[診療報酬] 入院時のポリファーマシー対策、報酬でプロセス評価を 厚労省
- 公開日: 2019/9/19
厚生労働省は18日の中央社会保険医療協議会・総会で、患者の入院時に医療機関が処方薬剤を総合的に調整する取り組みを行った場合について診療報酬で評価することを提案した。
複数の薬剤の相互作用などによって転倒やせん妄といった有害事象を引き起こす「ポリファーマシー」をなくすため、減薬の結果といったアウトカムへの評価だけでなく、そのプロセスへの評価も導入する内容で、厚労省案に強い反対意見は出なかった。
2016年度の診療報酬改定では、多剤投薬の患者の減薬を伴う指導への評価として、「薬剤総合評価調整加算」(250点、退院時1回)が新設された。この加算は、入院前に6種類以上の内服薬が処方されていた患者の処方内容を、医療機関が総合的に評価した上で薬剤を調整し、その患者の退院時に処方薬剤数が2種類以上減った場合などを評価するもの。
ただ、20年度改定に向けた中医協の第1ラウンドでの議論では、「処方箋1枚当たりの種類薬の制限や2剤の減薬はポリファーマシーの根本的な解決になっていない」との指摘や、入院時でのポリファーマシーへの取り組みとして病院薬剤師の役割が重要だといった意見が出た。
こうした意見を踏まえて厚労省は18日の総会で、入院時のポリファーマシーの解消に向けた論点案を提示した。それによると、入院時は処方の一元的な管理や処方を変更した後の患者の状態確認が可能であることから、「処方薬剤の総合調整の好機」だと強調。現状では2種類以上の減薬が行われた場合について評価しているが、入院時に処方薬剤を総合的に調整する取り組みを促すため、減薬の結果だけでなく、処方薬剤を総合的に評価・調整する取り組みへの評価を検討することを提案した。
さらに、退院時に処方薬の変更や処方中止の理由を地域で共有するのを促すため、医療機関が薬局に情報提供した場合の評価の検討も提案した。
意見交換では、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が厚労省案について、「(総合評価して調整をする)取り組みをしていたら、その病院に対して体制加算を付けるというイメージか」と厚労省に質問した。
これに対して厚労省保険局の森光敬子医療課長は、減薬の結果というアウトカムだけではなく、ポリファーマシーの解消に向けたプロセスも評価するという提案だと強調。その上で、「体制への加算という方法もあるが、チームで関わった場合に取れるというやり方もある。基本的な考え方は、結果だけでなくその手前の取り組みも評価するということだ」と説明した。
(厚生政策情報センター)
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