急変対応の基本! 心肺蘇生ガイドライン(BLS)のポイント (ABCからCABに)
- 公開日: 2013/11/13
「AHA心肺蘇生ガイドライン2010市民救助者用、ヘルスケアプロバイダー用」をベースにして、 急変対応の基本ともいうべき、2010年に改訂された心肺蘇生ガイドラインのポイントを解説します。
BLSのA-B-CはC-A-Bに
従来の2005年までのガイドライン(AHA心肺蘇生ガイドライン2005市民救助者用、ヘルスケアプロバイダー用)との最も大きな変更点は、蘇生の開始を「A(Airway、気道)→B(Breathing、呼吸)→C(Circulation、循環)→D(Defibrillation、除細動)」の順だったのを、「C→A→B」にしたことです。つまり、旧ガイドラインでは、気道の確保から始まり呼吸を確認し、2回の人工呼吸を行ったあと、胸骨圧迫となっていましたが、新ガイドライン(AHA心肺蘇生ガイドライン2010市民救助者用、ヘルスケアプロバイダー用)では換気の前に、すぐに胸骨圧迫を始めるというものです。
その理由は、「蘇生は1秒を争う時間との闘いである」こと。心臓や呼吸が止まった場合、体の重要な臓器に酸素が供給されない状態が続くと、特に脳はわずか3~4分で脳死あるいは意識の戻らない状態に陥り、救命できたとしても、社会復帰の可能性は非常に低くなります。
従来のABCの順で行う蘇生では、気道確保と人工呼吸に時間がかっていました。そこで新ガイドラインは、社会復帰を目指した救命には何よりも心臓の評価と胸骨圧迫の実践を優先し、気道確保と人工呼吸は胸骨圧迫(30回)の後に行うよう示しています。
「見て、聞いて、感じる」が削除された
心肺蘇生の実施前には、まずは周囲の安全を確認し、患者さんに「大丈夫ですか?」と呼びかけ、同時に呼吸の確認をします。旧ガイドラインの呼吸確認は、「見て、聞いて、感じる」でしたが、新ガイドラインのアルゴリズムではこの記述が削除されました。呼吸確認は、胸や腹部を全体的に見て、「呼吸なし」、あるいは「死戦期呼吸」であれば、まずは大声で応援を呼び、緊急コールとAED/除細動器を依頼します。つまり、呼吸の確認は心停止の確認の一部として手短に行われるようになったのです。
緊急コール後、医療従事者は頸動脈の拍動を指2本以上を使って、しっかりと確認します。この確認は、5秒以上10秒以内とし、10秒以上かけてはいけません。「脈が触れない」もしくは「わからない」ときは、「脈なし」=「心停止」と考え、ただちに胸骨圧迫を開始します。
ここで注意したいのは、ないはずの脈を「触れる」=「心臓は動いている」と思ってしまうこと。 慣れないと自分の脈を感じ取ってしまうことがあるからです。「よくわからなかった」のであれば、「脈なし」として、胸骨圧迫につなげなければなりません。