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[座談会]がん患者さん同士のWEBを通じたピアサポートについて、どう思う?<前編>【tie up】

  • 公開日: 2017/10/20
  • # 注目ピックアップ
  • # 患者支援

◆座談会参加者(五十音順):
  岩﨑悠仁香 (乳がん体験者)
  小野智恵美 (帝京大学医学部附属病院 がん看護専門看護師/乳がん看護認定看護師)
  金井久子  (聖路加国際病院 乳がん看護認定看護師)
  清水 研  (国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍医、NPO法人キャンサーリボンズ委員)※司会進行
  藤原 緑  (乳がん体験者)

スマートフォンの普及とSNSが生活に浸透したことにより、誰もが手軽に情報を発信し、交流できるようになりました。そのような中、がん患者さん同士のWEBを通じたピアサポートに期待と注目が注がれています。患者会に参加するだけでなく、同じ病気の方と気軽にコミュニケーションがとれるようになってきた今、WEB上でのがん患者さん同士の支えあいについて可能性や課題を話し合いました。

岩﨑悠仁香さん、藤原緑さん、清水研さん、小野智恵美さん、金井久子さんが並んでいる写真
左から 岩﨑悠仁香さん、藤原緑さん、清水研さん、小野智恵美さん、金井久子さん


同じ病気の体験者同士だからこそ共有できる

清水:私は精神腫瘍科の医師として年間200~300人の患者さんの相談にのっていますが、医療者に対する相談とはべつに、患者さん同士だからこそできる相談があると思います。患者さん同士の支えあいの場をどう提供されていますか?

金井:聖路加国際病院ブレストセンターでは、乳がん体験者の方による「病院訪問ボランティア」を起ち上げ、退院後の生活への不安や悩みを相談できるようにしました。患者さんは「初対面でも同じ病気を体験している方になら家族の前では言えないことも話せる」とおっしゃいます。そうやって病院訪問ボランティアに支えられた方たちが、今度は自分達もそういう活動をしたいとサポートする側にまわられています。

小野:私が所属する施設では、乳がん患者さんに板橋区女性健康支援センターが運営されている乳がん患者さんの集まる「オアシスの会」をご紹介しています。

オアシスの会の企画では、乳がん患者さんたちの術後の気分を少しでも和らげたいという思いで考案された〈ポーチづくり〉があります。このポーチは、術後に血液などが見えてしまうドレーン・バックを収納でき、入院中の寝衣などでもおしゃれにも見える、かわいらしいものです。

オアシスの会では、このポーチを沢山つくり、板橋区の乳がん手術を行える施設や、他の都道府県の大学病院にプレゼントもされていました。その企画や作成に携わる患者さんは、イキイキと活動されていましたし、ポーチを受け取り利用された患者さんは「すごく力がわく」と喜んでおられました。やはり、患者さんたちには、患者さんの中で共有して乗り越えていきたいこともあるのだなと感じました。

会談中の小野さんと金井さんの写真

さまざまなピアサポートのかたち

清水:患者会はリアルな場を通じて、ピアサポートの効果を発揮しているのですね。岩﨑さん、藤原さんは、患者会に参加されましたか?

岩﨑:1度参加しましたが、私のような若い人は少なかったため、それ以降参加していません。患者会は少し敷居が高い印象がありました。

私は20代で、治療しながらの就職について悩んでいたのですが、同じ境遇の人を見つけることができず、それ以降は直接的なつながりは求めず、ネットで検索して体験者のブログなどを見ていました。その後、NPO法人キャンサーリボンズの方に紹介された、治療中の方のためのコミュニティサイト「イルイル」を使っています。

藤原:私は患者会には参加していないのですが、同じ境遇の仲間がほしくて、化学療法を受けるときに隣の患者さんに「先週も一緒だったよね」と声をかけ、一緒に前向きに治療しようと、髪の抜け具合を見せ合ったりして仲良く励ましあっていました。治療が落ち着いた今、不安を感じている人を見かけると、あのときの自分を思い出して、助けたい、何かしてあげたいという気持ちになります。患者もただサポートされるだけでなく、自分が誰かをサポートする、何かできることがあるということが、前を向いて生きることにつながるので大切だと思うのです。今、私はピアセンターでコーディネーターをしているので、参加される患者さんには、ちょっとしたことですが、皆が集まるときの受付を頼んだり、別の患者さんのお子さんを見てもらったり、できるだけ何か役割を持ってもらえるようにしています。

同じ治療をしている人がいる。それだけで親近感がわき、励みになる

岩﨑:ネットで検索して、化学療法で同じ薬を使っている人がいると、それだけで親近感がわき、励みになったと思います。

藤原:私もトリプルネガティブの告知を受けたときは、とにかく検索して、同じトリプルネガティブの人のブログを見ました。その方が元気でいらっしゃると、私もがんばれる気がして。

清水:患者さん同士の支えあいには、医療者とは違う形での、仲間同士の情緒的なサポートと、体験者にしかわからない情報提供という2つの側面があるようですね。

近くに患者会がなかったり、人と会って話すのは敷居が高い、あるいはなかなか時間が取れないという方もおられるでしょうから、いろんな人と気軽にやりとりができるという点で、これからはWEBを通じたコミュニケーションも大事になってくるでしょうね。

会談中の5人の写真


がんを治療中の方が悩みをシェアできるコミュニティ・サイト<br>
イルイルのロゴ

がんを治療中の方が悩みをシェアできるコミュニティ・サイト
イルイル
https://iluilu.com/nyugan

イルイルはカラダ・病気に悩みをかかえた人同士が体験談を共有し合えるQ&Aコミュニティサービスです。
乳がん、子宮体がん、子宮頸がん、不妊、出産など、さまざまなテーマのコミュニティに匿名で参加でき、こんな悩みあんな悩みを気軽にシェアできます。
プロフィールの設定機能により、病気の状況やこれまでの治療歴が一目でわかるので、同じ境遇の方が一目でわかります。投稿内容は全件目視で監視をしており、安心してご利用頂けます。

(運営:ドコモ・ヘルスケア株式会社)


NPO法人キャンサーリボンズとは
がん治療中の自分らしく少しでも心地よい生活の支援を目指して、2008年の発足以来、情報入手やケア体験ができる場づくり、がん支えあい啓発、生活場面ごとの支援コンテンツやサポーターづくり、セルフケアに役立つ商品や工夫を体験できる病院イベントなどを行っています。
情報支援の面では、2011年から図書館とも連携するなどリアルな場での情報発信に取り組んでいるほか、今年から新たに、web上でのがんサバイバーどうしの情報交流のあり方についてドコモ・ヘルスケア社と意見交換しながら協働を始めています。
http://www.ribbonz.jp/


後編はこちらから

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