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膀胱炎とは? 原因・診断・検査・治療について

  • 公開日: 2017/10/29
  • 更新日: 2020/4/1
  • 解説

現所属[東邦大学医療センター佐倉病院 腎臓学講座 准教授](https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/sakura/neph/patient/staff_profile.html)所属学会日本内科学会認定内科医・総合内科専門医日本腎臓学会専門医・指導医日本腎臓学会 学術評議員日本透析医学会専門医,指導医日本移植学会移植認定医日本腹膜透析学会 会員米国腎臓学会 会員資格上記ご経歴(卒業校、過去の勤務先病院、出版している書籍情報など)1997(平成 9)年3月 東邦大学医学部医学科卒業1997(平成 9)年5月 東邦大学医学部付属大森病院にて研修1998(平成10)年5月 済生会横浜市南部病院にて研修1999(平成11)年5月 国立病院東京医療センター 専門内科レジデント 2001(平成13)年5月 東邦大学医学部研究生(腎臓学講座)2002(平成14)年5月 川崎社会保険病院 腎臓科 医員2005(平成17)年9月 東邦大学医学部腎臓学講座 助教2011(平成23)年6月  米国Cleveland Clinic留学2013(平成25)年6月 東邦大学医学部 腎臓学講座 助教2013(平成25)年8月 東邦大学医学部 腎臓学講座 講師2015(平成27)年12月 東邦大学医学部 腎臓学講座 准教授2016(平成28)年5月 東邦大学医学部 腎臓学講座(佐倉)専門分野腎生理学、体組成学、腎栄養学、臨床腎臓学、腎移植内科学

尿路感染症の一つで、感染によって膀胱に炎症が起きます。経過によって急性(単純性)膀胱炎と慢性(複雑性)膀胱炎に分けられます。また、数は多くありませんが、間質性膀胱炎という自己免疫系の疾患を背景とする膀胱炎もあることを覚えておきましょう。


原因

急性膀胱炎は、グラム陰性桿菌とグラム陽性球菌の感染で起こりますが、大多数の原因が前者です。女性に多い病気として知られており、特に性的な活動が多くなる年代に多いことが特徴です。原因菌の7割は大腸菌です。

複雑性膀胱炎は、基礎疾患がある人に起こることが多く、特定の原因菌はありません。基礎疾患としては、尿路先天異常、膀胱結石、前立腺肥大症などが知られています。高齢者の場合、前立腺がんや膀胱腫瘍が原因となることも多くなります。また、尿道カテーテルが原因となることもあります。急性膀胱炎と比べて、男性に多く起こる傾向があります。

女性に膀胱炎が多い理由

急性膀胱炎が男性よりも女性に多く見られるのは、身体の構造と関係があります。男性は肛門と尿道口が離れているのに対して、女性は肛門と膣、尿道口が近くに並んでいます。急性膀胱炎を起こす細菌は、腸内細菌で、近くにある膣や尿道口に入ることがあります。本来、膣にはデーデルライン桿菌という常在菌がいて膣内を強い酸性に保ち、雑菌などが増殖するのを防いでいますが、生理や妊娠中、閉経後はエストロゲンの低下によってこの菌が減少します。そうすると、膣内で細菌が増殖し、その細菌が膣から隣の尿道口に入り込み、膀胱炎が発症します。

さらに、男性の場合は尿道が約20cmと長いですが、女性は尿道が4~5㎝と短く、尿道に入り込んだ細菌が膀胱に到達しやすい構造にもなっています。膀胱にたまっている尿は温かく、さまざまな栄養素もあるので、細菌にとって繁殖しやすい場所になっています。その結果、細菌が膀胱内で増殖し、膀胱表面の粘膜に炎症を引き起こすのです。

女性の膀胱、膣口、肛門の図

症状

急性膀胱炎では、炎症のために膀胱粘膜が発赤し、浮腫を起こします。また、病原体への防御機構や免疫機能が低下することがあります。局所症状として、排尿時痛、頻尿、尿混濁などの膀胱刺激症状がみられ、下腹部に違和感があることもあります。通常、発熱は起こりませんが、腎盂腎炎を合併している場合は発熱する場合もあります。

