[医療改革] 全世代型社会保障検討会議が初会合 首相、具体的検討を指示
- 公開日: 2019/9/24
関係閣僚や有識者らによる政府の「全世代型社会保障検討会議」が20日、初会合を開き、少子・高齢化が進む2040年に向けた社会保障制度の見直しを巡る議論をスタートさせた。
医療関連では、効率的な医療提供体制の整備や、「給付と負担」の見直しなどが焦点になる。安倍晋三首相は初会合で、具体的な検討を、総力を挙げて始めるよう加藤勝信厚生労働相ら関係閣僚に指示した。
検討会議は、内閣改造を行った11日に安倍首相が早期の立ち上げを表明していた。少子化に伴う現役世代の減少と高齢化が同時に進む40年以降も、医療などの社会保障制度を持続させるための対応策を話し合う。最終報告は20年6月を目指す。政府は、社会保障関連の重点施策を骨太方針2020に盛り込む。
検討会議では、年明けの通常国会への関連法案提出を視野に中間報告を年内に取りまとめる。それに向けて、公的年金制度の見直しや高齢者の就業機会の確保策などを先行して議論する見通し。ただ、検討会議の具体的な進め方は与党と調整する。
19年度の社会保障費(予算ベース)は、GDP(国内総生産)の21.9%に当たる123.7兆円で、2000年の78.4兆円から約1.6倍の増。そのうち医療は39.6兆円で、全体の32.0%を占めている。少子化の影響で現役世代が減少するのに対し、都市部を中心に40年ごろまで高齢化が進む見通しで、公的医療保険の財政悪化が避けられない。
政府が6月に閣議決定した骨太方針2019では、それへの対応策として、医療・介護制度改革や健康寿命延伸プランの推進を盛り込んだ。医療・介護制度改革では、現役世代の減少や働き方改革やの影響で医師などスタッフの供給が減少しても、必要なサービスを提供できる効率的な体制整備を目指す。
20日の初会合では、給付と負担の見直しを求める意見もあったが、西村康稔経済財政政策担当相は会合後の記者会見で、「財政のみの視点で社会保障をばっさり切るようなことは考えていない」などと強調した。
医療の給付と負担の見直しを巡っては、健康保険組合連合会が9日、後期高齢者(75歳以上)による医療費の自己負担増などを提言したが、日本医師会は「受診抑制を引き起こしかねない」などと強く反発している。
(厚生政策情報センター)
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