[医療費] 17年度の社会保障給付費、過去最高の120.2兆円 社会保障費用統計
- 公開日: 2019/8/6
国立社会保障・人口問題研究所が8月2日に公表した「平成29(2017)年度社会保障費用統計」によると、17年度の社会保障給付費は過去最高の120兆2,443億円となったことがわかった。前年度と比べると、1兆8,353億円の増加(前年度比1.6%増)。対GDP比は21.97%となり、前年度比では0.09ポイントの低下となった。
社会保障費用統計では、年金や医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護といった社会保障制度に関する1年間の支出をILO(国際労働機関)基準の「社会保障給付費」と、OECD(経済協力開発機構)基準の「社会支出」の2通りの方法で集計している。「社会支出」には、社会保障給付費のほかに施設整備費などの個人に帰着しない支出が含まれる点が特徴。
過去最高となった17年度の社会保障給付費(ILO基準)の部門別内訳は、「医療」39兆4,195億円(構成比32.8%)、「年金」54兆8,349億円(45.6%)、「福祉その他」25兆9,898億円(21.6%)。「福祉その他」のうち、「介護対策」は10兆1,016億円(8.4%)だった。部門別社会保障給付費の対前年度伸び率は、「医療」1.6%、「年金」0.8%、「福祉その他」3.1%、「介護対策」4.1%と、介護対策の伸びが著しく高い。
社会保障給付費に管理費や施設整備費などを加えた「社会保障財源」の収入総額は141兆5,693億円となり、前年度比で5兆441億円(3.7%)伸びた。このうち収入の50.0%を占める「社会保険料」は70兆7,979億円、「公費負担」は49兆9,269億円(構成比35.3%)、「その他収入(資産収入など)」は20兆8,445億円(14.7%)だった。
◆社会支出は124.2兆円、8割は高齢と保健分野の支出
OECD基準の社会支出の総額は、前年度比1兆9,722億円(1.6%)増の124兆1,837億円だった。政策分野別の内訳で最も大きいのは「高齢」の56兆9,399億円(構成比45.9%)、次いで「保健」の41兆8,713億円(33.7%)で、この2分野が全体の約8割を占める。
社会支出の対GDP比は22.69%となり、前年度に比べて0.08ポイント低下した(参照)。15年度時点のGDP比(22.66%)を諸外国と比較すると、日本はイギリス(22.47%)とほぼ同水準だが、アメリカ(24.50%)、スウェーデン(26.74%)、ドイツ(27.04%)、フランス(32.16%)よりは低い水準となっている。
(厚生政策情報センター)
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