慢性膀胱炎の場合も急性膀胱炎と同様の症状を示します。基礎疾患があって膀胱炎を起こすので、基礎疾患由来のさまざまな症状が出ます。基礎疾患の種類によっては、排尿時痛や頻尿が起こらないこともあります。また、症状は軽度で、慢性的に起こるため自覚症状を伴わない場合もあります。全身の状態変化に伴って、症状が急性に進行する場合もあります。

検査・診断

膀胱炎は、膿尿と細菌尿の検出によって診断されます。

膿尿検査:直接鏡検法が用いられます。迅速診断では、テストテープ法(試験紙法)が有効です。直接鏡検法では、10個/μL以上の白血球数であれば、膿尿陽性になります。

細菌尿検査:定量培養法が用いられます。迅速診断では、硝酸還元能試験などもあります。定量培養法では、尿1mL中の生菌数≥103個以上で細菌尿陽性となります。

なお、ウイルスを原因とする出血性膀胱炎、原因不明の間質性膀胱炎、アレルギーによる好酸球性膀胱炎なども類似の症状を呈することがあります。また、感染部位の特定が必要な場合は、CTやMRIなどの画像検査が行われます。

膀胱炎の診断基準の表
一般社団法人日本感染症学会、公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC 感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会,編:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―,2015.を元に作成

治療

膀胱炎の治療では、経口の抗菌薬が使われます。膀胱炎の原因となるグラム陰性桿菌、グラム陽性球菌の両方にキノロン系薬が有効です。しかし、近年では大腸菌を中心とするグラム陰性桿菌にキノロン耐性株や、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生株の割合が増加しているため、キノロン系薬剤の使用は抑制したほうがいいと考えられています。尿検査でグラム陰性桿菌だと特定されている場合は、キノロン系薬を控え、セフェム系やβ-ラクタマーゼ阻害薬(BLI)配合ペニシリン系の使用が推奨されています。

ただし、膀胱炎の治療は膀胱炎にかかった患者さんの状態によって変わります。「JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015―尿路感染症・男性性器感染症―」では急性膀胱炎(閉経前)、高齢女性(閉経後)の膀胱炎、妊婦の膀胱炎、複雑性膀胱炎に分けて治療法が推奨されています。

急性膀胱炎(閉経前)

原因微生物はグラム陰性桿菌が約80%で、そのうち約 90%は大腸菌です。また、約20%の患者さんでグラム陽性球菌が検出されます1)。急性膀胱炎の患者さんから検出される大腸菌は多くの薬剤が効きやすいですが、BLI が配合されていないペニシリン系薬単体の有効性は低いです。

BLI 配合ペニシリン系薬、セフェム系薬、キノロン系薬いずれも90%以上の感受性が確認されています。β-ラクタム系薬はグラム陽性球菌に無効なことが多いので、尿検査でグラム陽性球菌が疑われる場合にはキノロン系薬を使います。尿検査でグラム陰性桿菌が確認されている場合はキノロン系薬の使用を控え、セフェム系薬または BLI配合ペニシリン系薬が推奨されています。

高齢女性(閉経後)の膀胱炎

閉経後の女性の急性膀胱炎では,グラム陽性球菌の検出される頻度が若年女性よりは低いと知られています。また、大腸菌のキノロン耐性率が高いので、第一選択としてセフェム系薬またはBLI 配合ペニシリン系薬が推奨されています。ただし、尿検査でグラム陽性球菌が認められている場合にはキノロン系薬を使用します。過去に抗菌薬投与歴がありESBL産生菌が疑われたり、検出されている場合にはファロペネム(FRPM)または ホスホマイシン(FOM)を選択します。

妊婦の膀胱炎

妊婦の膀胱炎で検出される菌は、急性膀胱炎と同じです。セフェム系薬を 5~7 日間投与することが推奨されています。使用を避けるべき抗菌薬は、妊娠初期でキノロン系薬、テトラサイクリン系薬、ST 合剤(サルファメソキサゾールとトリメトプリムを合わせた薬剤)、妊娠後期ではサルファ剤です。原因菌がセフェム耐性を示す場合には、CVA/AMPC(アモキシシリン・クラブラン酸)、FOM などの投与を考慮します。

