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【連載】ナースのための接遇セミナー

第2回 【ナースの接遇】伝わる「挨拶」と「お見送り」

  • 公開日: 2014/1/9
  • 更新日: 2021/1/5

▼看護師のコミュニケーションとマナーについて、まとめて読むならコチラ
看護師のコミュニケーションとマナー


こんな「場面」は身に覚えがありませんか?

Episode1 丁寧なお見送りのはずが…

 あるクリニックで、受診を終えた患者さんに、看護師が「お大事になさってくださいませ。お気をつけてお帰りくださいませ」と、連続して言葉をかけています。そこに患者さんから返る言葉はほとんどありません。

*言葉かけ自体はとても丁寧だけれど、何か寒々しいこの雰囲気。あなたはどうしてだと思いますか。

Episode2 忙しさが態度に表れてしまい…

 また、ある病院の外来待合室で。次に診察する患者さんの名前を、「○○さん、中へどうぞ」と看護師が呼びかけます。そして、診療が終わって患者さんが出てくると、「お大事にどうぞ」という看護師の声。でも発せられたそれらの言葉には抑揚がなく、「……どうぞ」と発する時には、看護師は既に次の動作を起こしています。

 待合室にいるほかの患者さんたちの目には、その言葉は患者さんに届けようとされていない、ぞんざいな応対に映ります。

 ※患者さんに応対しているとき、別の患者さんたちから「見られている」ことを、あなたは感じていますか。
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一方通行のセリフでは伝わらない「思いやり」

 コンビニエンスストアで、「いらっしゃいませ、こんにちは」という挨拶を聞いたことがありませんか? 挨拶を返したくてもタイミングを逃してしまう、返事を期待していない一方通行のセリフに感じられます。

 エピソード1で、患者さんから言葉が返ってこない理由は、ここにあります。挨拶は、相手の存在を認める、相手に対して尊重の念を伝える大切なものです。挨拶をしないと、相手に不快感・不信感を与えるなど、その後のコミュニケーションに支障を来すのは周知のとおりですが、挨拶をしても、一方通行の挨拶は事務的な印象を与え、相手に温かみを与えることが難しくなります。

 医療機関は不安を抱えた人が来院する場所ですので、「ここに来てほっとした」と思われる場所でなくてはなりません。双方向の挨拶、双方向のコミュニケーションが保たれ、思いやりの言葉が交わされる場所でありたいものです。

相手が返したくなる挨拶はどうしたらできる?

 病棟では、患者さんとコミュニケーションをとる機会が何度もありますが、外来では、一瞬の出会いやほんの数回のやりとりが、患者さんからの信頼を左右することがあります。大勢の患者さんを呼び出しているうちについつい、「○○さん、中へどうぞ」と棒読みのセリフのように伝えてしまっては、もったいないです。「相手が返したくなる挨拶」を考えてみましょう。まずは、エピソード2の外来待合室の場面です。

 看護師:「○○さん、中へどうぞ」
その患者さんを見つけて、アイコンタクトをとりましょう。患者さんからは、「はい」という返事、もしくは、「うなずく」など、何らかの反応があるはずです。

 看護師:「お待たせいたしました」
<Point>「申し訳ない」という気持ちが表れるように伝えます。

 看護師:「中へお入りください」
<Point>足の不自由な方には、「ゆっくりでいいですよ」など、言葉や手を添えて介助しながら。

次に、エピソード1のようなお見送りの場面です。

 看護師:「お大事になさってくださいませ」
<Point>ひと呼吸置いて、相手の状況に合わせてから。

 看護師:「お気をつけてお帰りくださいませ」
<Point>背中を見送る姿勢を見せる。看護師の場合は、この言葉かけは可能な場面のみでよい。

 あるクリニックでこのようなお見送りを実践したところ、患者さんから「お世話様でした」「ありがとうございます」という気持ちのこもった言葉が多く聞かれるようになりました。私たちスタッフにもうれしく、やりがいにつながることです。

「ながら仕事」はなるべく控えタイミングのよい「アイコンタクト」を

 外来業務が忙しい時間帯は、どうしても患者さんと応対するのも「何かをしながら」となりがちです。本来であれば、患者さんのほうを向いて言葉を交わさなければならない場面でも、次の仕事に目線を向けながら話してしまうことがあっても、多少は仕方がないのかもしれません。それは、効率よく仕事し、患者さんをお待たせしないための医療者の配慮の表れでもあります。しかし、大変失礼な行為ですし、患者さんからすれば、「少しでも振り向いてくれればいいのに」とむなしさを感じさせられる一瞬であることは確かです。言葉を交わす際には、適切なタイミングでアイコンタクトをとり、例え短時間でも、その人との時間を大切にするよう心掛けたいものです。

 最近は電子カルテの導入が進み、診察時に患者さんの目を一度も見ずにパソコンの画面に向かう医師に対し、クレームや不信感、不安感が生じる事例が増えてきています。患者さんへのインタビュー調査では、前述のような行為により「嫌われている」「診療に自信がないのでは」などの印象を受けることがわかりました。アイコンタクトがない対応によるマイナス影響は、多大なものです。看護師は、他職種をフォローするような気持ちで、積極的に患者さんに向けて働きかける姿勢をとりたいものです。

「患者さんの心に届く挨拶」のポイント

【患者さんから挨拶・質問を受けるとき】
(1)相手に早い段階で気付く
*気付いてもらえないという状態をつくらない
(2)こちらから先に挨拶をする(言葉をかける)

【患者さんに挨拶をする・患者さんと話すとき】
(1)相手とのタイミングの良いアイコンタクトをとる
*最初に言葉をかける時や説明の区切りなどで行う
(2)対面時はなるべく、「ながら仕事」をしないようにする

【患者さんを見送るとき】
(1)患者さんの背中に向けて言葉を届ける
(2)言葉を届けた直後、ひと呼吸置いて背中を見送る
*直後に「素の顔」で業務に戻らない

好感度upの“なるほど”ポイント

 患者さん、そしてそのご家族など、来院されたすべての方へのお見送りは非常に重要です。なぜなら、相手に「当院を選んでいただいてありがたい」という感謝の気持ちを伝える具体的な形だからです。このお見送りの中で、「早くよくなってください」という願いも同時に届けられることと思います。

 医療機関で温かい言葉で見送られ、ふと振り返ってみた際、スタッフが見守ってくれていたら、「とても大切に思われている」「またお世話になりたい」という気持ちになるはずです。

 忙しい業務の中では、お見送りの間がとれない場合も多いでしょう。それでも、「ほんの1秒」背中を見送り、「早く治りますように」と心の中で唱え、気遣う習慣を付けてはいかがでしょう。思いは表情、動作に自然に連動します。

 逆に、「お大事になさってください」と穏やかに気持ちを込めて伝えたのにもかかわらず、その直後に、無表情な「素の顔」に戻ったり、別の動きに移ると、その患者さんだけでなく、周囲からも「裏表のある人なのかしら」「忙しいから面倒だと思っているのかも」と見られてしまうことがあります。忙しい外来でも、「ひと呼吸」を心掛けると、相手に慌ただしさ、雑さを感じさせません。

 これがプロの領域にある行動です。スタッフ同士で、お互いに確認し合いましょう。

(『ナース専科マガジン』2011年4月号より転載)

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