第19回 本格的な在宅静脈栄養の実施方法
- 公開日: 2010/12/13
本格的な在宅静脈栄養法って、普通の在宅静脈栄養法とは違うの?という疑問が出てくるかもしれませんね。もちろん、タイトルを決める時点でかなり考えてみたのですけど。本格的な在宅静脈栄養法とは、「とりあえず家に帰そうや」という程度ではなく、何年でも管理できる技術をもって実施する、という意味だと受け取ってもらえば幸いです。
本邦では、お国の方針として在宅医療が推進され、病院における在院日数を短縮するためには「とりあえず退院させなくては。そのためには在宅静脈栄養法も一つの方法だな」という感じで実施されている場合も多いようです。その考え方の甘さから、カテーテル感染を初めとする合併症が発生して、在宅医療が継続できなくなる患者さんも多いと聞きます。10年、20年と家で生活できるようにするのが、本格的な在宅静脈栄養法のはずなのです。
まずは用語から
すでに解説したかもしれませんが、在宅静脈栄養法の略語はHPNです。Home Parenteral Nutritionの頭文字をとってHPNです。在宅IVHと言っている方もまだ多いようですが、正しい用語はHPNであると覚えてください。要するに、高カロリー輸液のことはIVHではなくTPNと呼びましょう、というキャンペーンを私が開始してから既に10年以上になりますが、まだIVHという用語が使われています。本当、どうしたらIVHという用語はなくなるのでしょうね。それが在宅IVHという用語にも残っているのです。学会や研究会で在宅IVHと呼んでいる方の発表は、私は、正直、あまり信用しないようにしています。なぜか?本格的な在宅静脈栄養法について、たぶん、論文などを読んでいないと思われるからです。もちろん英語はhome parenteral nutritionです。IVHという用語で検索をかけると、intraventricular hemorrhage(脳室内出血)の略語、ということになります。栄養管理の領域では、勉強している方はIVHという用語を使わなくなっています。ということは、きちんと在宅静脈栄養法について論文を読んだりして勉強している方は、在宅IVHという用語は使わず、HPNという用語を使うようになっているのです。在宅IVHという用語を使っている方にはかなりきつい言い方かもしれませんが、まずはHPNという用語を使うことが、「本格的な在宅静脈栄養法」を実施するためには重要なことのように思います。