1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 循環器科
  5. 血管疾患
  6. 高血圧
  7. 血圧計っていろいろとあるけど何が違うの?

【連載】知っておきたい! 在宅での必要な手技と医療機器・医療材料の取り扱い

血圧計っていろいろとあるけど何が違うの?

  • 公開日: 2017/8/31

▼バイタルサインについて、まとめて読むならコチラ
バイタルサインとは|目的と測定の仕方、基準値について


在宅での血圧測定の重要性

 高血圧の人が、治療を進める上で日々の血圧を測定・管理することの重要性が明らかになってから、家庭で毎日血圧測定をする人が増えてきています。

 家庭では、朝起きたときや食事の前後、降圧薬を飲む前後など、さまざまな時間帯に血圧を測ることができます。そのため、家庭で測定した血圧の記録は、医師が高血圧に対する治療方針を決めるための重要な参考になります。

 また、家庭で毎日血圧を測定して値を記録すると、高血圧であるという自覚を持ちつつ、降圧薬の効果も確認できるというメリットがあります。しかしながら、家庭で血圧を継続的に測定してもらうことは困難なこともあります。そのためには、

 ・測定しやすいタイプを選択をすること
 ・継続しやすい時間帯に測定してもらうこと

 を実現することが必要です。

 ご活用者様およびご家族様の日頃の生活スタイルやADLなどを把握し、血圧測定の必要性を十分に理解いただくことが大切ですし、自己決断を促すかかわりをすることがとても重要です。

訪問時に血圧異常を見つけたら、どう対応すればよいか

 自宅にあるものは器械の故障の有無が不明なこともあるため、訪問時は、訪問バッグ一式の中にあるアネロイド式血圧計を使用しています。また、毎回血圧測定を行っていますが、その際血圧が高い場合、深呼吸や時間をおいて、再検をしています。

 特に重要なことは、数字だけで判断せず、頭痛や嘔気、めまいなどの昇圧症状の有無も確認することです。症状をもとに、緊急度合いを判断することが多いです。もし、症状が出現している場合は、すぐに主治医に確認するか、繋がらない場合は次の時間帯の降圧剤を早めに内服してもらい、薬効を考えて再検をしてもらっています。

 また、病院内での一定した室温と違い、在宅では夏になると血圧が低めで、冬になると血圧が高めになる方が多いです。解剖生理学をもとに気候による今後の変動を予測したりもします。

 在宅での場合、血圧が高かったり、低かったりした場合、まずはその要因を生活内で考えられることを検討します。そして、生活の中で解決できることであれば、まずは看護師として、ご活用者様やご家族様に提案をさせてもらい、内服薬以外での解決方法を打診していきます。また、手首式などの血圧計を選択した場合は、訪問看護師が持参しているアネロイド血圧計との誤差を把握したりなど、訪問看護では変化に合わせ対応できる看護師の柔軟な発想力が大切になります。

血圧計はどう選ぶ?

 家庭で測定する場合、血圧計を用意する必要がありますが、いざ血圧計を購入するとなると、血圧計にはたくさんの種類があり、また、使い方や価格などはさまざまで、どれを買うべきなのか迷ってしまいます。

 家庭で使う血圧計と病院で使われる血圧計は、見た目も使い方も異なります。

 血圧計は、「自動電子血圧計」「水銀血圧計」「アネロイド血圧計」の3種類に大きく分けられます。家庭での血圧測定に使われるのは、主に「自動電子血圧計」です。一方、病院や診療所などで医療スタッフが血圧を測定する際は、「水銀血圧計」「アネロイド血圧計」が使われます。

 家庭で血圧測定を行う場合、たいていの人にとって、水銀血圧計やアネロイド血圧計を使うのは困難です。これらの血圧計を使うには、ある程度の医療専門知識が必要だからです。自動電子血圧計は、腕や手首などに袋状のベルト(カフ)を巻けば、あとはボタンを押すだけで血圧を自動的に測定してくれます。また、血圧だけでなく脈拍も同時に測定していくれます。

 しかし、家庭用血圧計は、製品によっては正確性が明らかにされていないものもあります。

 最近では、水銀血圧計は、2020年以降に水銀を使った機器の製造と輸出入が原則として禁止されること、現時点で、廃棄・交換は推奨されていませんが「水銀」による環境への影響や、アネロイド血圧計による血圧測定の正確性の問題から、医療現場でも、正確性が確認されたものであれば自動電子血圧計が使用されるようになってきています。

 自動電子血圧計は、測定する部位の違いによって「上腕式」「手首式」「指式」の3種類があります。日本高血圧学会は、家庭用の血圧計として、指式血圧計は不正確としています。また、手首式血圧計も血管の圧迫が困難であることなどの理由で不正確になることが多く、上腕式血圧計の使用を推奨しています。

 健康寿命を延ばすために、弊社スタッフ一丸となって、知識を得るだけでなく、視野を広げたり、柔軟性を高めたり、コミュニケーション力を上げるために、日々自己研鑽しております。


Life On Vital Element株式会社について詳しく知りたい方はこちら

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

スキントラブルが起きやすい患者さんのケアで気をつけることは?【PR】

ADL全介助の透析患者さん。微力な外力でも皮下出血→スキン-テア→感染を繰り返しています。保湿、上下肢の保護、トランスの工夫をしましたが、なかなか改善しませんでした。何かよい方法があれば教えてください。 透析患者さんはリスクが高いことを認識し、保護ができる環

2024/1/31

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
9位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949