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【連載】その手技にはワケがある!

膀胱留置カテーテル 陰部洗浄・挿入・固定のコツ

  • 公開日: 2016/1/12
  • 更新日: 2021/2/5

尿失禁や便失禁、排尿困難、便秘などに対する処置・ケアは日々行っていることでしょう。
また、同様の処置を手術前に行うことも少なくありません。しかし、これら排泄ケアは、意外にも苦手と思っている看護師が多いようです。
これらの手技の根拠を知って、安全・安楽・安心に自信を持ってケアを行いましょう。


排泄ケアのリスキーポイントを知ろう!

排泄ケアは、患者さんに羞恥心や苦痛が伴うケアであるため速やかな実施が求められます。看護師側にとっても、粘膜に触れる手技が多く、感染に対する注意が必要です。

特に、膀胱留置カテーテルの挿入と管理、導尿や摘便、浣腸については、安全な手技と感染に対する注意が必要です。
導尿や膀胱留置カテーテルの挿入と管理において注意が必要なのは、無菌的操作と患者さんの疼痛緩和です。
苦痛を与えないように配慮しながら、いかに尿路感染症や尿道損傷などの合併症を防止・軽減するかが大切です。

今回から2回に渡って膀胱留置カテーテルのポイントについて解説します。
1回目は、膀胱留置カテーテルの挿入・固定についての根拠を解説します。

膀胱留置カテーテルの挿入・固定のポイント

女性患者さんの場合は、挿入前に洗浄・消毒をする

導尿を行う場合、尿道やその周りの陰部の皮膚に付着している細菌が、挿入したカテーテルから膀胱内に入り込むと、尿路感染のリスクが高くなります。
そのため、カテーテルを挿入する前に、患者さんの陰部を十分に洗浄・消毒することが大切です。

特に、女性の場合は、尿道口と肛門の位置が近いので感染リスクが高まります。必ず尿道口側から肛門側に向けて拭くようにします。
このとき、同じ綿球を使い続けると、消毒面積が広いため、綿球に付着した汚れが次の清拭場所に付着してしまいます。部位ごとに綿球を替え、感染リスクを低下させましょう。

また、消毒薬にかぶれる患者さんもいるので、終了後には消毒薬を拭き取るとよいでしょう。

男性に対するカテーテル挿入の際には陰茎を立てる

男性患者さんへの膀胱留置カテーテル挿入の場合は、片手で陰茎を持ち上げ、患者さんの身体に対して陰茎を垂直に立てるようにします。

これは男性患者さんが臥床した状態では、腹様部尿道と尿道陰嚢角の2カ所が、大きくカーブしているためです。
陰茎を垂直に立てることで、振子部尿道から腹様部尿道までが、なめらかな曲線になり、カテーテルが挿入しやすくなります。

また、挿入時に患者さんに口から息を吐いてもらうと、尿道括約筋が弛緩し、挿入しやすくなります。
ただし、実際には、男性患者さんの導尿は男性看護師や医師が行うことが多いので、女性看護師は正しい手技を理解し、実施者がこのようにできるよう介助しましょう。

男性患者さんはカテーテル固定を上向きにする

男性患者さんの場合、陰茎を上向きに固定し、尿道のカーブによる圧迫を防ぎます。
もし、下向きに固定してしまうと、尿道陰嚢角をカテーテルで圧迫し、血行障害や尿道損傷を起こす可能性があります。
そのため、必ずカテーテルを上向きにして、下腹部に貼った台紙に、テープで固定します。

テープかぶれを起こす場合もありますので、肌に優しいテープ、患者さんに肌に合ったテープを選択するようにしましょう。

男性患者さんの膀胱留置カテーテルの固定方法説明イラスト

カテーテルはゆとりを持たせて固定する

カテーテルのテンションにゆとりがないまま固定していると、体動のたびにカテーテルが引っ張られることになります。
そうすると、カテーテルが抜けやすくなったり、尿道粘膜がカテーテルの摩擦により損傷される危険性があります。
粘膜に損傷があると、感染のリスクも高まるため、避けるようにします。

基本的に、男性は下腹部に、女性は大腿部内側にカテーテルをテープで固定しますが、ゆとりを持たせて、全周をテープでくるんで台紙に貼り付けるようにします。
固定が長期間にわたる場合は、カテーテルの圧迫による皮膚損傷およびテープによる皮膚障害を予防するため、適宜固定場所を変えます。

次回も引き続き排泄ケアの根拠について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年8月号より転載)

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