1. トップ
  2. 看護記事
  3. 注目ピックアップ
  4. 脱血不良を低減させる! バスキュラーアクセスカテーテルの新たなる展開【PR】

【連載】最新情報がわかる! 学会・セミナーレポート

脱血不良を低減させる! バスキュラーアクセスカテーテルの新たなる展開【PR】

  • 公開日: 2016/10/11
  • # 注目ピックアップ
  • # 透析

共催:第61回日本透析医学会学術集会・総会/株式会社メディコン


第61回 日本透析医学会学術集会・総会のランチョンセミナーが2016年6月10日(金)リーガロイヤルホテル大阪で開催されました。水井理之先生(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)を座長に迎え、末光浩太郎先生(関西ろうさい病院 内科(腎臓))から「バスキュラーアクセスカテーテルの新たなる展開~脱血不良の低減を狙いとした非カフ型カテーテルの選択~と題して、興味深い発表が行われました。


患者さんや医療者の負担を減らすために最良のカテーテルを模索

緊急透析やシャントの使用が難しいとき、非カフ型バスキュラーアクセスカテーテルを一時的に留置します。このカテーテルトラブルの1つに脱血不良があります。脱血不良を起こしたカテーテルは逆接続をしたり、カテーテル先端位置を調整したりと、カテーテル操作に忙殺され、業務の効率が著しく落ちてしまいます。

末光先生が関西ろうさい病院に赴任した2014年以降、シャント造設術の件数が一気に増加しました。これに伴い非カフ型カテーテルの使用頻度も高まり、脱血不良が起こるたびに対応に追われ、医療者の業務量も増してしまいました。
そこで、使用する非カフ型カテーテルをサイドホールからエンドホールタイプに切り替えたのですが、期待するほど脱血不良の低減や使用可能期間の延長につなげることはできませんでした。

新たな非カフ型カテーテルの特徴とその利点

このような課題を抱えていたとき、新しく発売されたのが非カフ型カテーテル「パワートリアライシス®」(株式会社メディコン)でした。そこでさっそく導入に踏み切り、従来使用していたサイドホールやエンドホールタイプのカテーテル(以後、「従来品」)と「パワートリアライシス®」の脱血不良や感染の発生率、使用可能期間を検討しました。

非カフ型トリプルルーメンカテーテルを右内頸静脈に挿入した透析患者さんのうち、「従来品(12Fr)」は2014年6月~ 2015年3月の連続80例、「パワートリアライシス®(13Fr)」は2015年6月~ 2016年1月の連続42例を対象としました(表1)。

table1

脱血不良の発生率を検討したところ、「従来品」は62.5%の脱血不良が発生していたのに対し、「パワートリアライシス®」では14.3%でした(p<0.001)(表2)。

table2

カテーテルの使用可能期間については、2週間経過時点でのカテーテル開存率は、「従来品」の66.6%に対し、「パワートリアライシス®」は93.4%と高い開存率を示していました(p=0.002)(図1)。

fig1

なぜ脱血不良は軽減され、使用可能期間は延長したのか?

脱血不良の発生率および使用可能期間の差がみられた理由について、2つの製品特徴を踏まえ、末光先生は以下のように考察します。

1.エンドホールが立体流線型の楕円状に開孔しており、さらにサイドホールが備えられている。エンドホールが血管壁に接触することを考慮し、カテーテルシャフト側面に沿って開孔部が設けられた製品になっている。
2.カテーテルシャフトが楕円型となっており、身体の動きなどによるカテーテルの折れ曲がり、キンクに強い製品になっている。

また使用可能期間の延長については、「脱血不良によるカテーテルの抜去や逆接続が少なくなったことが影響したのではないか」と考察しています。

脱血不良に伴うカテーテル操作は、感染率に影響を及ぼすか?

カテーテル感染について、「従来品」は10.0%であったのに対し、「パワートリアライシス®」では7.1%であり、有意差はみられませんでした(表3)。
ただし、「抜去や逆接続などのカテーテル操作を重ねることによって、感染は増えていくのではないか」と末光先生は考察しており、今後症例数を増やして検討していくと話されました。

table3

最後に、カテーテルシャフト外径が1Fr細い12Frの「パワートリアライシススリム®」(株式会社メディコン)が2016年より新たに発売されているため、その使用経験について報告がありました。
関西ろうさい病院において、「パワートリアライシススリム®」は2016年2月~現在までの連続20例で使用されており、脱血不良の発生は5.0%という結果になり、13Frの「パワートリアライシス®」と比較しても遜色のない結果になりました。引き続き症例数を増やし、製品機能を評価していく予定です。

終わりに・・・

セミナーの最後に、座長の水井理之先生からは、「先端形状の違いにより脱血不良が低減された可能性について説明いただきましたが、先端形状のどのような部分が脱血不良低減に効いているとお考えですか?」と質問がありました。

末光先生より「脱血不良の多くは血管壁へのへばりつきが原因であると考えています。パワートリアライシスはエンドホールが立体流線型の楕円状に開孔しているため、血管壁にカテーテルがへばりついたとしても、どこかの一部分は開孔しているのではないかと考えています。左右対称にエンドホールが設けられ、ねじったように斜めにスリットが入っているのが従来品との一番の違いです」とコメントがありました。

seminar


協力:株式会社メディコン

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

炎症性腸疾患(IBD)患者さんのセルフマネジメント~IBD患者さんを対象とした研究を読み解く~【PR】

 炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)などの腸に慢性の炎症が起こる難病で、日本では約30万人が罹患していると言われています1)。慢性疾患において、セルフマネジメントは治療の重要な構成要素と言われているものの、IBDにおける日本での実態

2024/3/4

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
4位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
5位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
6位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
7位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636