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看護師の親身な対応が難病患者さんの支えに。一方でコミュニケーションに課題も

  • 公開日: 2023/10/19

アストラゼネカグループの希少疾患部門アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズ(本部:米国マサチューセッツ州ボストン)の日本法人であるアレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都港区、社長:笠茂公弘)は、指定難病の患者さん500 名および指定難病患者さんの看護をしたことがある看護師464 名を対象に、「難病患者さんと医療従事者のコミュニケーションと連携に関する意識調査」を実施しました。


看護師のアンケート結果

求められる専門的な知識とスキルの高さ

 難病患者さんの看護に携わったことがある現職の看護師に対して、指定難病以外で通院・入院している患者さんと比べて、難病患者さんの看護においてどのような困りごとや大変さがあるかを質問したところ、「専門的な知識やスキルの高さが求められる」が最も多く、次いで「心理的なサポートとカウンセリングが難しい」「症状・状態を、看護師が理解することが難しい」が挙げられました(表1)。

 さらに、病状ステージごとの看護の困りごとや大変さについては、最多項目に変化はなかったものの、<(難病患者さんが)体に異変を感じてから病名が判明するまで>では、「症状をわかりやすく説明するのが難しい」、<(治療を開始後)症状が安定している状態>では、「次の病期ステージの心構えなどを伝えるタイミングが難しい」が2位となりました(表2、表3)。難病では専門的な知識が求められるため、看護師が患者さんとのコミュニケーションに難しさを感じていることが読み取れます。

表1 難病患者さんの看護において、看護師が感じる困りごとや大変さ<全体>

表1

表2 難病患者さんの看護において、看護師が感じる困りごとや大変さ<体に異変を感じてから病名が判明するまで>

表2

表3 難病患者さんの看護において、看護師が感じる困りごとや大変さ<(治療を開始後)症状が安定している状態>

表3

難病患者さんのあらゆる相談に対応

 難病患者さんに対して、どのような情報提供や相談対応を行っているか質問したところ、「症状の変化・状態」「治療内容・治療の方向性」「日常生活の過ごし方」「精神面(心持ち)」「保険・制度活用」「医療費」については約5割、「就学・就労」「結婚・出産・介護」「患者団体」については約3割の看護師が対応していると回答しました(図1)。難病患者さんに対して、さまざまな相談対応を行っていることがわかります。

 一方で、難病患者さんからの相談で対応が難しいことについては、「精神面(心持ち)」「医療費」「保険・制度活用」「就学・就労」などが上位を占めました。

図1 看護師が難病患者さんに行なう情報提供サポートと対応が難しいと感じること

図1

医師と難病患者さんのコミュニケーションサポートに課題

 難病患者さんの診療において、「医師と患者のコミュニケーションサポートができているか」と質問したところ、7割以上の看護師が「できていない」「どちらともいえない」と回答しました(図2)。

 さらに、「医師と患者とのコミュニケーションサポートをするために、医療現場にどのような課題があるか」については、「十分な時間を割くことが難しい」が最多、次いで「看護師、医師、患者の三者で直接コミュニケーションできる場が少ない」が挙げられました(表4)。

図2 看護師は、医師と難病患者さんとのコミュニケーションサポートができているか

図2

表4 看護師が医師と難病患者さんとのコミュニケーションサポートをするための課題

表4

難病患者さんのアンケート結果

看護師と納得できるコミュニケーションがとれていない難病患者さんも

 ここ半年間で、通院または入院歴のある難病患者さん500名に対して、診察時に、「医師・看護師それぞれと納得できるコミュニケーションがとれているか」を質問したところ、約6割が「医師と納得できるコミュニケーションがとれている」と回答し、約4割が「看護師と納得できるコミュニケーションがとれている」と回答しました(図3)。

 一方で、「看護師と納得できるコミュニケーションがとれていない」と回答する難病患者さんも約2割にのぼり、看護師とのコミュニケーションに課題を感じていると考えられます。

図3 難病患者さんと医師・看護師とのコミュニケーション

図3

難病患者さんの約4割が「医師と看護師の連携不足」を実感

 自身の治療や看護において、医師と看護師の連携がとれているか質問したところ、約6割が「よく連携できている」「連携できている」と答えた一方で、約4割が「あまり連携できていない」「まったく連携できていない」と回答しました(図4)。これは、同質問を行った難病以外の疾患で通院または入院した患者さんの回答に比べて13ポイント高く、難病患者さんと看護師のどちらも、医療従事者の連携に関して疑問や課題を感じていることがわかります。

図4 難病患者さんからみた医師と看護師の連携

図4

看護師の親身な対応が支えに

 看護師に求めること、これまで看護師の看護で嬉しかった/助かったことを質問したところ、看護師に求めることは「精神面(心持ち)について支えてほしい」「症状の変化・状態について相談にのってほしい」「治療内容・治療の方向性について(薬の効果や副作用など含む)説明して欲しい」などが挙げられました(表5)。また、これまで看護師の看護で嬉しかった/助かったことについては、「親身に接してくれた」が最も多い結果となりました(表6)。

表5 難病患者さんが看護師に求めること

表5

表6 難病患者さんがこれまでに看護師の看護で嬉しかった/助かったこと

表6

 アレクシオンファーマは、既存の枠組みにとらわれず、難病患者さんを取り巻くさまざまな課題の解決に寄与するとともに、難病患者さんと医療従事者のコミュニケーションの場づくりや連携を推進する活動を続けていくとしています。

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