[診療報酬] 「短手3」の外来実施率、9つの手術・検査で4割超 厚労省
- 公開日: 2019/9/20
中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」が19日に開いた会合で、厚生労働省は、短期滞在手術等基本料3(4泊5日まで)の対象とされている計17の手術や検査のうち9つで、外来など入院外での実施率が2018年5月に4割を超えていたとする分析結果を示した。
それを受けて意見交換では、日帰り手術を行った場合に算定する短期滞在手術等基本料1に、そうした手術や検査を切り替えるべきだという意見があった。
厚労省の分析では、短期入院(1泊2日)による顎下腺摘出術などの実施を評価する短期滞在手術等基本料2が、18年5月の1カ月間に全国でも79回しか算定されていなかったことも分かり、井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は、「現実的に役割を終えたというイメージ」だと指摘した。
19日の会合で厚労省は、20年度の診療報酬改定に向けて、短期滞在手術等基本料1、2、3の算定状況などの分析結果を報告した。それによると、短期滞在手術等基本料3の対象とされている計17の手術・検査の外来など入院外での実施率(18年5月)は、小児食物アレルギー負荷検査89%(DPC対象病院での実施は含まず)、下肢静脈瘤手術75%、経皮的シャント拡張術・血栓除去術70%などの順で、17の手術・検査のうち9つで4割を超えた。
そのため松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)は意見交換で、「外来でできるものがあるなら短期滞在1に移っていただく形で整理していただければと思う」と述べた。一方、牧野憲一委員(旭川赤十字病院長)は、白内障の水晶体再建術を例に、日帰りで対応するのが難しい合併症のある症例などが病院に集まりやすい現状を指摘し、慎重な対応を求めた。
これに対し、山本修一委員(千葉大医学部附属病院長)は、「(水晶体再建術は)もう少し増やせる印象だ」と述べる一方、日帰り手術センターを立ち上げるなど、外来へのシフトには病院側の体制整備が必要だと指摘した。さらに、「1日当たりの単価では日帰りの方が高くなるが、1症例当たりの総収入だと入院させた方が高い。日帰りへのインセンティブが働きにくい」とも述べた。
短期滞在手術等基本料3は、08年度の改定で新設された診療報酬で、対象の手術や検査を入院5日目までに行った全症例で、原則としてこの基本料を算定する。入院基本料など大半の報酬が手術1件当たりの包括払いになるため、早期退院のインセンティブが働きやすい上に、短期滞在手術等基本料3の症例は「平均在院日数」のカウント対象などに含まれない。
14年度の改定では、前立腺針生検法など21の手術・検査に対象が拡大された。しかし、18年度の改定ではDPC対象病院による算定が不可とされた。これは、短期滞在手術等基本料3と基本的な考え方が同じDPCの「D方式」に統一するための措置。D方式では、入院初日に診療報酬が全て支払われる。
(厚生政策情報センター)
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