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【連載】女性のがんのケア

第2回 メカニズムと患者さんへの影響からみる女性のがん(その1)

  • 公開日: 2012/12/20
  • 更新日: 2020/10/21

生活の変化などにより増加傾向にある女性のがん。疾患に加え、女性ならではの特性に考慮したかかわりが必要です。今回は乳がんについて解説します。


女性では罹患数が一番多いがん・乳がん

乳がんは、罹患数・死亡数ともに年々増加し、その罹患数が女性では一番多いがんになっています。

罹患率は30歳代から増加しはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎えて以降徐々に減少していきます。

乳がんのリスクファクターには、初経年齢が低く、閉経年齢が高い、出産歴がないなどのエストロゲンに関連するものが多く、飲酒習慣や閉経後の肥満などの生活習慣、遺伝的要因などが挙げられます。

乳がんの組織学的分類は腺癌がほとんどです。

乳がんは乳管、小葉を越えて間質に広がったものが浸潤がん(約80%)で、脂肪を巻き込んで増殖し、さらに進行すると皮膚や胸筋まで達することがあります。

がんが乳管内にとどまっているものが非浸潤がん(約5%)で早期のがんです。がんの転移は、リンパ行性には同じ側の腋窩リンパ節から広がることが多く、血行性にもがんは転移します。

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治療の選択肢に多様性があるため適切な情報提供が必要

治療は、手術療法と抗がん剤による化学療法、放射線療法、内分泌療法などを組み合わせて行います。

手術療法には、乳房温存術と乳房切除術があり(p.70参照)、手術の際、センチネルリンパ節生検を行い、陽性であれば腋窩リンパ節郭清(切除)を行います。

乳がんの再発のリスクに応じて、再発率を下げるために補助化学療法を行いますが、術前に行った場合、原発巣が縮小すれば温存率が上昇します。

再発転移や進行がんでは延命とQOLの改善のために治療を行います。また、ホルモン感受性が陽性の場合には、術後内分泌療法を、HER2が強陽性の場合にはハーセプチン等を使っての治療が可能です。

最近、ホルモンの感受性とHER2が陰性の場合、アンスラサイクリン系の抗がん剤が良く効くといわれています。

放射線療法は、乳房温存術後に乳房内での再発予防で実施するほか、進行がんや再発転移には再発巣の縮小や疼痛緩和を目的に実施します。

乳がんの治療は、選択肢の多様性が特徴的で、患者さんはどの治療法が自分にとって適切か、迷ったり不安になる場合があります。

必要な情報を提供しながら、ライフスタイルに合った選択が行えるようサポートすることが看護師の重要な役割になります。治療からくるボディイメージの変容への配慮や、補整下着やかつら、メイクの方法などの情報提供が重要です。

事例にみる女性のがんの患者さんの心の動き 私はがんではないというAさん

[事例]

30歳代前半のAさんは、各種検査と針生検を行い、病理検査の結果、乳がんと診断されました。

医師から、まず化学療法を行い、その後手術を行うと説明されました。説明のときは泣く様子もなく淡々とした印象でした。

しかし、説明の3日後、Aさんは、「私ががんであるはずはない。病理検査の結果が間違っているのでやり直してほしい」と言ってきました。

がんではないと考えた根拠は、本やインターネットで調べたらAさんの症状が乳がんの症状と一致しないというものでした。「病気のことがはっきりわからないので不安」と暗い表情でした。

[アセスメントと計画]

がんと知ると衝撃が大きく、現実を直視しないで衝撃をやわらげようとする場合があり、Aさんは「否認」の状態にあると考えます。

これから治療に立ち向かうAさんには、現実を知ってほしいと思うのですが、無理に現実を突き付けるのは得策ではありません。どのようなきっかけで受診したか、検査のとき、医師から病気や治療について説明があったときなどに、どのように感じたかを聞いていきます。

その際、解けそうな誤解があれば解いていきます。

[実践・結果]

Aさんの話を否定せずに聞いたところ、「しこりを見つけ、がんかもしれないと思って受診した」と話します。

そして針生検後、しこりが痛むように感じ「痛いからがんではない」と考えていました。

看護師はがんの可能性が高いと話し、セカンドオピニオンを提案。同時に、がんであったらなるべく早く治療を開始するように話しました。

Aさんはセカンドオピニオンへ行き、がんと診断され戻ってきました。「やっぱりがんなのですね」と泣いていましたが、「治したいので頑張ります」と話し、治療に前向きに取り組むまでになりました。

次回は、子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんの特性と患者さんへの影響を考えます。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

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