エアトラップ(auto peep)を見逃さない
- 公開日: 2014/1/23
グラフィックモニターでは、気道・肺胞で何が起きているか、つまり患者さんの呼吸の状態を想像することができます。正常な波形を把握していれば、異常な波形を見たときにはっきり判断をすることができなくても、何らかの違和感をもてるようになります。
エアトラップ(auto PEEP)とは
呼気フローがゼロに戻らずに次の換気がスタートしていたら、エアトラップ(auto PEEP)だと考えます(図1)。これは呼気時間が短かすぎ、1回換気量を吐ききれずに終わっていることを示しています。原因としては気道の狭窄がもっとも疑わしく、呼気時間を十分とっても、エアトラップがみられる場合は、十分な呼気時間を得られるように設定を変えるなど何らかの対処をしなければなりません。
(図1)エアトラップの例
auto PEEPが生じやすい病態と対処法
auto PEEPが生じやすい病態
1)慢性気管支炎(分泌、粘膜浮腫)
2)肺気腫(末梢気道の破壊、末梢気道の易虚脱性、気道抵抗増大)
3)気管支喘息
4)気道熱傷
5)頻呼吸 など
対処法
1)呼吸数を減らすようする
2)設定吸気フローを速くする
3)1回換気量を少なくする
4)auto PEEPが消失するレベルまでPEEPを加える
ただし、APRVモードの場合は肺胞の虚脱を防ぐ目的でauto PEEPを意図的に生じさせます。
圧規定の強制換気では特に変化に注意
圧規定の強制換気では、一定の圧がかかっているため、気道内圧波形は一定の波形を保っていることが多いのですが、吸気呼気フロー波形に変化が現れやすいので特に注意します。適切な吸気流量が得られる吸気時間になっているか(図2)、波形が減弱していっていないか、1回換気量が減っていっていないか、経時的に注意して観察します。
(図2)吸気波形の変化
次回は、「気道内圧波形の変化をとらえよう!」について解説します。
(ナース専科マガジン2012年12月増刊号「一冊まるごと呼吸ケア」より転載)