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【連載】がん化学療法による副作用のケア

口腔粘膜炎があるときの食事の工夫は?

  • 公開日: 2016/10/26
  • # 注目ピックアップ
  • # 口腔ケア

▼がん化学療法についてまとめて読むならコチラ
がん化学療法とは?副作用の出現時期や症状別の看護


口腔粘膜炎の重症度に合わせて食形態を変える

 口腔粘膜炎で痛みがあっても、栄養状態が悪化しないようにするためには、できるだけ経口摂取を行うよう努めます。口腔粘膜炎の程度や症状に応じて、少しでもおいしく、苦痛なく食事が食べられるように工夫しましょう。

 口腔粘膜炎ができると、酸味や塩味、香辛料などの刺激が強いもの、熱すぎるものや冷たすぎるもの、高浸透圧のものがしみます。酸味のあるものは避け、出汁をきかせて薄味にしたり、しょうゆやドレッシングなどは料理に和えてしまわずに、自分で調節できるように別に添えるとよいでしょう。

 常温に冷めた料理ばかりではおいしくありませんから、極端な温度にならないように注意しつつ、温かいものは温かくなど、料理にあった温度で提供します。

 どんな味や温度がしみるかは患者さんによって違いがあります。患者さんの要望を聞き、個別の対応を心がけることが大切です。また唾液の分泌量が減少して嚥下が難しくなるため、献立には汁物などの水分を添えると食べやすくなります。

 口腔粘膜炎がGrade2(下表)程度まで進むと、常食は食べにくくなります。

 揚げ物や生野菜など硬くて“角”があるもの、繊維質が多いもの、口腔内でバラバラになって広がるものなどは患部にあたって痛いため、食形態を変える必要があります。

 野菜などは軟らかく煮たり、ミキサーでペースト状にします。とろみをつけると、口腔内で自然にひとまとまりになって抵抗なくつるんと飲み込めます。麺類などのどごしがよいものが食べやすいでしょう。

 軟らかく煮たものやペースト状の食事にすると栄養摂取量が不足しがちです。特にタンパク質の不足は口腔粘膜炎の悪化要因となるため注意が必要です。適宜、液体やゼリー状の栄養を補える食品を追加するなどして、効率よく必要な栄養を摂取できるようにしましょう。

口腔粘膜炎のGrade  
Grade1 症状がない、または軽度の症状がある、治療を要さない
Grade2 中等度の疼痛;経口 摂取に支障がない、食事の変更を要する
Grade3 高度の疼痛;経口摂 取に支障がある
Grade4 生命を脅かす;緊急 処置を要する
Grade5 死亡

CTCAE 4.0-JCOG(2016年7月13日閲覧)http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv4_20160310.pdfより引用

口腔粘膜炎の重症度に応じた当院の食事例

<梅ちゃん食(化学療法食)>
例(写真):俵おにぎり3個、鶏肉の野菜あんかけ、豆サラダ(和風ドレッシング別添)、リンゴ、ジュース

 化学療法が開始され、嘔気・嘔吐があり、口腔粘膜炎の症状が軽度にみられるようになった患者さんには、当院では「梅ちゃん食」と名付けた低刺激の対応食を提供しています。

「さっぱりしたものが食べたい」「においを無くして欲しい」「果物なら食べられる」「のどごしの良いものなら食べられる」など希望される内容は様々です。

 常食を基本に、温かい・冷たい料理をそれぞれ2~3品組み合わせ、適度な酸味、果物やゼリーなどのどごしが良いもの、においがきつくなく、粘膜を刺激するようなとげとげしいものを避けるなどに配慮をしたメニューです。

<やわらか食>
例(写真):お粥、柳川鍋風(煮魚に卵のあんかけ)、じゃがいもの含め煮、焼きなす、ジュース

 口腔粘膜にびらんや潰瘍が生じ、口にものが入ってくるだけで痛いという患者さんには「やわらか食」を提供します。

 咀嚼が負担にならないように、基本的に圧力鍋を使用した加熱調理をし、舌でつぶせる軟らかさにしています。じゃがいもなどは皮を厚くむき、くずれる手前まで煮込んで、繊維質を感じないように調理します。

<ミキサー食>
例(写真):お粥、魚のあんかけ、じゃがいもの含め煮、豆サラダ(和風ドレッシング別添)、ヤクルト

 口腔粘膜炎が咽喉頭部にまで広がると嚥下が困難になるので、重力でつるんと滑ってのどを通るようにした「ミキサー食」にします。

 薄味にした加熱調理した料理をミキサーで細かく砕いたものが基本ですが、そのままでは水分と細かいつぶに分離してしまうものは、ひとまとまりになるようにとろみをつけるなどします。とろみ剤の量は料理や食材によって違うため適宜加減が必要です。全粥はミキサーにかけたのちでんぷん分解酵素を加えると、べたつかず、つるんと飲み込める性状になります。

患者さんのための日常生活のアドバイス詳細

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