【厚生労働省】誰一人取り残さないがん対策を推進|「がん研究10か年戦略(第5次)」策定
- 公開日: 2023/12/31
厚生労働省は、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」という第4期がん対策推進基本計画(令和5年3月閣議決定)に基づき、「がん研究10か年戦略(第5次)」を定めました。
今後のがん対策の方向性を踏まえた研究・開発を推進
平成26(2014)年に策定された「がん研究10か年戦略」では、根治を目指した治療法の開発に加え、がん患者さんやその家族のニーズに応じた苦痛の軽減、がんの予防と早期発見、がんとの共生といった観点を重視し、患者さんのライフステージや個々のがんの特性によってニーズが異なることを認識することが重要とされていました。
「がん研究10か年戦略(第5次)」においても、こうした考え方を引き継ぎつつ、今後のがん対策の方向性を踏まえ、具体的に次の5つの項目を柱として、がん研究・開発を推進していくとしています。
具体的研究事項
(1)「がんの予防」に関する研究
(1-1)新たなリスク要因の同定やリスク層別化に基づく1次予防の推進
(1-2)高リスク層の同定や新たな早期発見手法の活用による2次予防の推進
(2)「がんの診断・治療」に関する研究
(2-1)個別化医療を更に推進する診断技術の開発
(2-2)新規薬剤・治療法の開発
(2-3)多様な患者ニーズに応じた新たな標準治療の確立
(3)「がんとの共生」に資する研究
(3-1)誰もがアクセス可能な相談支援・情報提供
(3-2)充実したサバイバーシップの実現
(4)ライフステージやがんの特性に着目した研究
(4-1)希少がん及び難治性がん
(4-2)小児がん及びAYA世代のがん
(4-3)高齢者のがん
(5)がんの予防、がんの診断・治療の開発、がんとの共生を促進するための分野横断的な研究
(5-1)がんの本態解明
(5-2)シーズ探索・育成
(5-3)バイオバンク・データベースの整備、連携強化及び利活用促進
(5-4)先端的な科学技術の活用や異分野融合
(5-5)政策的な課題の把握と解決
研究推進のための環境整備も欠かせず
「がん研究10か年戦略(第5次)」では、上記に挙げた具体的研究事項に係るがん研究を効果的に推進するために、国際連携、人材育成、患者・市民参画の環境整備が重要であるとしています。
国際連携については、国際共同臨床試験の環境整備や海外データベースとの連携とその活用、出口戦略における国際的なプロモーション支援などを推進するとしています。人材育成に関しては、先端技術の活用・実装を実現するために、幅広い分野の知識を身に付けたがん研究にかかわる人材の育成、若手・女性研究者や博士号取得者の活躍の場の拡大などを推進するとともに、医療従事者の育成にも取り組むことが求められるとしています。
さらに、患者・市民参画については、がん患者さんを含めた国民が、がん研究を含むがん対策全般について正しい理解を得て、研究者・医療従事者とも連携しながら、がん対策に主体的に参画する社会が求められるとするほか、がん研究においては、他疾患や他領域の視点も広く交えた患者・市民参画を進めることが必要であるとしています。