⑦EQチェック④ 「自己表現力~あなたの感情表現とスキルの現状は?」
- 公開日: 2021/7/21
感情を表に出すことで、ストレスが軽減し、幸福になれる!?
「エモーショナル・ディスクロージャー」という概念をご存じでしょうか?
感情を表出すること、つまり、自分の中に湧き上がる不満やストレスなどネガティブな感情を吐き出すことでモヤモヤが解消する、という考え方、手法のことです。 心に爆発寸前のストレスを抱えたまま、自分の感情を押し殺し、ポジティブに振舞うことこそ、看護師の仕事、そう考える方が多いのではないでしょうか? 男性であれば、感情を押し殺し、表に出さないことこそ、男らしい、そう思い込んでいる方もいらっしゃるでしょう。
実は、感情は、抑え込もうとすれば、逆に反発し爆発してしまいます。爆発しそうなほど高まった感情ほど、暴発の危険を秘めているのです。そんなにときは、無理に抑え込もうとしないで、家族や友人との会話、一人で日記に向き合っているとき、など自分をさらけ出せるときに、思い切って吐き出してしまうことこそ、心の健康には有効なのです。
今回は、EQ簡易診断の結果をもとに、「自己表現力」を使って、みなさんの感情表現とスキルの現状を探っていきたいと思います。
「12,情緒的表現性」~言葉による感情表現の量
感情を主に言葉で率直に伝えようとしているかをみています。
ここが高い方は、伝えようとするエネルギーが強いので、率直な発言が多い反面、ネガティブな感情のときには要注意です。信頼できる先輩や同僚にじっくり話を聴いてもらうのがおすすめですが、爆発寸前のときには、その感情をすべて紙に書き出して捨ててしまうなど、むしろ吐き出したほうがスッキリするでしょう。
逆に低かった方は、感情を表に出すことが少ないため、控えめで無口な印象を与えているかもしれません。
看護師は、緊急性の高い、重要な局面に接することの多い仕事です。誰もが吐き出しきれない、わかってもらいたい思いを抱えていることを前提に、安心して自分の思いを語る、そんな感情表出の機会が確保されていることが必要なお仕事だと言えるでしょう。
よりよい看護のことを語り合う時間の中のほんの一部、5分、10分で結構ですので、思っていること、特に抱えている悩みや困りごとを吐き出す機会を用意しておくことをお勧めします。
そんな機会がない、という方は、トイレに駆け込み、鏡でご自分の顔を見つめながら、感情を吐き出すつもりで2,3回、ふーっと息を吐いてから仕事に戻る、それだけでも気持ちが楽になると思います。
「13,ノンバーバルスキル」~非言語による感情表現
自分の考えや感情を表情や体の動きなど、ノンバーバル(=非言語)で伝えたり、隠したりしているか、を見ています。
「とってもうれしいです」言葉でそう言われるよりも、満面の笑顔のほうがうれしさって伝わりますよね? コミュニケーションの大きな割合を占めている部分です。 その分だけ、表現内容のわかりやすさとともに、みなさんの印象としてご自分に跳ね返ってくる部分でもあります。
高い方は、表現が豊かな分だけ、わかりやすい、率直な人、という印象を与える反面、怒ったり、不安に思っていること、動揺していることなどもすぐに顔に出てしまいますので、注意が必要です。
低い方は、感情的にならない反面、無口で無表情な印象を与えてしまうこともありますので、周囲に誤解を与えないよう、少しだけオーバーアクションを意識してみましょう。
いかがでしたでしょうか? 冒頭でお伝えしたように、感情を表出することは、決して恥ずかしいことではなく、みなさんの印象を左右するだけでなく、自分のこころの健康を保つためにも大切なことです。感情とうまくつきあうことが自分を活かす第一歩です。
最後に、コミュニケーションの観点から、少々補足をしておきます。
コミュニケーションには、情報の交換と感情の交流という2つの側面があります。ここでは、そのうち感情の交流という側面を、言葉によるものと言葉によらない非言語のものの2つのパーツに分けて考えてみます。この2つのパーツがそろわないと、言っていることはわかるけど何か納得できない・しっくりこないとか、逆に、わかろうとしてくれているのはわかるけど、ちょっとずれている、そんな悲しい結果となってしまいます。
そもそも日本では、感情をストレートに出さないことを美徳と考える側面もあるため、ついご自分の感情を抑え込んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。海外在住経験のある方には、「日本人はわかりづらい」そう思われている方がいるかもしれませんね。
自分の感情をうまく、そして十分に伝えていましたでしょうか? 感情表現は、わかりやすさや印象につながるコミュニケーションの重要な要素です。喜怒哀楽を相手に伝えることは、自分を理解してもらうためには大切な行為です。「わかってもらえない」そう感じてしまうことが、もしあるようでしたら、今日は一息ついて、日頃のコミュニケーションを分析的に見つめてみましょう。