ボックスシーツを用いた業務負担軽減の取り組み【PR】
- 公開日: 2018/6/5
看護師の業務は多岐にわたっています。さまざまな業務を行っているからこそ、業務改善や業務負担の軽減が必要であり、多くの病院で課題となっているのではないでしょうか。
今回は、現場の疑問から業務負担軽減につながったケースを紹介します。
チャレンジできる環境で生まれたボックスシーツ導入の取り組み
東京の中心、千代田区にあり、超急性期・急性期の高度医療を提供する三井記念病院。「臨床現場は大変忙しいですが、質の担保をしっかりしていくことは重要な使命と考えています。研修医の教育機関でもありますから、看護師もともに育つという意味では教育に力を入れています」と副院長・看護部長の井上由美子さん。臨床の現場では各病棟の師長が積極的に業務改善に取り組み、患者ケアの質の向上に努めています。井上さんは「失敗を恐れずさまざまなことにチャレンジしてほしい」と考えており、実際に、各師長から業務改善について相談される機会は多く、モチベーションの高さを感じているそうです。
そんな職場環境の中、生まれた取り組みの一つが、ボックスシーツの導入です。「家庭ではボックスシーツが普及しているのに、なぜ病院では使用できないのかという疑問を師長間で話し合ったのがきかっけでした」と14階病棟師長の中村久美子さん。ベッド回転率が高く、看護補助者、加えてリネン交換の専門看護補助者を配置していてもなお、看護師もベッドメイキングに時間を取られざるを得ない状況でした。従来のフラットシーツによるベッドメイキングでは時間がかかり、また看護補助者が技術を習得するまでにも日数を要します。そこで、交換が簡便なボックスシーツを導入すれば、業務負担の軽減につながるのではないかと考えました。
これを井上さんに相談したところ、「院内のQC活動(品質管理活動)で取り組んでみては」という助言を受け、看護師、看護補助者、事務・購買課担当者からなるチームを結成し、取り組みがスタートしました。
寝心地は変わらずにシーツ交換の時間短縮を実現
まずは、同院のリネンのリース業者である(株)小山商会にボックスシーツについて尋ねてみました。すると、頻繁なクリーニングに対する耐久性がないため、大きな病院ではほとんど導入されていないことがわかりました。そこで、(株)小山商会に働きかけ、病院用のボックスシーツを提案してもらいました。耐久性もさることながら、患者さんの安楽のためには肌触りや吸湿性のよい素材であることが大切です。サンプルを提案してもらい、素材や形、畳んだときは? しわは? と検討を重ねていきました。
こうして決定したボックスシーツ(イージープラス)を、まずは14階病棟で試用。シーツ交換にかかる時間を計測し、フラットシーツの交換時間と比較するとともに、スタッフと患者さんを対象に満足度調査も実施しました。
その結果、交換時間はフラットシーツに比べて、1回あたり平均して62秒の短縮、交換を実施したスタッフ全員からは「手早くなったと感じた」という感想が得られ、シーツ交換の時間短縮が図れたことが明らかになりました。
患者さんのアンケートは、フラットシーツ使用患者さん24人とイージープラス使用患者さん22人に行いましたが、イージープラスを使用しても寝心地の低下はみられませんでした(表)。
薄いマットレスでは空間ができるため、しわがよりやすいという問題がありましたが、対応策として、とても薄いマットレスの場合には従来のフラットシーツを選択するようにしました。褥瘡対策用の体圧分散マットに関しては、院内の皮膚・排泄ケア認定看護師から、シーツをピンと張るとハンモック現象※によりかえって褥瘡のリスクが高まるため、しわに注意すれば、ふわりとかけられるボックスシーツのほうが適しているという意見もありました。
※ハンモック現象:シーツをピンと張ることで、皮膚とシーツの接触面が減少し、局所的に圧が上昇する現象
フレキシブルなシーツ交換で患者さんに快適さと安楽を提供
こうしたサンプルの使用結果を、院内のQC活動で発表、正式にイージープラスの採用が決定しました。現在は、全病棟に導入され、フラットシーツと併用で状況に応じて使い分けられています。
現場からはシーツ交換の時間短縮以外にも、新しく入職した看護補助者でも技術が習得しやすい、誰が実施しても仕上がりが変わらないという意見も上がっています。シーツの汚れに気づいたときに、すぐに交換できるからと率先して看護師がシーツ交換を行うようになったそうです。また、病棟全体の定期シーツ交換を担当していたリネン交換専門看護補助者を2人から1人に減らすことができました。こういったことから、中村さんはイージープラス導入の効果を実感しているといいます。
看護スタッフの少ない夜間では患者さんが汗をかいたり、シーツを汚染したりしたときに、ボックスシーツは有効だという声が井上さんのもとにも上がっているといいます。ボックスシーツだからこそ、忙しい業務の中でもフレキシブルにシーツの交換ができ、患者さんに快適さや安楽を迅速に提供できているともいえるでしょう。さらに中村さんは、常にベッド環境を清潔に保てるため、感染予防対策にもつながるのではないかと期待を寄せています。
現在、政府が先導して働き方改革が進められていますが、看護部でも重要な課題の一つとして取り組んでいます。これについても、実際に問題点を把握している現場の看護師自身が取り組むことが重要で、自主的に取り組むことにより、達成感や成功体験を得られます。看護部長としては、プロセスの過程で、必要な支援やアドバイスをしていくことが大切だと井上さんは考えています。
中村さんもイージープラスの導入を通して大きな達成感を得られ、「これからも日々の問題点について改善策を提案していきます」と意欲をみせています。
ボックスシーツについて詳しく知りたい方はここをクリック
HOSPITAL DATA
社会福祉法人 三井記念病院
〒101-8643 東京都千代田区神田和泉町1番地
◯開院/ 1909年
◯病院類型/一般病院 二次救急指定
◯病床数/ 482床(ICU7床、CICU6床、HCU21床)
◯職員数/ 1,400人(うち看護職員数550人)