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【連載】大切な人を亡くす子どもへのケア

第16回 チャイルドライフスペシャリストの役割(後編)

  • 公開日: 2011/11/2
  • 更新日: 2020/10/22

子どもの感情を表出させるためには、「遊び」は大切な要素です。CLSは、子どもの様子や状況を見ながら「遊び」を提案し、子どもの感情が表出できる環境を整えていきます。もう一つの事例を見てみましょう。


「遊び」の中で子どもは感情を表し、消化していく

子どもにとって「遊び」は生活であり、感情を表出する場であり、リラックスし日常を取り戻す場でもあります。CLSによるサポートは、そうした「アクティビティ(遊び)」を通して行われます。特に、感情を言語化できない年齢の子どもにとっては、遊びの中でその子どもの心の内が表れてくることがあります。

例えば、人形遊びの「お医者さんごっこ」の場面で、「悪いことをしたから注射します」という子がいたとします。それは注射は治療のためではなく、自分が悪い子だから注射されていると感じているからなのです。

同時に、子どもは状況を受け入れるために、例えば、「注射はちょっぴり痛いだけ」など、何度も同じ言葉を繰り返し、消化していきます。CLSが子どもの理解状況、不安・怖れなどの感情をキャッチする手段として、アクティビティは子どもとかかわる上で、一番大切なものです。

アクティビティを選択するにあたっては、緊張している場面ではぬり絵などの単純な物を、感情の表出を見るときは人形でのごっこ遊びを、家族の輪を深めたいときにはカードゲームをといったように、子どもの様子や状況を考えます。

親を亡くす子どもにとっては、アクティビティはそのまま、親と一緒に過ごした思い出にもなります。
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事例2──親の死を前に「ただ側にいるのはつらい」

ERから、クモ膜下出血で意識不明で搬送されてきた50歳代男性の子どもたちを見てほしいと依頼がありました。

男性は、ICUで呼吸器が装着された状態だったので、高校2年生の長女と中学1年生の長男に対し、「お父さんは機械で息をしている状態」であること、「苦しくもないし、痛みもないこと」をまず、説明しました。

親の死を前にしたとき、黙って側にいるのは、子どもにとってつらいことです。「つらければ側を離れてもいいこと」、「いつものように遊びを楽しんでもいいこと」を子どもと家族に伝え、子どもたちをCLSが見守ります。

このケースでは、亡くなる少し前に子どもたちとベッドサイドで、父親がどんな人だったかなどの話をしながら、モールで造花作りをしました。初めはCLSに会うことを疑問に感じたという長女は、父親の死後、「弟のために来てくれたんだろうけど、CLSに会えてよかった」と話していました。

小さな子どもに限らず、思春期の子どもも、やはり思春期なりの思いを抱えており、ケアを必要としているのです。

救急の場で子どもをサポートする米国のCLS

米国では、小児科病棟だけでなくERにもCLSが配置され、救急搬送されてきた子ども、親が搬送されてきた子どもをサポートしています。また、「がんになった親をもつ子ども」を対象とした6週間のケアプログラム「CLIMB(Childrens Lives Include Moments of Bravery)」が広く提供されています。

これは、親の病気について話すことのできる環境を提供するもので、さまざまなアクティビティを通して、感情を表出したり、自分の感情へ対処する方法を習得するものです。

こうした取り組みが日本でも望まれますが、文化背景や国民性の違いなどから、感情表出の苦手な日本人に応用する場合、その点に考慮する必要があると思います。

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