【連載】CSセットの導入により、感染防止と業務の効率を一気に改善
第2回 すべての患者さんにいかにスムーズに導入を浸透させるか【PR】
- 公開日: 2016/11/4
企画協力:株式会社エラン
入院時に必要な物品がまとまったCS(ケア・サポート)セット。株式会社エランが提供するこのサービスを全面的に導入し、感染予防をはじめ、看護師の業務効率の改善、患者さん・家族の負担軽減に大きな効果があった嘉麻(かま)赤十字病院の事例について、看護部の皆さんにお聞きする連載2回目です。
患者さん・家族はもちろん連携施設にも個別に説明
梅﨑さんが職員に向けて開いた説明会は計4回にのぼりました。看護師だけでなく、入退院にかかわる医事課職員、看護助手などすべての職員を対象とし、曜日や時間帯を変えて全員が参加できるように工夫し、情報の共有化を図りました。
説明にあたっては、CSセットの可否ではなく、導入を前提としていかにスムーズにすべての患者さんに浸透させるかを話し合いました。大きなシステムを1つの病院に行き渡らせるには、ぶれずに強い意志で一気に行うことが大切でした。
なぜなら梅﨑さんには、1つの懸念がありました。以前は炭鉱町でもあったこの地域には、経済的に決して裕福とはいえない患者さんも少なくありません。入院時にかかるCSセット分の経済的負担に対し、必ずしも納得が得られるとは思えなかったためです。
そこで、すでに入院中の患者さんについては、病棟師長が機会を設け、1人ひとりへの個別説明を徹底しました。導入目的をきちんと伝え、メリットだけでなく1日にかかる金額や支払いについて、パンフレットを用いて正確に伝えることを心がけました。
入居者が入院してくる可能性のある近隣のグループホームや介護系施設に対しては、メディカルソーシャルワーカーと梅﨑さんがペアになって1軒ずつを訪問し、説明して回りました。
「意外にも介護系施設のスタッフには喜ばれましたね。入居者のご家族に連絡をとり、入院に必要な物品を用意して持ってきていただく手間が省け、身体1つでとにかく入院できるようになったことが、助かるということでした」(梅﨑さん)
こうしてCSセットの導入は着々と進んでいったのです。
看護師の田中幸恵さんからCSセットを受け取る患者さん。
急な入院でも必要なものがそろって安心
短かった準備期間、導入説明では苦労もあったが
各病棟を担当する看護師長たちが、CSセットの話を聞いたのは、導入予定日まで残り数カ月というときでした。
「最初に話を聞いたときは、便利そうではあるけれど、患者さんの金銭的負担はどうなるのだろうと心配でした。しかしとにかく導入は決まっていましたから、どんな物品をセットに入れたらよいか、入院患者さんへの説明はどう行うかに集中して考えました」と、看護副部長の皆川悦子さんは言います。
1病棟師長の赤司裕美さんは、「ちょうど毎年開く家族会の日程が迫っていたため、その場でCSセットの説明をしたのです。すると1人のご家族から反対意見が出て、周りのご家族からも反対の声が出てきてしまいました」と、当時の苦労を振り返ります。
しかし、長期療養者の多い1病棟こそ、洗濯物や着替えを運ぶ家族の負担が少なくなるという、CSセットのメリットを感じていた赤司さんは、その後、すべての家族に個別に説明し、最終的には了解を得ることができました。
急性期を抱える2病棟師長の河野真由美さんは、「私の病棟では緊急入院がありますので、着の身着のままの急な入院でも、すぐに清潔な寝衣に着替えられ、きれいなタオルを使える。これはメリットだと感じました。
ただやはり地域的に富裕層ばかりではないため、料金負担の部分でひっかかりました」と話します。
次回は、CSセット導入後の反響についてお聞きします。
HOSPITAL DATA
嘉麻赤十字病院
「地域の皆様に安全と安心の医療を提供し、信頼される病院を目指します」をモットーに、人道・博愛・奉仕の赤十字精神にのっとり、地域に密着した温もりのある質の高い医療を提供しています。
■所在地/福岡県嘉麻市上山田1237
■開 設/ 1938(昭和13)年4月、日本赤十字社福岡県支部山田診療所として発足
■病床数/一般病床144床