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【連載】女性のがんのケア

第1回 医療の進歩とその特徴からみる女性のがん

  • 公開日: 2012/12/13
  • 更新日: 2020/10/21

分子標的治療薬のさらなる開発が待たれ、そして将来、HPVワクチンによる子宮頸がんの激減が期待されます。

それとともに今後は検診の普及が大きなカギとなります。


着実に進歩を遂げている女性のがんに対する治療

乳がん、子宮がん、卵巣がんは、女性の性と密接に結びついており、女性特有のがんといえるでしょう。ここではこれらを「女性のがん」としてお話しします。

がん治療は大きな進歩を遂げ、早期がんであれば多くのがんは、手術などで完治するようになっています。女性のがんでは、特に乳がん治療の進歩が目覚ましく、多くの治療薬が開発されています。

乳がんの化学療法では、長年スタンダードだったドキソルビシンとシクロホスファミドの併用療法にドセタキセルが加わり、さらにトラスツズマブやラパチニブといった分子標的治療薬が開発されて、生存率も延びてきました。分子標的治療薬は、治療の進歩を後押しするものとして、さらなる開発に期待が寄せられています。

ホルモン依存性のある乳がんには、治療法としてホルモン療法があることも大きな特徴です。例えば、手術後骨のみに転移再発した場合は、ホルモン療法を行い、さらには放射線治療を行うことで成果がみられています。

化学療法により腫瘍を小さくしてから手術すること(術前化学療法)も行われ、さらに手術後の放射線治療などにより、乳房温存率が高い時代になってきました。

また手術においては、センチネルリンパ節への転移の検索で、リンパ節郭清をどうするかが決められるようになりました。

卵巣がんの化学療法は、パクリタキセル、カルボプラチン併用療法が標準化学療法として行われています。

一方、子宮がん治療は手術療法が中心ですが、若い人に多い子宮頸がんに限っては予防ワクチンが使えるようになったことは非常に大きなトピックスです。

ワクチン接種が普及すれば、将来、子宮頸がんの罹患率が目に見えて減少すると考えられます。一方、高齢者に多い子宮体がんは増える傾向にあり、この治療法のさらなる開発が期待されます。

※続いては、検診の重要性について解説します。
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早期治療につなげる検診の促進が重要

このように治療法は着実に進歩しています。

しかし、病期が進行した患者さんでは、長く治療する必要があり、また、命にかかわってきます。

女性のがんの場合、妊娠・出産という人生の大きなイベントともかかわるだけに、妊孕性の温存など多様な治療を望むケースも出てきます。

ですから、なるべく早期の段階で治療が始められることがより重要です。

初期の女性のがんには明確な自覚症状がほとんどないことが多いのです。

そのため、早期発見には検診が大きな意味をもってきます。しかし、女性のがんゆえの羞恥心などの問題もあり、ピンクリボン運動などのキャンペーンが行われても、なかなか受診率が向上せず、医療者としては残念な現状です。

女性のがんの患者さんは、異性の医療者には相談しにくい悩み事を抱えていることが多々あります。

特に女性看護師の皆さんには、そうした口に出せない患者さんの言葉をキャッチしてほしいと思います。そして、患者さんとの信頼関係を築き、相談できる環境をつくり、女性特有の身体の問題と生活上の問題をサポートしてくれることを期待します。

地域全体でがん看護のスキルアップを目指すセミナーの開催

都道府県のがん診療連携拠点病院である都立駒込病院では、がん看護専門看護師とがん関連の認定看護師が協働して、自主的にがん看護の研修「がん看護セミナー」を企画、運営しています。

がん看護に関心のある看護師であれば誰でも参加可能で、院内だけでなく地域医療機関の看護師のがん看護の質の向上にも貢献し、さらなる連携を図っていきたい考えです。

毎回約80人の参加者があり、院内の他に都立・公社・地方独立行政法人病院のほか、文京区、北区、荒川区、足立区などの病院、訪問看護ステーション、クリニックなどで働く看護師30名ほどが参加。がん看護に対する関心の高さがうかがえます。

1シリーズ1年半で毎月1回程度計15回のプログラムです。化学療法や放射線療法に基づいた看護やがんリハビリテーション、乳がん看護、がん性疼痛看護、がん患者の褥瘡ケア、緩和ケアなどテーマ別の内容になっています。

「学んだことが必ず活かせる」をコンセプトに臨床に役立つトピックスを交えた講義内容です。事前の申し込みは不要です。詳細は同院ホームページまたは下記に問い合わせてください。

[問い合わせ]都立駒込病院看護部

TEL 03-3823-2101(代)内線2133


(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

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