【高マグネシウム血症】原因・症状・治療ポイント
- 公開日: 2014/8/1
高マグネシウム血症の原因
血清Mg濃度が2.7mg/dl以上のときに診断されます。Mg過剰の原因には、腎機能障害による腎排泄の低下と大量のMg摂取の2つがあります。
最も多いのがGFR 30ml/分以下の腎不全で、このほか腎機能が低下した高齢者などでも起こりやすくなります。
高マグネシウム血症の原因
高マグネシウム血症の症状
高Mg血症は、軽度では症状が出現しません。血清Mg値が5mg/dlを超えると、嘔吐や筋脱力、傾眠、徐脈、低血圧などがみられ、12mg/dl以上になると、意識混濁・消失や呼吸筋麻痺が生じ、心停止に至ることもあります。
また、深部腱反射の低下は高Mg血症の指標となります。心電図上では、PR間隔の延長が特徴的です。
高マグネシウム血症の治療ポイント
軽度の高Mg血症では、生理食塩液とループ利尿薬の点滴静注で尿中Mg排泄を促して補正します。
重度で呼吸抑制や心障害がみられるときには、緊急処置が必要になります。症状緩和の呼吸補助を行い、Mg拮抗薬を点滴静注します。
腎不全でMgを排泄できない場合には、Mgを含まない透析液での血液透析を行います。
ケアのポイント
- 心停止や呼吸障害などの重篤例も考えられるので、心電図、呼吸状態、バイタルサインの経過観察が重要です。
- 腎機能が低下している場合、Mgを含有する緩下剤や制酸薬を多用していると、高Mg血症が起こることがあります。
- 腎機能に問題がなければ、Mg投与の中止によって改善されます。
【臨床でみられる代表的な症例】
腎不全の患者さんがMg含有の薬物を服用した。
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(『ナース専科マガジン』2014年8月号から改変引用)