複雑性膀胱炎

複雑性膀胱炎の原因菌は、グラム陰性桿菌では、大腸菌、Klebsiella属、Citrobacter属、Enterobacter属、Serratia属、Proteus属、Pseudomonas aeruginosaなどです。また、グラム陽性球菌ではEnterococcus属、Staphylococcus属など原因菌が多岐にわたります。新経口セフェム系薬や経口キノロン系薬など抗菌スペクトルが広く抗菌力に優れている薬剤を選択して、薬剤感受性検査成績が判明した後は、その結果に基づいて薬剤選択を行います。より狭域スペクトルの薬剤にde-escalation※※することも必要です。難治性感染症では入院し、注射薬も検討します。

※抗菌スペクトル:抗菌薬がどれくらいの種類の菌に増殖阻止作用があるかを示す指標

※※de-escalation:最初に抗菌スペクトルの広い抗菌薬を使用し、培養結果と臨床的効果をみて、より狭い抗菌スペクトルの抗菌薬に変更すること

膠原病を背景とする膀胱炎(間質性膀胱炎)

女性に多く、細菌感染以外の原因不明の膀胱炎です。膠原病に関係があり、SLEなどの自己免疫性の疾患がある患者さんに起こりやすいことがわかっています。

急性膀胱炎と似た症状がありますが、検査をしても尿から細菌が検出されません。細菌感染による疾患ではないため、抗生物質をいくら服用しても症状は改善しません。診断がつかないために、抗生物質を長期間投与されたり、心因性の頻尿を疑われる患者さんも少なくありませんでした。

間質性膀胱炎の特徴
膠原病を背景にもつ
抗生物質では症状が改善しない
膀胱に尿が溜まると痛みが発生し、排尿すると軽減される
痛みを避けるために頻尿になる
歩けなくなるほどの痛みを訴えることがある

近年になり、泌尿器科医師の間でこの疾患が認識されはじめ、診断ができるようになりました。急性膀胱炎は排尿の終わりに膀胱が痛むのに対して、間質性膀胱炎は尿が膀胱にたまってくると痛み、排尿すると痛みが軽くなるという違いがわかってきました。

患者さんは痛くなる前にトイレに行こうとして頻尿になります。また、歩けなくなるほどの膀胱の痛みを訴える患者さんもいます。

間質性膀胱炎は、膀胱壁の粘膜から筋層に炎症が起こり、組織が線維化して膀胱が萎縮する疾患です。診断は問診と尿検査、膀胱鏡検査などで行われます。

治療は症状の緩和、消失を目標に、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬などを用います。薬物療法で効果がなければ膀胱水圧拡張術という方法が用いられます。これは、麻酔下で尿道口から膀胱の中に膀胱鏡を挿入し、生理食塩水を入れることで、萎縮した膀胱を広げる方法です。そのほか、鎮痛・抗炎症作用のある薬剤を膀胱内に注入する治療などもあります。

しかし、すべての患者さんに効果のある治療法は見つかっておらず、再発率も高いのが現状です。この病気はストレス(仕事、睡眠障害、気温の変化など)やある種の食品(表2)が痛みを引き起こしたり、症状を悪化させたりすることもあります。どんな食品が引き金になるかは患者さんによって異なります。

間質性膀胱炎の症状を引き起こしやすい食品例

東邦大学医療センター大森病院泌尿器科ホームページ(http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/urology/patient/cystitis.html)より転載、一部改変(2017年8月9日閲覧)


引用・参考文献
1)一般社団法人日本感染症学会、公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC 感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会,編:1.膀胱炎,JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015―尿路感染症・男性性器感染症―,2015,:p.5.

●一般社団法人日本感染症学会、公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC 感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会,編:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―,2015.
●東邦大学医療センター大森病院泌尿器科ホームページ(http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/urology/patient/cystitis.html)

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