知ってほしい多職種連携―私たちにできること! 術前からの 栄養介入により 患者さんの 栄養状態が向上!【PR】
- 公開日: 2019/3/27
疾患や創傷の治癒促進には、患者さんの栄養状態が密接にかかわります。 日々の食事において、より摂取しやすく必要な栄養素を含む食品を適切に選択することは、患者さんの栄養状態によい影響を与えます。
そこで本企画では、術前から術後にかけ栄養指導の一環として多職種で介入し、オルニチン・グルタミン含有粉末飲料の摂取を導入した横浜旭中央総合病院の取り組みについてお話しいただきます。
アルギニンと比較して腎臓への負担が軽い飲料の選択
貴院で栄養指導に、オルニチン・グルタミンを含む飲料を導入するようになった経緯を教えてください。
鈴木: はじまりは数年前、透析の患者さんが怪我の治療のために入院してきたときのことです。栄養状態がよくないうえ食事制限もあるなかで、治癒を促進するためにできることはないかと思い、透析室担当の管理栄養士に相談しました。そして侵襲下における条件付必須アミノ酸であるアルギニンを含む飲料を飲んでもらうことになったのですが、しばらくすると血中尿素窒素(BUN)が上昇してしまったのです。そこで再度、管理栄養士と話し合いました。
木梨: このとき当時の担当者が、オルニチン・グルタミン含有飲料に切り替えることを提案したと聞いています。オルニチンはアルギニンより窒素の含有量が少なく、腎臓への負担が軽い一方で、アルギニンと同じような働きが期待できるからです。
鈴木:その後、患者さんも積極的に摂取に取り組んでくださり、怪我も順調に治り、退院することができました。
木梨: 当時、オルニチン・グルタミン含有飲料は、おもに褥瘡の患者さんへの栄養サポートを目的として使っていましたが、現在は消化器外科でも導入しています。それは、3年ほど前に院内の勉強会に招いた外部講師の消化器外科医から、オルニチン・グルタミンを含む飲料の摂取によって、手術部位感染が懸念される直腸がん患者さんへの術後の効果的な栄養サポートになった、という報告を聞いたことがきっかけです。
岡本: 消化器がんの場合、患者さん本人が気づいていなくても食欲が落ちていて、栄養状態が低下しているケースが少なくありません。栄養状態が悪いと術後の創傷治癒にも影響します。そこで論文のデータや勉強会などをふまえ、白羽の矢が立ったのがオルニチン・グルタミン含有飲料でした。これなら食欲がなくても飲めるのではと思いましたし、入院後の絶食期間に入っても飲水が可能であれば摂取できるからです。
実際、患者さんにはどのように説明して、摂取してもらっているのですか。
岡本: 消化器がんの治療においては、術後の縫合不全などの合併症を回避するために、できる限りのことをすべきだと思っています。そこで当院では、消化器がんの確定診断がついて手術が決まった患者さんには全例に、外来で術前の栄養指導を受けていただいています。
木梨: 栄養指導では、握力を測定し、日常の運動や食事の状況などをお聞きします。そしてタンパク質が不足傾向の患者さんには、低栄養状態が術後合併症のリスクであることや、周術期の栄養摂取の重要性について説明し、最後にオルニチン・グルタミン含有飲料を紹介しています。
当院で導入している製品は、決して安いものではありませんし、食品なので摂取は患者さんの意思にお任せしていますが、きちんと理解していただけると、ほとんどの方が進んで購入して飲んでくださいます。
岡本: 入院の1週間ほど前から1日に2包ずつ飲んでいただき、入院の際に残りを持参していただきます。入院後は絶食ですが飲水はできるので、手術直前までは飲んでいただき、術後は、飲水が可能になったら再開していただきます。
木梨 当院で導入した製品は、ちょうど1箱30包入りで、術前と術後1週間ずつでほぼ飲み終わり、患者さんもわかりやすいようです。シェイクなどがいらず水に溶かして飲むだけなので、口頭で説明すれば患者さんは飲み方を理解してくださいますね。高齢で飲み忘れがちな方には、箱に「◯日から朝・夕1つずつ飲んでください」とメッセージを書くなどの工夫をしています。
