合部が狭窄を起こしやすく、カテーテルを挿入したままストーマ管理をすることもあります。

引用・参考文献

1.日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会、日本大腸肛門病学会編:消化管ストーマ造設の手引き,p43,文光堂,2014.
2.日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会、日本大腸肛門病学会編:消化管ストーマ造設の手引き,文光堂,2014.
3.ストーマリハビリテーション講習会実行員会編:ストーマリハビリテーション実践と理論,金原出版,2006.