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【連載】知っておきたい! 在宅での必要な手技と医療機器・医療材料の取り扱い

服薬状況を見える化できる服薬カレンダーと服薬ボックス

  • 公開日: 2017/9/30

現在日本は諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでいます。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、さらに国民の医療や介護の需要は高まると見込まれています。また、認知症高齢者も増加が見込まれる中、在宅医療の推進が重点項目として位置づけられています。国は地域包括ケアシステムの構築を進める中、訪問看護師の位置づけはとても重要であり、地域医療への一層の貢献を進めていかなければなりません。

在宅生活を送っている高齢者にとって大きな問題の一つが「服薬管理」です。
「あれ? この薬いつ飲んだかな?」「どの薬を飲んだらいいのかわからない……」など、支援がないと大事な薬の重複・飲み忘れ・飲み間違いが日常茶飯事になっている方も少なくありません。実際に訪問看護サービスを提供しているなかで、服薬管理は介入項目の上位に位置している大切な項目となっており、訪問看護がかかわるべき優先課題として挙げられます。
今回は在宅現場で実際にどのような服薬管理と支援をしているのか、在宅での服薬管理の強い味方、服薬カレンダーと服薬ボックスについて紹介します。

服薬カレンダーの写真

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服薬ボックスの写真


服薬管理に必要なアセスメントとは

 訪問看護でお伺いするご活用者様は、実にさまざまな薬を服用しています。「循環器の薬は○○院の○○先生から……」「整形外科の薬は○○診療所の○○先生から……」といった具合にさまざまな病院から多様な内容の薬処方されています。そのため、現在飲んでいる薬、数年前に飲んでいたが現在は飲んでいない薬、処方薬や市販薬、頓服薬など、いつどこに受診して何の薬を飲んでいるかを把握してからの介入スタートとなるケースも少なくありません。

服薬管理が重要となる理由は、「薬を正しく服用し、疾患や症状に対して本来狙ったとおりの効果を出す」ことと、もう一つは「副作用のリスク回避」です。

 訪問看護師として服薬管理をする中でアセスメントのポイントがいくつかあります。

①薬の適正

 日々訪問しているなかで、ご活用者様や家族からの情報を収集し日常生活を把握していくと、この薬は本当に必要なのか? と思えるような服薬状況のご活用者様がいます。その場合は、どうしてもこの薬は必要なのか、もし服用を中止したらどのような影響があるのかを考えます。そのためには、身体状況のアセスメントが必要であることは間違いありません。

②服薬状況の把握

 よくあるケースはご活用者様や家族の自己判断での服薬中断です。お薬手帳を見るだけでは、実際の服薬状況はつかめないため、コミュニケーションをしっかりと取り、ご活用者様・ご家族から話を聞き、服薬状況を把握します。
 自己判断で中断している場合は、なぜ中断したのかを聞き出します。

③ご活用者様・家族の管理能力

 認知症の有無やどの程度薬に関して理解されているのか、対象となるご活用者様の薬を正しく服用するにあたって、どこが苦手でどんな助けを必要とするかを把握します。管理能力があったとしても、麻薬や抗がん剤などを飲み忘れなく服用できているのかが、本人の管理方法だとわかりづらい場合に、服薬カレンダーなどを使用してもらいます。また、2週間に1回しか訪問できないご活用者様などの場合、2週間の服薬状況を確認しても、飲み忘れたことを忘れてしまっていたりすることもあります。こういったリスクを抱えているケースでは、服薬状況の見える化(服薬カレンダーやボックスの使用)が大切です。

 このようなアセスメントをして訪問看護師は服薬管理への支援方法を検討します。

服薬ボックスや服薬カレンダーを用いた服薬管理

 では実際のアプローチはどのようなものがあるのか紹介します。

 さまざまな生活スタイルがあり、個別性を踏まえると実にさまざまな方法があります。在宅での服薬管理で、強い味方であり大活躍するのが、服薬カレンダーや服薬ボックスです。

 ただカレンダーやボックスへ服薬をセットするのは誰でもできますし、それで服薬できる場合はラッキーです。上手に活用するためには、さまざまな工夫が必要となります。

 まずは、カレンダーを設置する位置はどこがベストなのかを考えます。見えやすい配色の検討や生活スタイルの中で視界に入りやすく、なおかつ生活の邪魔にならないような位置に配置するなどの工夫が必要です。

 さらに、服薬をセットする方法も複数ある薬袋やシートを切り分けて無造作に入れておくのではなく、ご活用者様の身体や認知機能に合わせた方法を検討します。複数の薬袋をテープなどで固定してもいいのか、他の方法で固定したほうがいいのかシート薬剤をまとめて入れる袋はどのようなものがいいのか、服用するまでの作業で取り扱いにくくないかなどを考慮します。

 服薬チェック表の作成や薬袋に服用日時を明記し、服薬する日時と服用したかどうかがわかるような工夫をします。また、取り扱いやすいようにシートのまま処方してもらうのか、一包化したほうがいいのか。日々調整が必要な下剤などの薬は一包化せずに処方してもらうのかなど扱いやすい包装を考慮し、医師や薬局へ依頼します。また、嚥下機能に応じてオブラートやお薬ゼリーを使うなどさまざまな視点からアプローチしたり、服用時間に合わせて他職種との連携を図り、訪問時間の調整をケアマネージャーへ依頼したりします。服薬管理に関しても訪問看護師の役割は重要です。

 病院での入院中なら簡単な服薬管理でも、在宅でご活用者様自身に管理してもらうとなるとさまざまな問題が生じます。このような訪問看護の現場での強い味方「服薬カレンダーや服薬ボックス」を使用し、安全で適正な服薬管理を行いながら私たちは日々、ご活用者様の生活を守っています。


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