CASE06 患者さんのために臆することなく積極的に医師との連携を!
- 公開日: 2016/10/27
困難事例6 下肢の難治性褥瘡を疼痛コントロールしているターミナルのケース
脊髄損傷から寝たきりのAさん(70歳、女性)。
長年、誤嚥性肺炎を繰り返し、治療を続ける間に、ほとんどの抗生剤に耐性がついてしまい難治性肺炎となった。
病院からは「入院していても肺炎に関してはもう治療がなく、発熱に対して解熱剤で下げるしかありません。それならば自宅で療養されたほうがよいのでは」と提案があり、在宅へ戻った。すなわちターミナルとみなされての退院であった。
酸素化はなんとか保たれているが、つねに胸膜炎を起こしているため、呼吸により胸痛が出る。また、下腿には多数褥瘡が形成されており、左の膝下はほぼ空洞化している。この傷からの痛みと、脊髄損傷からの異常知覚による焼けるような痛みが強く、疼痛によりほとんど眠れない様子である。
家族からは、いっそ下肢を切断できないかと相談があったが、体力が落ちており手術はできない状態。
検査値は、CRP15mg/dL、WBC10万/μL、ヘモグロビン7.5g/dL
ソセゴン15mg、アタラックス-P50mg、生食50mlの混注を1日2回ドリップし、間にボルタレン座薬を使用することで疼痛コントロール中。高カロリー輸液は中心静脈から1日に1,500mlを持続点滴中である。
カンファレンスの目的
病院からは、すでに肺炎に対しては、治療方法がないといわれ、在宅を勧められたターミナルのケースである。下肢に多数の褥瘡があるが、体力がないことから根治的な治療はできない状況である。ただし疼痛が強いことから、家族から痛みのタイミングに合わせた鎮痛薬の使用ができないかと持ちかけられ、よつばステーションでは可能性に向けて、カンファレンスを開くこととなった。