鈴木: 入院後は毎日、看護師が摂取状況を確認していますので、飲めていないときには、NST(nutrition support team:栄養サポートチーム)回診の際などに医師や管理栄養士と相談して対応しています。
打つ手が増えることがケアの質の向上につながる
この飲料の導入によって、どのような利点を感じていますか。
木梨: 胃がんの患者さんについて、オルニチン・グルタミン含有飲料使用の有無と術後の縫合不全等の発症の関係を調べました。現時点では症例数が少なく明らかな傾向は認められませんでしたが、現状として近く学会で報告することにしています。今後は大腸がんなどほかのがんのデータもまとめたいと思っています。
岡本:消化器外科で導入を始めてからまだ1年ほどですし、有意差のあるデータは見い出せていません。縫合不全などの合併症の要因は栄養だけではなく、あらゆる側面から検討しなければなりませんが、現在のさまざまな取り組みにより改善してきているという印象はもっています。今後も継続してデータを集めていきたいと思っています。
木梨: まとめたデータは院内の勉強会でも報告しています。勉強会では、アミノ酸の研究に詳しいメーカーの方にもお越しいただき、オルニチンの働きや製品の特徴、使い方などを説明していただいています。
鈴木: 勉強会やNST回診などを機に、消化器外科病棟以外の看護師にも理解が広がってきていることを感じます。看護の立場としては、食欲が低下している患者さんに対し、こういった食品があることで打つ手が増え、栄養科とともにサポートすることでケアの質の向上につながっていると感じています。
木梨: 粉末がスティック状に包装されており軽い製品なので、外来で買って持ち帰るのも入院時に持ち込むのも苦にはならないようです。また、おいしいと好評で、退院後も飲み続けている患者さんもいます。
鈴木:1包の量が少ないため、食欲が落ちた患者さんには飲みやすいようですね。
今回の飲料の導入にはどのような意義があったのでしょうか。
岡本: 術後に合併症が起きたり食べられなくなったりしてから対応するのでは、すべてが後手に回ってしまいます。患者さんにとっても医療経済的にも、術前から予防的に介入したほうがよいのは明らかです。この飲料をどのように使えば効果的であるかを検討することが、我々に早期介入の必要性を再認識するきっかけを与えてくれたともいえます。
木梨: 術前から患者さんに関わっていると、術後に問題が生じたときに管理栄養士としてもすぐに気づくことができます。高齢化が進む地域にある当院においては、このような飲みやすい製品は高齢者にも理解が得られやすく、術前からのサポートにとても役立っています。
鈴木: 栄養指導を早期から行うことによって、患者さん自身に、「手術がうまくいって早く退院できるように頑張ろう」という主体的な意欲を喚起していると感じます。一方で、手術や傷の治癒という明確な目標がある外科系の患者さんと違い、内科の患者さんにとっては、直近で目に見えるような目標は立てにくいのも事実で、栄養介入には工夫が必要です。
とはいえ、この飲料の導入は、看護師だけでは解決できない問題を他の職種と協力することで改善できた実例となりました。日頃から各職種間で積極的にコミュニケーションをとる大切さや得られるものの大きさを改めて気づかせてくれました。
岡本: 術前から患者さん自身に努力していただくことで、“医師に治療してもらう”ではなく、“一緒に治していく”という関係性が構築されたと思います。当院のスタッフはみな勉強熱心で、それがよいものだとわかると、新しい提案や変化にもフットワーク軽く柔軟に対応しようとする土壌があり、それが今回のオルニチン・グルタミン含有飲料の導入につながったと思います。今後もそれぞれの職種で積極的に協力しながら、よりよい医療のため取り組んでいきたいと思います。
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