エキスパートが解説! 高齢者のスキンケアQ&A【PR】
- 公開日: 2018/2/22
- 更新日: 2018/11/5
2018年2月22日公開
2018年11月5日改訂
加齢による皮膚の脆弱化により、高齢者はさまざまなスキントラブルが発生しやすい状況にあります。予防には、地道なスキンケアが欠かせません。今回は、臨床現場で起こりがちなことや、もっと知りたいスキンケアのコツを皮膚・排泄ケア認定看護師に聞きました。
Q. 高齢者の皮膚の特徴は? 起こしやすいスキントラブルにはどんなものがあるのでしょうか?
A. バリア機能の低下、ドライスキン、皮膚の菲薄化がみられ、これらが原因となって、さまざまなトラブルが引き起こされます。
高齢者の皮膚は、表皮の基底細胞の分裂機能の低下により、傷の回復に時間がかかるようになります。皮脂の分泌量や角質水分量の減少からドライスキン(皮膚乾燥)傾向となり、皮膚のバリア機能が低下していきます。さらに皮膚が菲薄化し、脆弱な状態となっています。
ドライスキン傾向になると、かゆみが生じやすくなります。細菌やアレルゲンに対する防御機能が低下していくため、感染性やアレルギー性の皮膚障害が生じやすくなる、弾力性の低下により外的刺激に弱く皮膚が損傷しやすいなど、さまざまなスキントラブルが想定されます。最近では、摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)である「スキン-テア(皮膚裂傷)」1)も問題視されています。
おむつ内のような湿潤環境では皮膚が浸軟し、排泄物による皮膚障害(失禁関連皮膚炎)を起こしやすいという面もあります。
1)日本創傷・オストミー・失禁管理学会,編:第2章ベストプラクティス.ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理.照林社,2015,p.6.
Q. 高齢者へのスキンケアの基本を教えてください。
A. 年齢に関係なく、スキンケアの基本は「洗浄・保湿・保護」です。
●洗浄について
洗浄剤はヒトのpHに近く、皮脂を落としすぎない弱酸性のものが適しています。洗浄剤は逆さにしても泡が落ちないくらい、よく泡立ててから使用します。よく泡立てることで汚れが落ちやすく、また泡切れもよくなり、洗い流しやすくなります。泡タイプの洗浄剤を使うと簡便です。液状の洗浄剤の場合は、ビニール袋に洗浄剤と水を1対1~2の割合で入れて振ると簡単に泡立てることができます。
泡を皮膚におき、泡のクッションをなじませるようなイメージで、手でやさしく洗います。洗い流すときは、微温湯(38 ~ 40℃)をゆっくりと流します。洗浄剤が残ると、スキンントラブルの原因になるため、十分に洗い流します。身体を拭く際にもこすらず、タオルを皮膚に軽く押し当てて水分を取るようにします。
在宅の患者さんには、角質が剥がれてしまうためナイロンタオルなどでゴシゴシとこすらないことや、熱いお湯や高い水圧は皮脂を落としすぎる原因となりやすいため、浴槽のお湯は38℃~ 40℃に保つとよいこと、シャワーの水圧は強くしないことを伝えましょう。
●保湿・保護について
ドライスキンを防ぐために欠かせないのが保湿です。可能であれば1日2回保湿剤を塗布できるとよいでしょう。朝に1回、夜の入浴後に1回といったペースで、保湿剤を全身に塗布します。乾燥が強い場合は、回数を増やしてこまめに保湿を行います。
入浴後の保湿は、水分が蒸散しないように10分以内に行えるとよいでしょう。また清潔な皮膚のほうが保湿剤は浸透しやすいので、入浴できない場合は清拭をしてから保湿剤を塗布します。
保湿剤には、ローション、クリームといったタイプがありますが、高齢者の場合、皮膚が脆弱になっているので、伸びがよいローションを使うとよいでしょう。
保湿剤の使用量の目安は、液状のタイプであれば手のひらに1円玉大(図-①)、クリームタイプの場合は人差し指の第一関節分(図-②)の量が、両手の手のひらサイズの面積に塗布する分量となります。
保湿剤を手のひらで温めてから、こすらず、皮膚に保湿剤をおいて浸み込ませるように、毛の流れに沿って塗布していきます。指先や指間、爪にも塗布するようにします。皮膚がしっとりしているかどうか、効果を確認しながら塗布することが大切です。乾燥が強い場合は、ローションなどの保湿剤で水分を十分に与えてから、油分の多いクリームで保護をすると、より効果的です。
がん化学療法中、放射線療法中など、脆弱な皮膚には、医師と確認のうえ、紫外線対策に日焼け止めのクリームを塗布したり、化繊を避けて天然素材の衣服を着用したりして、皮膚を保護するように伝えます。
Q. 高齢患者さんやご家族にスキンケア用品を購入してもらうことがありますが、どのようなものを勧めるとよいでしょうか?
A. スキンケアが継続できるように、手に入りやすいものを勧めるとよいでしょう。
スキンケア用品は、ドラッグストアなどで購入でき、手に入りやすいもののほうが、継続してケアを行ってもらいやすくなります。ただし、洗浄剤は皮膚に負担のかかりにくい弱酸性タイプ、保湿剤は香料が入っていない製品を勧めるとよいでしょう。当院では、実際の製品を見本として並べて、患者さんに説明を行っています。
Q. 保湿ケアに関する理解が得られず、セルフケアを継続して行ってもらえないときはどのようにアプローチするとよいでしょうか?
A. 具体的なスキンケア方法を示して、効果を実感してもらえるよう根気よく取り組みましょう。
多くの男性のように、もともと保湿の習慣がない場合、一度説明をしただけでは、なかなかスキンケアの実践にはつながりません。根気よく取り組み、患者さんに効果を実感してもらうことが大切です。
保湿剤の塗り方がわからない人が多いので、説明の際は、口頭だけではなく、一緒にスキンケアを行い具体的な方法を示すようにします。家族と同居している場合は、家族の方にも同席してもらい一緒にスキンケアを行います。
患者さんの状況や理解度を確認しながら進めることも重要です。その際は、「スキンケアをしていますか」と聞くのではなく、「どんなふうにケアをしていますか」と具体的な状況を聞き出すようにします。そして、どの方法なら継続できるのか、“指導”ではなく“一緒に考えて提案する”という姿勢で取り組みましょう。例えば、どうしても保湿が難しい場合は、保湿剤入りの入浴剤の使用を提案するなど、少しでも保湿ができるように考えていきます。
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