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【連載】この心電図をみたら何をすべき?

第3回<読み方・対応編①>洞性頻脈について

  • 公開日: 2016/8/31
  • 更新日: 2020/3/31

(1)心電図の特徴

病棟などで心電図をみた医師が、「サイナス」や「サイナスリズム」という言葉を使っているのを聞いたことはありませんか? このサイナスは日本語では洞性といいます。洞性とは、洞房結節から発生した電気刺激が刺激伝導系を介して心臓に伝わっていることを意味しています。これは正常な心臓の動きです。

次に頻脈(Tachycardia)という言葉。いわゆる心臓が1分間にどれだけ収縮と拡張を繰り返すかという点から考えると、正常心拍数が60~100回/分ですから、頻脈とは心拍数が100回/分以上ということになります。モニター心電図をみると、P波、QRS波、T波に異常は認められないにもかかわらず、心拍数は異常に速い状態です。

ここで、どうして頻脈に洞性という言葉を組み合わせるのかということを少し考えてみましょう。実は、140回/分くらいの頻脈の場合、同じような波形に発作性上室性頻拍(PSVT)や発作性心房細動(PAF)、2:1発作性心房粗動(AFL)、また心房頻拍などの波形があるのですが、この一瞬区別のつきにくい頻脈も、その発生機序は全く違うため、治療方針も自ずと違ってきます。

洞性頻脈(図1)とわかると、だんだん熱が上がってきたのかな? 出血があったのかな? など、頻脈の原因が心臓そのものではく、別の原因があって、その結果、頻脈になっているのだと医師は判断するわけですね。つまり、発作性とは違うわけです。

ですから、この洞性(サイナス)という言葉はとても大切なのです。

洞性頻脈の心電図

図2は上がPSVT、下がPAFの波形です。

その他HR140で鑑別が必要な似ている心電図

図1、2の3つの心電図は、見た感じ、どれもRR間隔からHRは150前後で、QRS幅が狭くて似ていますよね。

(2)どんな病態?

一般に、安静時で必ずP-QRS波の順に波形が出ていれば、急に心拍数が上がることはなく、多くは先にも述べた発熱や出血などが原因で“徐々に”心拍数が上がります。なぜ、“徐々に”という言葉を強調するのかというと、一瞬だけみれば洞性頻脈と見間違う不整脈波形(図2)があり、治療方針の違いから、鑑別が必要だからです。

特に、後述する発作性上室性頻拍などの場合、急にはじまり急に止まるという、“急に”ということが重要になってきます。“徐々に”と“急に”の違いはとても大きいのです。

*余談ですが、好きな人の前でドキドキするのも洞性頻脈なのでしょうか。
これは緊張が原因で洞房結節が発する電気刺激の量が増えただけで、そのほかの不整脈とは違い、正常反応です(笑)。

(3)緊急度と看護師としての対応

申し送りなどの情報がなく、はじめてその波形を見たときは、まず患者さんのところへ行って、突然動悸が始まったのか、そうでないかなど、症状を確認するようにしましょう。もし、寝たきりの患者さんの場合は、モニター心電図の記録が残っていれば、突然の発作かどうかは判断がつくでしょう。

もし、モニター心電図の記録がない場合は、いままでのカルテを見直し、記録から以前の心拍数や、その後の心拍数の変化を確認しましょう。全く情報がない場合、医師に連絡しましょう(実際医師でも判断がつく場合と、全く判断がつかない場合があり、その際は、ATP製剤を投与して、房室ブロックを人為的に生じさせることで心電図波形が変化して診断に至ることもあります)。

例えば、図3の心電図をみてみましょう。

上の波形はNarrowQRS(幅の狭いQRS)のTachycardiaでHRが140-150くらいに見えますが、実際に薬(ATP製剤)を使用すると、波形が伸びて基線がへの字の上のような心電図になり、もともとHR140-150くらいの心電図波形は、洞性頻脈ではなく、またPSVTや心房細動(AF)でもなかったとわかりますよね。

つまり、上の波形が2:1AFLでATP製剤を使用すると下のような波形になります。

心房細動の心電図

ちょっと一言
―教科書での心拍数の正常範囲と臨床での心拍数の許容範囲の違い―

みなさんは、専門学校や大学で正常の心拍数をいくつと習いましたか? おそらく60~100回/分くらいと習ったのではないでしょうか? そのため、この範囲からはずれる場合は、なにか異常を考えますよね。例えば、心拍数が52回/分の人がいたら、学校で習った値より低いからすぐに知らせないと! と思って報告すると、医師からは「様子を見ましょう」という反応が返ってくるでしょう。それはなぜでしょうか?

実は、臨床での心拍数は許容範囲がもう少し広いのです。その範囲はおおよそ40~120回/分ほどです。誤解のないように補足しておくと、この値に入っていれば問題ないという意味ではなく、条件によっては経過観察だけでよいという意味です。

例えば、心拍数が42回/分で全く症状がなく、以前からずっとこのあたりの心拍数で推移している人は問題ありません。しかし、以前は心拍数がもっと早く、呼吸苦やふらつき感などの症状があれば、この42回/分は異常ということになり、医師に知らせる必要があります。

また、心拍数がもともと60回/分の人が90回/分になって、どちらも正常範囲だから大丈夫かというとそうではありません。もし正常範囲内の心拍数の変化でも、例えば息苦しいなどの症状があれば、医師に知らせる必要があります。

このように目安は40~120回/分で、かつ症状の有無を確認しながら医師に知らせるかどうかを判断する必要があります。

話が少し大きくなってしまいましたが、とても大切なことなので覚えておいてください。

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