第11回 放射線治療における有害事象とセルフケア
- 公開日: 2013/2/23
放射線治療は乳がんと子宮がん、卵巣がんのいずれにも適用となります。代表的な有害事象は何なのか、セルフケアで気を付けなければならないことは何かを知っておきましょう。
Q. 放射線治療に伴う有害事象とセルフケアの方法について教えてください。
A. 放射線治療は乳がんと婦人科がんのいずれにも適応になり、代表的な有害事象は放射線皮膚炎と放射線粘膜炎です。
解説 がん細胞だけでなく腫瘍周囲の正常細胞にも影響を与える
放射線療法は、がんが存在する局所に放射線を照射し、がん細胞のDNAに作用して破壊する治療法です。細胞分裂が盛んながんは放射線治療が効きやすく、なかでも子宮頸がんの扁平上皮がんは効果が上がります。
子宮体がんや乳がんは腺がんが多く、比較的よく効くといわれています。乳がんの場合はおもに乳房温存術後と再発がんに、婦人科がんでは子宮頸がんや子宮体がんに多く用いられます。
放射線を照射する場合、がん細胞だけでなく照射野となる腫瘍周囲の正常細胞など放射線が通過する範囲にも影響を与え、有害事象として出現します。有害事象には、治療中あるいは治療後6カ月以内に起こる急性期有害事象と、治療後6カ月以降に起こる晩期有害事象があります。
放射線療法が必要と説明を受けた患者さんは、目に見えない放射線に対する恐怖心や被ばくに対するなどから不安が生じやすく、治療開始の意思決定への支援が重要になります。
また、外来治療を継続する患者さんが多い現在は、治療前のオリエンテーション時から経過がわかるような情報提供と、出現する有害事象を知らせ、セルフケアできるようにサポートすることが大切になります。
※続いては、代表的な有害事象である放射線性皮膚炎と放射線性粘膜炎について述べます。