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【連載】公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業 医療安全情報

2006年から2007年に提供した医療安全情報

  • 公開日: 2010/1/2

2008年にも類似事例が発生しています

No.1 インスリン含量の誤認~バイアルの「100単位/mL」という表示の誤認に起因した事例~ 2件

 看護師Aは医師の指示により、「生食39ml+ヒューマリンR100単位」を準備した。その際看護師Aは、インスリンのバイアルに表記されている「100単位/ml」という文字が目に入り、1バイアルの含量を100単位だと思い込み、生食39mlにヒューマリンR100単位(1ml)を入れるところ、1000単位(10ml1バイアル)を入れ患者に投与した。看護師Aと看護師Bはダブルチェックする際、単位数を確認しなかった。(他1件)
 


 

No.4 薬剤の取り違え~薬剤の名称が類似していることにより取り違えた事例~ 3件

 当直医Aは電子カルテに「サクシゾン」を入力するため、検索に「サクシ」と入力し、表示された「サクシン」を「サクシゾン」と勘違いして入力し、「サクシン200mg2A+生食100ml」と指示を出した。看護師Bと看護師Cが薬剤の確認を行い、看護師Cが患者に投与した。2時間後、看護師Dが訪室すると、患者は呼吸停止の状態であった。当直医Aは投与した薬剤を確認したところ、入力を間違えたことに気付いた。当院では、「サクシゾン」の採用を中止していたが、「サクシン」は手術用に使用していた。(他2件)
 
薬剤の名称類似による取り違えについて、厚生労働省から通知が出されています。
医政発第1204001号 平成20年12月4日
薬食発第1204001号 平成20年12月4日
http://www.info.pmda.go.jp/iryoujiko/file/20081204.pdf

No.5 入浴介助時の熱傷~入浴介助の際、湯の温度を直前に確認しなかったことにより熱傷をきたした事例~ 1件

 看護師2名で入浴介助を行っていた。浴槽内に湯を準備する際、看護師は温度設定の42℃の給湯ボタンを押したつもりで、実際には隣の57℃の給湯ボタンを押し、浴槽に湯を溜めた。その後、看護師は、水温計及び自分自身の手で湯の温度を確認せずに患者を浴槽に入れたため、患者は熱傷をきたした。

No.7 小児の輸液の血管外漏出~薬剤添付文書上、輸液の血管外漏出に関する危険性の言及の有無にかかわらず、小児に対する点滴実施の際、輸液の血管外漏出により、何らかの治療を要した事例~ 4件

 右足内踝部にジェルコ針を留置し、輸液ポンプを使用して、持続点滴を実施した。その後、点滴漏れのため膝下から足先にかけて腫脹と水疱を認めた。点滴漏れを防ぐため、弾力包帯でシーネを固定していたが、それにより刺入部の観察がしにくかった。(他3件)
 

No.8 手術部位の左右の取り違え~手術部位の左右を取り違えた事例~ 3件

 医師Aは手術室で患者名と手術部位(左眼)を確認し、マジックで左こめかみ付近にマーキングを行った。医師Bが術眼(左眼)周囲を消毒し、消毒後、右眼が露出されるように覆布を被せた。医師Cは、覆布から露出した右眼に睫毛が残っているのを発見し、切除を忘れたものと思い、その場で切除した。その後、医師Dが手術室に入室し、右眼を術眼だと思いこみ右眼の手術を開始した。翌日、家族の申し出により術眼の左右を取り違えたことに気付いた。(他2件)
 

No.10 MRI検査への磁性体(金属製品など)の持ち込み~MRI検査室内への磁性体(金属製品など)の持ち込みに伴う事例~ 1件

 緊急MRI検査後、医師は患者を退室させるために酸素ボンベを積んだストレッチャーをMRI検査室内に入れた。そのため、酸素ボンベが飛び出し、検査台の直下のガントリーに吸着した。酸素ボンベは、ストレッチャーの寝台の下に床に平行にセットするタイプのものであったため、検査台の下側に飛び、患者に危害を及ぼさなかった。
 

No.11 誤った患者への輸血~輸血用血液製剤を接続する際に患者と使用すべき薬剤の照合を最終的に行わなかった事例~ 1件

 恒温槽には患者Aと患者Bの血液製剤が入っていた。看護師Cは患者Aに血液製剤を投与する際、恒温槽から患者Bの血液製剤を取り出し、点滴台に架けた。この時、血液伝票と製剤の照合、患者と製剤との照合を行わなかった。看護師Dは、点滴台に架けてある血液製剤を確認せず、患者Aに投与した。 70mlほど投与したところで異型輸血に気付いた。
 


参照:No.31:「2006年から2007年に提供した医療安全情報」(PDF形式)
情報提供:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部


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