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【連載】初歩からわかる看護研究

Step1【看護研究】「自分が知りたいこと」をとことん大事に

  • 公開日: 2011/12/6
  • 更新日: 2020/10/22

私自身、試行錯誤しながら、臨床看護師への研究指導をしてきました。多くの看護研究のビギナーに指導をしてきた経験から、ビギナーにとっては何がわかりにくく、どんな壁にぶつかるか、そしてそれをどう乗り越えるかのアドバイスができるようになりました。

この連載をとおして、読者のみなさんが研究の楽しさを味わえるよう、さまざまな研究のノウハウを紹介していくつもりです。


【看護研究まとめ記事】
* 看護研究とは?テーマ選びと書き方まとめ(計画書、文献など)

看護研究が楽しくないのは「わからない」から

私はこれまで、いろいろな病院での看護研究に対し、指導やアドバイスを行ってきました。そういうときに最も伝えたいことは、何よりも「楽しさ」です。

最近では、看護研究をやりたいと希望する人が名乗り出て研究する「手上げ方式」も増えてきましたが、卒後教育の一環でやらざるをえなくて取り組む看護師も、まだまだ多いと思います。そのような状況ですと、せっかく研究をしても「仕方なくやる」という、消極的なものになってしまいます。

自分なりに追究したいテーマもなく、動機付けが低いまま始めてしまうと、取り組み方に積極性がもてず、ずるずる先送りしているうちに、時間がなくなります。そうなると忙しい思いをしたわりには結果が伴わず、研究を終えたときには「もうこりごり」という状態になるでしょう。そしてせっかくの研究もその回限りのものになり、現場での継続研究に結びつきません。半年、1年という時間をかけるのに、研究の楽しさを味わえずに終わってしまうのは、本当に残念です。

では、※研究はなぜ楽しくないのでしょう。それは「わからないから」です。研究の方法を学んでいない人にとって、研究とは、何をどうやったらいいかわからない難しいもの、というイメージがあるかもしれません。

しかし、私はこれまで、臨床の看護師に研究指導をしてきて、わからなかったことがわかってパァー!と顔が明るくなる瞬間を、何回も経験しました。「わかるのってうれしいですね。この先もできそうな気がしてきました」と言ってもらえたとき、「ああ、指導してきてよかった」と思います。

研究の面白さは日常感じる疑問がわかること

私自身、すばらしい研究者というわけではありません。初期の研究では、思いつくままに作った質問紙に重要な項目が抜けていたという失敗などもあり、 そのたびに一つずつ乗り越えてきました。だからこそ、研究の初心者が、どこでつまずき、失敗するかがわかりますし、それを「わかった!」に変えるお手伝いができると思います。そして、1人でも多くの臨床看護師に※「わかると研究は楽しい」ということを、知ってもらいたいのです。

私は大学の卒業研究で「療養生活を送る患者さんの日常生活」をテーマにしたのが、研究の始まりです。看護師として臨床で働くようになってからは、在宅栄養管理に関する研究や独居高齢者への訪問看護をとおして「QOLとは何だろう」と思い、通院している独居高齢者のQOLに関する研究をしました。

研究者になった今、慢性疾患患者さんが病をもちながらも自分らしく生きるということを視点とした研究を行っています。再び大学時代に近いテーマに戻ったのは、最初のテーマこそが「自分にしかできない研究」と思えたからです。

研究が楽しいと感じるための最も基本、それは日常感じる疑問や、自分が本当に「知りたい」と思うことを、研究テーマにするということです。これは、研究が成功するための秘訣でもあるのです。それについてお話ししましょう。

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臨床の疑問を見極めてからテーマ設定を

師長から「とにかくまず研究計画書を書きなさい」という指示があり、一応書いてみたものの、その後どうすればよいかわからない、というのはよくあることでしょう。どういう項目でデータ収集をすればよいか思いつかない、せっかくデータを集めても分析の方法が見当つかない。このように研究につまずいてしまうのです。これは、「自分が何を知りたいか」という「研究疑問」が定まる前に研究に着手してしまうことが原因です。

自分が知りたいことは何なのか、興味をもって取り組めることは何かを見極めるためには、時間をかける必要があります。

私が研究指導をしたある病院での看護研究を例に挙げましょう。そこでは、長期入院の患者さんのわがままが問題になっていましたが、それに対し、優しく接することのできるベテラン看護師がいたそうです。研究者である後輩看護師は、その優しさについて知りたいと、ふと思いました。

しかし、研究計画の段階では「看護師が患者さんを『受容できない要因』を探る研究」になっていました。看護師が受容できない要因は、業務の多忙さや、疲労など、先行研究にもいろいろと挙げられています。しかしこのとき私は、これが本当にこの研究者の知りたいことだろうかと思いました。そこで「これが本当にあなたの知りたいこと? 初めは何を疑問に思いましたか? それをよく考えてみて」とフィードバックしました。

すると、研究者は初めに自分が抱いた素朴な疑問を、あらためて問い直しました。あのベテラン看護師の「優しさ」って何なのだろう、と。自分が知りたいのは「受容できない要因」ではなくて、「看護師の優しさとは何か」だと。私は、それこそがその人の研究疑問だと思い、この研究を応援しました。

日常で感じたインスピレーションを大切に

「そんな素朴な疑問がテーマに?」と驚かれるかもしれませんが、最初にインスピレーションを感じた、日常の「疑問」や「問題」こそが大切なのです。

消極的に研究に取り組んだり時間に焦っていると、「自分が何を知りたいか」を突き詰める前に、「簡単にできそうなテーマ」や「流行のテーマ」に決めてしまいがちです。

しかし、自分が本当に知りたいことでないと、研究途中でテーマを見失いがちで、分析の過程で自分が何をしたかったかわからなくなってしまいます。また、継続意欲も湧かないのでその場限りの研究になってしまい、「苦痛」や「面倒」だけが残ってしまうものです。

反対に、自分が本当に知りたいことを研究テーマにすれば、多少の困難や時間的制約を乗り越えられるし、研究過程で知りたいことが一つひとつわかるたびに、楽しさを感じられるはずです。

自分だけの素朴な疑問から発した研究には愛着が感じられ、自分で責任がもて、完成したときは大きな自信につながります。そうすれば、継続的な研究への道にもつながり、それがやがて看護の現場を大きく変える可能性もあります。

そもそも看護研究の目的とは、結果を患者さんに返してより良い看護をすること。ですから、自分の目の前の患者さんの看護をするなかから感じることを テーマにしないと、研究の意味がないのです。また、そうでないと、研究者にとっても研究の意義が薄い「面白くない」研究になってしまいます。

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2011/12/6