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高齢社会で増加が懸念される「サルコペニア」ってなに?

  • 公開日: 2014/5/29
  • 更新日: 2021/1/5
  • # 注目ピックアップ
  • # 老年看護
  • # 筋・骨格疾患

超高齢社会に伴い、「サルコペニア」患者さんが増えているといわれています。この「サルコペニア」、聞き慣れない言葉ですが、いったいどんな疾患なのでしょう。横浜市立大学附属市民総合医療センター・リハビリテーション科の若林秀隆先生に聞きました。


死のリスクを高める健康障害「サルコペニア」

「サルコペニアとは、狭義では加齢に伴う筋肉量の低下、広義ではさまざまな原因による筋肉量・筋力・身体機能の低下を意味する健康障害のことです。『サルコ』は肉・筋肉のこと、『ペニア』は減少・消失を表した造語です」(若林先生)。

筋肉量や筋力が低下することにより、ADLやQOLが低下していき、それにより身体機能や免疫も低下するため、最終的には死亡するリスクが高まるといいます。

サルコペニアには、加齢に伴う筋肉量の減少を原因とする「原発性サルコペニア」と、そのほかの要因による「二次性サルコペニア」があります。特に患者さんが増えているのが「二次性サルコペニア」で、その原因は(1)活動、(2)栄養、(3)疾患に関連するものに分けられます。

二次性サルコペニアの原因

  1. 活動
  2. 栄養
  3. 疾患

摂食・嚥下障害の原因のひとつにも

さらに、摂食・嚥下にかかわる筋肉のサルコペニアにより、高齢者の摂食・嚥下障害を引き起こすこともあるそう。それにより誤嚥性肺炎を起こすと、二次性サルコペニアの要因となり、急激に病状が悪化することがあります。

「サルコペニアによる摂食・嚥下障害を改善するには、適切な栄養管理と早期離床、早期経口摂取を目指したリハビリテーションを同時に行うとよいでしょう」(若林先生)。

どのような状態が「サルコペニア」?

サルコペニアの診断基準はまだ世界的にも確立されていませんが、日本では、第53回日本老年医学会学術集会(2011年6月)で下方らの「サルコペニアの簡易基準案」が発表されています(図)。

下方らのサルコペニアの簡易基準案説明図

サルコペニアを予防するには?

「“筋肉が減少する”と聞くと、筋力トレーニングを行おうとする人が圧倒的に多いです。これは患者さんだけでなく、医療者も同様です。サルコペニアは、栄養状態や疾患の有無など、さまざまな要因が重なって発症することがほとんどです。栄養状態が悪化しているときに筋力トレーニングを行うと、かえって筋力が低下しますし、栄養状態だけよくても動かなければ意味がありません」と若林先生。

 栄養状態と身体機能だけでなく、さらに疾患や生活環境などを含めて総合的に評価し、患者さんが身体機能や活動を最大限発揮できるように栄養管理を行っていくことがサルコペニア予防には必要なのだといいます。このような考え方を「リハビリテーション栄養」ともいうそうです。

食事でサルコペニアを予防するには、飢餓状態にならないための栄養管理を行います。十分なエネルギーと脂質、タンパク質、タンパク質の材料であるアミノ酸(特にBCAA:分岐鎖アミノ酸)や抗炎症作用があるn-3系脂肪酸などのバランスを重視します。食事量を増やせない場合は、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸油(MCT)などを取り入れて、効率よくエネルギー補給をするのもオススメです。

高齢患者さんの増加が見込まれるなか、今後ますますサルコペニアは注目されていくでしょう。サルコペニアを増やさないためには、患者さんの身体状態だけでなく、生活環境や栄養状態までを把握したうえで、栄養管理とリハビリテーションを併用して行っていく必要がありそうです。

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