1. トップ
  2. 看護記事
  3. 看護管理
  4. 看護管理・教育
  5. 災害看護
  6. 第3回 “電源喪失”の危機を乗り越えろ!

【連載】災害サバイバル術

第3回 “電源喪失”の危機を乗り越えろ!

  • 公開日: 2014/4/15
  • 更新日: 2020/10/22

今回の大震災では福島第1原子力発電所も甚大な被害を受けました。これに伴い、東京電力から電力供給を受ける1都8県では、計画停電による電源喪失という医療危機を体験しました。

心配されていた夏場の計画停電は回避できそうですが、自然災害に停電はつきものです。その時、どのように患者さんの「安全」「安心」を守っていくべきか。今回の経験を受け、停電時の危機対応のポイントをまとめました。


Q1 突然の停電にもあわてず対応したい!日頃どう備えればいい?

A1

職場の停電対応マニュアルを見直して、整備しておこう

解説

同時に、「停電対応マニュアル」も有用です。1995年の阪神・淡路大震災から得られた教訓として、厚労省の指示もあり、多くの医療機関や介護保険施設では、独自の防災マニュアルを作成し、定期的に訓練を行って、平時から準備しています。

この中には、現在の医療が電気に大きく依存していることを踏まえ、電源喪失への対応が必ず盛り込まれています。

あなたの職場には、このマニュアルがありますか? 日ごろからこのマニュアルを整備し、必要な見直しをしておくことも、突然の停電に冷静に対処する上で大きな備えとなります。

Q2 「正直、非常電源ってどんな仕組みなのかよく知らないんですが・・・」

A2

日頃から非常電源設備の整備、点検を徹底し、設備や配電盤の位置を知っておこう

>> 続きを読む

解説

医療機関では、人工呼吸器や透析機装置など、実に多くの電源を要する機器が患者さんの生命に直結するかたちで稼働しています。検査や手術に使われる機器も、その大半が電源を必要としています。

停電による電源遮断時にこれらが作動しなくなり患者さんの生命を脅かすトラブルが起きないように、医療機関の電気設備には、「病院電気設備の安全基準(以下、JIS T 1022)」により一般家庭などの電気設備以上の厳しい規定が設けられています。その一つが、非常電源設備の設置です。

この非常電源設備には、蓄電池設備(バッテリー)と、軽油や重油を用いる自家発電設備があります。その性能や、稼働時間などは医療機関の設定により異なりますが、電力会社からの電源が遮断されると、瞬時にバッテリーからの送電に切り替わり、その後40秒以内に自家発電設備からの送電に切り替えられて、発電燃料が続く限り、電源が連続して供給される仕組みになっています。

停電時にこの仕組みが正常に機能するためには、日頃から非常電源設備の整備、点検を徹底するとともに、スタッフナースもこれらの設備や配電盤の位置などを知っておく必要があります。また、燃料確保も重要で、今回の通知の中で厚労省は、各医療機関に自家発電装置の点検と燃料の確保を、また対象市町村にはこの燃料確保の支援を要請しました。

Q3 赤とか緑とか、色の違うコンセント。これってどんな違いがあるの?」

A1

電源喪失が生命にかかわる医療機器には「緑」(「赤」)を使用するのが基本

解説

医療機関で使用されている電源コンセントは、JIS T 1022の基準により、電源の種類に応じて、白・赤・緑(ない病院もある)に色分けされています。このうち「白コンセント」は、電力会社から供給されている一般電源で、停電時には供給が止まります。

非常電源は、送電開始までの時間と連続稼働可能時間などにより、「一般非常電源」「特別非常電源」「瞬時特別非常電源」の3種類に分類されますが、すべて「赤コンセント」が使われます。

このうち「瞬時特別非常電源」については、2006年以降、電源遮断時に瞬時(0秒)に切り替わる、「交流無停電電源装置」が追加されています。

このコンセントは、ほかの非常電流と識別できるように「緑コンセント」に変えてもよいとされており(赤コンセントのままの施設もある)、現在多くの医療機関では、人工呼吸器のような稼働停止が即、生命にかかわる機器に、この「緑」(あるいは赤)のコンセントを使用しています。

非常電源の種類(JIS T 1022:2006 による)

表 非常電源の種類(JIS T 1022:2006 による)

Q4 バッテリー搭載の人工呼吸器、そうはいってもいつバッテリーが切れるかわかりませんよね?

A2

最悪の事態を想定して、用手人工呼吸・気管内挿管器材一式を用意しておこう

解説

人工呼吸器には、バッテリー搭載の機種があります。この機種の利点は、停電時でも内臓バッテリーで稼働できることです。

反面、稼働時に電源プラグがコンセントから外れたことに気付かずにいると、バッテリーを使い切り(最大約6時間)、稼働がストップする危険性があります。

この防止には、「緑」か「赤」のコンセントに接続されていること、人工呼吸器の電源供給ランプの「ACコンセント使用」が点灯していることの確認が重要です。

また、電源喪失に備え、用手人工呼吸や気管内挿管用の器材一式のベッドサイド常備、担当ナースが異常事態を随時把握できる体制整備も求められます。

Q5 停電したら、在宅や施設にいる患者さんの医療機器はどうなっちゃうの!?

A3

かかりつけ病院と機器メーカーが協力して利用者の情報を収集・対応しよう

解説

厚労省は今回の通知で、人工呼吸器などの電源が必要な医療機器を使用している在宅療養者を、保健所が中心となり把握することを要請。該当者には、担当医療機関と機器メーカーが協力して速やかに、

  1. 内蔵バッテリーの有無・稼働時間・作動状況の確認
  2. 外部バッテリーの準備と事前の充電
  3. 停電期間中、代替機器が必要であれば、その配布、貸出
  4. 人工呼吸器使用者は蘇生バッグによる人工呼吸実施の準備
  5. かかりつけ医療機関との緊急時連絡体制の再確認
  6. 重症で、かかりつけ医が在宅対応は困難と判断した患者は、計画停電実施中の医療機関への一時避難

などの対策を講じるように求めました。

最近は、在宅酸素療法を続けながら介護保険施設に入所する例や、吸引器や輸液・経腸栄養ポンプに依存している入所者も増えており、これら該当者にも同様の対応がとられました。

Q6 在宅用の医療機器についてはあまり知識がない。どのように対応すればいい?

A4

関連機関・企業・学会・自治体等が出す情報を活用し、在宅患者さんを支援しよう

解説

突然の停電時には、今回とられた対応そのままが求められます。「どんな支援が必要か」、そのための情報は「どこから入手できるのか」を整理してリストアップしておけば、慌てずに対応できます。

今回の場合、厚労省は、対策徹底のため、対象エリアの難病医療拠点病院をはじめとする関係公的機関や関係機器メーカーに、該当者のための緊急相談窓口を設置して対応に当たるよう指示しました。

これを受け、例えば関係機器メーカーのひとつ、帝人ファーマは、該当者の担当医や訪問看護師らに、患者さん宅に直接電話、または訪問して必要な対応策を指導するよう要請。関連学会や患者団体もウエブサイトで、相談窓口の活用を呼び掛けました。

いうまでもなく、日ごろの患者・家族への指導も欠かせません。

多くの自治体は、人工呼吸器療法や酸素療法を続ける在宅療養者に、非常時に備えた手引きを手渡し、備えを促しています。

訪問時には患者さんや家族といっしょに、この手引きをもとに備蓄品の定期点検、バッテリー交換の経験など、必要な指導を行っておく習慣をつけましょう。

次回は、停電したらどうなる? についてみていきます。

(『ナース専科マガジン』2011年6月号より転載)