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【連載】チューブ・ドレーン自己抜去防止への取り組み!

第1回 多職種による医療安全チームで行うチューブ・ドレーン管理【PR】

  • 公開日: 2016/6/27
  • # 注目ピックアップ
  • # チーム医療

病院全体の医療安全を考えるとき、看護部の牽引だけでは、職種の壁を超えて意識を高めることはなかなか難しいのかもしれません。
ならば、専門知識をもち寄り、誰でも同じように使いこなせる専用品を取り入れてはどうかと考えた病院があります。
今回は、姫路聖マリア病院が一丸となって進める多職種による医療安全チームの中から、「チューブ管理チーム」の取り組みを紹介します。


インシデント・データから5つの医療安全チームを発足

国宝・世界文化遺産の姫路城で有名な兵庫県姫路市にある姫路聖マリア病院は、キリスト教の倫理に基づいた、創立65年の歴史ある総合病院です。救急医療や周産期医療にも力を入れた急性期病院でありながら、緩和ケア病棟を有するなど、周辺地域の人々の医療と健康を守る基幹病院として機能しています。

 同院の医療安全管理室・副部長の平野ひとみさんは、より安全で安心な医療を提供していくには、医療安全にもチームでの取り組みが必要と考え、2015年に多職種による医療安全チームを立ち上げました。
「医療事故やインシデントには、人と人とのかかわりで起こるものが非常に多いのですが、中でも『気になっていることがうまく伝えられない』といった、スタッフ間のコミュニケーション不足によるエラーが目立ちます。コミュニケーション能力の高い施設は、大きなエラーも少ないといわれています。そこで、これまで看護部を中心に行ってきた医療安全を多職種によるチーム体制とし、施設全体で行うようにしました」(平野さん)

 院内のインシデント報告件数によると、最も多いのは「与薬」に関するもの、次いで「転倒・転落」、「チューブ管理」と続きます。平野さんはそれらに加え、安全な環境を考える「システム・環境」、院内教育のための「教育」という計5つのチームをつくり、15年度に全チームの活動を一斉に開始しました。特徴は、構成メンバーに医師と看護師のほか、与薬チームには薬剤師が、転倒・転落チームには理学療法士が入っていることで、どのチームも専門職による問題解決の視点が重視されています。
 
 平野さんは、現在これらのチームを統括し、方向性にぶれがないかを見極めながら、全チームをサポートしています。
「先日、各チームのリーダーが1年間の活動内容を発表する報告会があったのですが、どのチームも積極的に活動していることがわかりました。職種を超えたコミュニケーションも、当初の狙い通り活発になっています」と平野さん。多職種による横断的な活動が奏功し、病院全体で医療安全に取り組もうという意識が高まってきているようです。

専用品「クイックフィックス」導入でチューブ・ドレーンの自己抜去の件数減少を目指す

 医療安全チームの一つに「チューブ管理チーム」があります。メンバーは、ICUの松本正美さん、外科病棟の清水美代子さん、手術室の藤本栄美子さんら看護師と、人工透析センター・臨床工学技士の福本初さん、医師の相本法慧さんの6名で構成されています。看護師はチューブ・ドレーン類の使用頻度の高い部署から、また生命にかかわる循環動態の機器を管理する臨床工学課から臨床工学技士が選ばれました。
 
 チューブに関連するトラブルは、院内のインシデントの中でも3番目に多く、チームリーダーの松本さんはスタートからの活動について、次のように話します。
 
「まずは年間計画を立て、その中でどう動くかを決めました。最初に実施したのが、全病棟へのチューブ固定に関するアンケートです。その結果、チューブを固定するテープの種類が部署によってまちまちであったり、固定方法などが統一されていないことがわかりました。また、チューブ・ドレーンの自己抜去件数が多い病棟があることもわかりました」

 アンケートから松本さんたちは、「固定方法を統一して標準的な固定を誰もが行うことで、経験年数の差や観察不足による自己抜去を減らせるのではないか」と考え、固定方法は「オメガ(Ω)止め」に、テープはオメガ止めがしやすい「クイックフィックス」という専用品に統一し、チューブ管理のマニュアルを作成して、全病棟に配布しました。

 専用品のクイックフィックスについて、平野さんは次のように評価しています。
「看護師の経験の程度にかかわらず、テープに記された固定位置を目安にチューブを置けば、チューブが抜けにくいとされるオメガ止めができます。また、テープが剥がれにくいように、これまでは看護師がテープの角を丸く切り取っていたのですが、クイックフィックスならすでに角が丸くなっているので、その手間も省けます。しかも、しっかり固定ができるのに剥がしやすく、皮膚に優しいという点からも、導入してよかったと思います」

 さらに、さまざまな処置にスピードが要求され、チューブやドレーン類の管理が多い手術室の藤本さんも、「一連の流れの中で、スピーディーに貼れるのは大きなメリットですね。また、どの部署でも同じ固定ができるので異動時も安心です」と話します。

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