第10回 カリウムはどうやって排泄されるのか?
- 公開日: 2014/11/29
これまでカリウムについて解説してきました。最後はカリウムの排泄について解説します。
カリウムは腎臓から排泄される
腎に到達したカリウムは、糸球体をすり抜けた後、いったん大部分がナトリウムとともに再吸収され(a)、さらに今度はナトリウム再吸収と引き換えに排泄される(b)、という順序で処理されます(下図)。
このため、(b)に到達する尿量やナトリウム量が多いほど、そこでのナトリウム/カリウム交換が活発に行われ、カリウム排泄が多くなります。
フロセミドなどのループ利尿薬は、(a)の段階を阻害するため、もともとカリウムの再吸収が少ないことに加えて(b)の働きを促進するので、容易に低カリウム血症をきたします。
アルドステロンによる調節は、この(b)の段階に対して行われます。スピロノラクトンなどの抗アルドステロン薬は、(b)を阻害してナトリウムの再吸収を抑えることにより利尿を図りますが、同時にカリウムの排泄も抑制されることになるため、ほかの多くの利尿薬とは異なり、低カリウムの原因にはなりません。
むしろ連用による高カリウムに注意が必要です。
図 カリウムの排泄とループ利尿薬、抗アルドステロン薬の効果
(「ナース専科」マガジン2010年9月号から転載)
次回からは腎機能について解説していきます。
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