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【連載】看護研究はじめの一歩

第4回 観察法を使った看護研究

  • 公開日: 2009/5/17
  • 更新日: 2020/10/22

観察法とは

今回は観察法を使った研究についてお話します。 観察法とは、対象者の行動を自然な生活場面や、あらかじめ用意された実験場面などで観察し、記録する方法です。

観察法の利点

観察法の最大の利点は、対象者の「自然な行動や反応」を調べるのに適しているということです。 質問紙法では対象者が回答をネジ曲げるリスクがあることを前回お話しました。

しかし観察法は、行動という、意識的なネジ曲げが難しいものをとらえるために、客観性が高いといえるでしょう。 看護師さんの皆さんは質問紙調査が好きで、色々な課題を解決するために利用します。

しかし例えば「医療従事者の衛生的手洗いの実施状況」を調べるなら、質問紙調査より観察法の方が客観性の高いデータを得ることができるでしょう。

2つめの利点は他の研究方法に比べ、対象者に与える身体的・心理的負担が少ないことです。 質問紙法や面接法では対象者にある程度の体力・気力が要求されますが、観察法では対象者は観察されるだけなので、特別な体力・気力は必要ありません。

3つめの利点は、言語能力が未熟な対象者や障害のある対象者にも活用できるということです。 ヘレン・ケラーの教育を行ったアニー・サリバン、野性児研究を行ったイタールなどの研究法は観察法が中心です。

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観察法の欠点

観察法は客観性の高い研究方法といっても、観察する主体は人間ですから、その人間のものの見方やその日の体調などによって観察内容が左右されます。

夜道でススキを幽霊と見間違ったり、好意を寄せた人の行動はすばらしく見えたり、見たくない行動は無視したり・・・。そうした事実を歪ませるような色眼鏡は誰しもかけているものです。

ですから、観察したことが「事実である!」と厳しく主張することは誰にもできません。  観察法の欠点の2つめは、自然な行動が起こるのを待つために多くの時間がかかるということです。

わたしはかつて、がん終末期患者さんの家族の研究を観察法で行ったことがあります。

患者さんが終末期の告知をされてから、時間的経過とともにご家族がどのように課題をみいだし、どのように対応していくかを調べたのです。 家族が行動を起こすまでには時間を要し、1事例の情報を収集するのに3か月もかかりました。  欠点の3つめは、対象者のプライベートな行動の観察には限界があるということです。

いくら学術的に価値があるといっても、対象者のプライバシーを侵害するようなのぞき見的な観察法は倫理的に問題です。絶対に行ってはならないのです。

観察法の種類

観察形態による分類

観察法は観察形態によって参加観察法と非参加観察法とに分かれます。 参加観察法は対象者の属する状況に研究者が参加して何かしらの役割を果たしながら観察する方法です。

病棟で看護業務をしながら患者さんを観察することなどがこれに該当します。 この方法は対象者の至近距離で観察できるという利点がある一方で、研究者の存在が対象者に影響を及ぼしてしまうとう

欠点があります。 非参加観察法は、対象者の属する状況から離れて観察する方法です。 マジックミラー越しに対象者を観察したり、別室のテレビモニターで観察したりする方法があります。 この非参加観察法はさらに2つに分けられます。

対象者の自然な行動を観察する自然観察法と、部屋に対象者の行動が起こりやすいような「仕掛け」をする実験的観察法です。 「仕掛け」をする方が、対象者の行動を誘発しやすくなります。 こうした観察法は、研究したい課題によって使い分けていきます。

記録方法による分類

記録方法によって測定的観察法と記述的観察法に分けられます。 測定的観察法の目的は、のちに統計処理をし、行動の特徴を明らかにしたり、行動に影響する要因を導き出きだしたりすることです。 そのため、観察結果がすべて数字で置き換えられるように記録します。その方法にはいくつかあり、代表的なものとしてイベントサンプリング法、タイムサンプリング法、評定尺度法などがあります。それぞれの特徴について表に示しました。

記録方法による分類

記述的観察法は、観察結果を文章で記述していくものです。 日誌法や逸話記録法があります。

日誌法は、育児日誌などのように観察した内容やその周辺事項を幅広く記述する方法です。

逸話記録法は特定のエピソードが起こるたびに、その開始から終結までを詳細に記述していく方法です。

記述的観察法は「物事の正体を明らかにする」ために用いられる方法ですが、その分析には、質的分析法という方法を用います。 これは、記述内容を吟味してカテゴリ化したり、カテゴリの関係を明らかにしたりする分析方法です。

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