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【連載】災害サバイバル術

第2回 被災地の現状を知ろう

  • 公開日: 2014/3/25
  • 更新日: 2020/10/21

マグニチュード9.0の大地震をきっかけに、津波や原発事故など複合的な災害に見舞われた東日本大震災。

そんな中、災害発生直後に被災地に入り、救命活動や情報収集を行った看護師は、何を見て、何を感じたのでしょうか。そして、これから私たち看護師にどんな支援ができるのでしょうか。

ここでは、DMATチームとして現地入りした2人の看護師に、今回の災害の特徴とこれから必要となる支援や活動について話を聞きました。


大地震発生!その1時間半後にはヘリで被災地へ

看護師の江津繁さんは、発災翌日に現地入りしました。

江津さんは2009年9月に発生したインドネシア・スマトラ島沖地震(マグニチュード7.5)の際、国際協力機構(JICA)の国際緊急援助隊として派遣された経験を持ちます。発災当日の11日に災害医療センターDMATメンバー(看護師2名、調整員1名)となり、宮城県へ向かいました。災害急性期において医療搬送、病院支援、域内搬送、現場での救命活動を行うための情報収集が目的です。

その日の16時に調査ヘリでセンターのヘリポートを出発し、途中、福島空港を経由し、災害対策本部が置かれた宮城県庁、仙台医療センター、自衛隊駐屯地での活動を開始しました。

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「自衛隊が探し出した患者さんを自衛隊駐屯地で病院へ安全に搬送するための医療処置などの対応をしました」(江津さん)

いっぽう、熊倉さんは深刻化する福島第1原子力発電所の事故を受けて、国立病院機構(NHO)放射線医療チーム(医師1名、看護師1名、放射線技師2名)に加わって福島県へ向かいました。熊倉さんのDMATとしての知識・技能を活用できると期待されたからです。

福島県の災害対策本部から放射線チェックの要請が出たのを受け、派遣。避難指示が発令された福島第1原発30km圏内の住民が圏外へ避難する際に放射線チェックを行う業務に携わりました。

想定外だらけの被災地DMATにとって前例のない活動に

現地に向かった江津さんも熊倉さんもこれまでの災害とはまったく異なるケースだと感じたといいます。

「今回の震災は被害が甚大で、範囲が広いというのが一番の印象です。想定外のことがいろいろと起こりました。例えば、情報収集しアセスメントする時間がかなりかかり、全国から集まったDMATチームを割り振ってどの現場で活動してもらえばいいかを決めることにも時間がかかりました」(江津さん)

宮城県だけとっても、ほとんどの地域で電気、ガス、水道のライフラインが切断され、気仙沼市や南三陸町のように共同体全体が津波によって壊滅的な被害を受けた地域、また仙台市や名取市のように海岸沿いの宅地や農地が一瞬のうちに地盤沈下・冠水する被害を受けた地域があります。

あまりに広く甚大な災害ゆえに、超急性期医療に医療チームを投入するという、これまでの初動体制が機能しなくなったのです。

結局、混乱の中、初動で動いた人々が懸命に行ったヒアリングとアセスメントが確かな情報となったようです。

広域かつ甚大な被害。にもかかわらず、救命措置を必要とする被災者の数は少なかったことが東日本大震災の特徴と2人は口をそろえます。

「建物の瓦礫の下に患者さんがいるというのが災害のイメージですが、今回は津波にさらわれてしまった方が多く、外傷者の方は想定していたよりも少なかったという感じがします。従って、トリアージによる赤タッグの患者さんへの救命処置などのニーズは少なかったというのが現状でした」(熊倉さん)

「『救える命を一つでも多く救う』がDMATの目的ですから、標準機材も外傷用がメイン。点滴や注射などは充実しているのですが、長期間にわたる避難所生活で必要な措置や慢性疾患のための医薬品などに関しては想定していないのです。DMATの目的も機材も現地のニーズとずれてしまったというのが正直な印象です」(江津さん)

生死の境をさまよい、救命措置を必要とする人が少なく、むしろ被災地で求められていたのは被災した医療機関や福祉施設からほかの医療機関や避難所への搬送だったのです。

そのギャップを埋めるために、最新の情報に基づいて後方支援の医療チームが派遣されました。しかし、被災地域が広範囲にわたり、被害が大きかったため、DMATの活動は前例に ないほど長期化しました。

「DMATの活動は原則1チーム48時間設定なので、チームが交代しながらDMAT全体として11日半も活動しました」(熊倉さん)

短期間の超急性期活動、そして数日で後方支援が入るという、慢性期へ移行するための引き継ぎがスムーズに行われなかったのです。

災害ボランティアをしたいあなたへ

被災地等で医療支援活動を行う組織には、DMAT(国や都道府県が組織する災害派遣医療チーム)や日本看護協会の災害支援ナース、災害支援団体などの災害支援チームなどがありますが、それぞれ組織する施設・協会・団体への勤務・入会・登録がまず必要となります。

そこで事前に専門的な研修を受けて、災害看護を習得することが被災地派遣への第一歩となります。こういった研修を受けていない場合は、一般のボランティアとして被災地に入ることになります。

都道府県やNPO法人、民間のボランティア団体の情報サイトやマッチングサイトなどをチェックして、被災地のどこで、何を求められているかの情報を手に入れましょう。また、被災地に入る前に、災害看護に必要な心構えや準備もチェックすることをお勧めします。

災害ボランティアに関する情報を得られるサイト

  1. DMAT http://www.dmat.jp/
  2. 「災害派遣ナース」(日本看護協会) http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/saigai/
  3. 「防災ボランティア」(日本赤十字社) http://www.jrc.or.jp/
  4. NPO法人など災害支援団体 各団体のホームページを参照
  5. 全国社会福祉協議会 http://www.shakyo.or.jp/
  6. 全国訪問ボランティアナース キャンナス https://nurse.jp/
  7. 救急医療総合研究機構(東日本大震災医療支援本部) http://www.qq-souken.org/support/

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