グローバルに活躍できる研究者の育成を目指す ーグローバルナーシングリサーチセンター記念講演会ー
- 公開日: 2017/11/19
2017年10月11日に、東京・学士会館にて東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター(以下、GNRC)記念講演会が開催されました。GNRCは、異分野融合型イノベーティブ看護学研究の推進、およびケアイノベーションを先導することを目的とした、日本初の看護系研究センターです。ここでは、その記念講演会の模様をお伝えします。
看護科学の発展と次世代の看護専門家の育成を目指したセンターが誕生
最初に、東京大学大学院医学系研究科研究科長・宮園浩平さんがお祝いの言葉を述べました。ここでは、GNRCが医学教育国際研究センター、疾患生命工学センターに続き、東京大学大学院医学系研究科の3つ目の研究センターであることを紹介。そして、5年間の期限付きのプロジェクトとしてスタートし、KPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)で評価されることを伝え、次期につなげるためにも皆様のご協力とご支援をお願いしたいと呼びかけました。
次に行われた来賓の挨拶では、GNRCの設立にあたり協力した参議院議員の石田昌宏さん、文部科学省高等教育局医学教育課看護教育専門官の斉藤しのぶさん、日本看護科学学会 理事長鎌倉やよいさんが檀上に立ちました。石田さんは看護師国家資格をもつ参議院議員であり、しばらくは看護師の数を求める政策が続くが、団塊の世代である高齢者の減少に伴い医療費も減少することを指摘。そうなれば、看護の質を求める政策が中心となるとし、質を向上させるためには、研究や技術による看護の劇的な変化が必要だとGNRCの設立に期待を寄せました。
斉藤さんは、少子超高齢化を迎え、“治す医療”から“支える医療”への転換の必要があり、そうした背景がありGNRC設立に至ったと説明。鎌倉さんは看護学について看護方法論を確立し標準化することが課題とし、いずれもGNRCへの大きな期待を述べました。
次に米国国立看護研究所所長パトリシア・グレーリーさんのビデオメッセージが披露され、各講演が始まりました。なお、すべての講演は、GNRCが目指すグローバル性を重視し、英語によって行われました。
グローバルに活躍できる若手研究員の育成を目指す
最初の演者は、GNRCのセンター長である真田弘美さんです。真田さんは、GNRCの必要性、理念を紹介しました。超高齢社会を迎えた現在、看護職の不足に対応するには、コミュニケーション技術、人工知能の活用など、異分野融合型のイノベーティブの看護学の研究が必要であると示しました。また、近年では看護学系の大学が増加するとともに、若手研究者が実習指導に多くの時間を費やし、自らの研究を行う時間がないという現状を指摘しました。このままでは、看護学の研究者不足という事態に至りかねないとし、ポスドク※の研究機関が必須であると訴えます。これらのことから、GNRCは異分野融合型イノベーティブ看護学研究の推進、およびケアイノベーションの先導を目的に設立されたことを強調しました。