おむつをしている患者さんの褥瘡ケアとは?
- 公開日: 2016/4/22
- 更新日: 2021/1/6
ナース専科コミュニティ会員にアンケートを実施し、排便や排尿にかかわることで実際に困っていることを集め、皮膚・排泄ケア認定看護師に解説してもらいました。
おむつをしている患者さんの褥瘡ケアとは?
特別なケアは必要ない
おむつ内の高温多湿の湿潤環境は、褥瘡ができる原因の一つにはなりますが、だからといって湿潤環境がケアに影響することはありません。
軟膏を塗るかもしくはドレッシング材を貼るのか、どちらを選択するかは、創の深さや感染がないか、滲出液の量によって決めます。
例えば、深い創であればドレッシング材が創底に着かず効果がないため、軟膏を塗り、創底が盛り上がってきたらドレッシング材に変更するとよいでしょう。
交換間隔は、滲出液の量と汚染の程度で決める
ドレッシングの交換間隔も、おむつの湿潤環境とは関係ありません。滲出液量と汚染の程度で決めます(図)。滲出液でいっぱいになったとき、またそれ以外でも排泄物で汚れてしまったときには交換します。尿とりパッドを使用している場合は、おむつの交換も汚れがなければ1日1回で十分です。
おむつをしている、していないにかかわらず、褥瘡の病期と状態をアセスメントして、ガイドラインに沿ってケアすることが大切です。
褥瘡ケアをおさらい
■(1)褥瘡の洗浄
はじめに創周囲の皮膚を石けんで洗います。洗い方は予防的スキンケアでの洗い方と同じです(第7回参照)。次に、創内を洗浄します。生理食塩水または水道水で、水圧をかけながら十分な水量で洗い流します。できれば微温湯を使いましょう。また、周囲を洗浄したときの石けんが残っていたら、しっかりと洗い流します。
■(2)創の保護
創周囲の水分を押さえ拭きしてしっかりと乾燥させたら、創の状態に応じてドレッシング材の貼付や、軟膏を塗ってガーゼなどで創を覆い、保護します。ただし、感染創に関しては閉鎖しないことが基本になるので、ガーゼドレッシングを行います。創周囲には皮膚保護クリームを塗ります。
■(3)湿潤環境の保持
ハイドロコロイドドレッシング材やポリウレタンフィルムなどを使って湿潤環境、閉鎖環境を作ります。湿潤環境によってマクロファージ、表皮細胞が活性化されると同時に、創内のpHが弱酸性に保たれ、細胞の活動がさらに活発化されます。ドレッシング材は毎日交換する必要はありません。交換頻度は滲出液量と汚れによって決めます。滲出量が多い場合には、吸収量の高いドレッシング材を選択するといいでしょう。
ドレッシング材交換の際には、肉芽細胞、上皮細胞、周囲の皮膚を損傷しないように注意します。
(『ナース専科マガジン』2015年12月号より転載)