なんでみんな心電図が苦手なの?
- 公開日: 2015/4/27
なかなか上手に読めるようにならない心電図モニターの波形。高齢者が増え、心電図を扱う機会が増えた看護師にとって、波形の判読は共通の悩みです。 そこで『平手先生の モニター心電図講座』(エス・エム・エス刊)の著者でもある平手裕市先生に、みんなが心電図を苦手な理由についてお聞きしました。
わからないのは、教えてもらっていないから!?
――看護師のみなさんにお話を聞いていると、「心電図モニターの波形の判読は難しい」という声をよく聞きます。どうして難しいのですか?
平手先生 一言で言えば、教えてもらっていないからです。
看護学校のカリキュラムのなかに、単独のテーマとして「心電図の判読法」はありません。循環器疾患の授業のなかでほんの少し教えられる程度です。
私が看護学校で疾病治療論Ⅰ(循環器)を担当していたときも、心電図の話に割くことができた時間はわずか30分程度でした。この程度では、まったく表面的な説明しかできず、国家試験には充分でも実際の臨床現場では役に立ちません。
さらに、看護師となって現場にでれば、基本的に独学の世界です。医学、看護書コーナーにあふれる心電図関連の書籍の多さがその証拠です。
しかし本を読んでもなかなか心電図判読の技術が身につかないのも事実です。
そこで私は、学生や看護師に「誰にでもよくわかる心電図セミナー」へ参加するように案内しています(笑)。
――平手先生は、心電図を判読するための講習会を毎月のように開かれていますね。全国の看護師さんにも教えられていますが、講習会に来られる看護師さんも同じですか?
平手先生 心電図モニターの波形の判読は難しいと感じている人が、講習会に来ているのですかという質問ですね?
答えは、その通りです。自信満々の人は一人もいません。
参加していただいている方は、看護師、救急救命士、臨床工学技士、検査技師、理学療法士、薬剤師、医師、歯科医師、学生と多彩です。それぞれ求められる心電図判読のレベルも経験も全く異なりますが、「心電図が読めるようになりたい」でも、「心電図は難しい」と皆さん感じているようです。
看護師の方では、すでに実務のなかでモニター心電図の判読を必要とし、自分でも勉強しているけれど、自信がもてなくて参加するケース、そして新人看護師として病院へ就職したばかりで先輩や上司に勧められて参加するケースが多いようです。